青木タカオ氏が話題の原二スクーター5機種にガチ試乗! 果たして大本命に推す一台はどれになるのか? 青木タカオ氏が話題の原二スクーター5機種にガチ試乗! 果たして大本命に推す一台はどれになるのか?

今、日本市場で売れに売れているバイクがある。ズバリ、原二スクーターだ。しかも、魅力的なモデルがズラリ。えっと、どれが大本命? そこで、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が厳選5台を徹底ガチ試乗! 激推しの一台を選んだ!

■原付二種が売れるワケ

実は新車のバイクの販売台数は2021年まで6年連続で前年比増! さらに二輪免許を取得する人の数も18年以降増え続けている。まさにバイクブーム到来と言っても過言ではないだろう。

ちなみに直近(21~22年)の新車販売台数は41万台規模(日本自動車工業会および二輪車新聞調べ)で推移しており、そのうちの約30%(21年=12万5674台)を占め、日本市場で売れに売れている排気量帯のひとつが、いわゆる「原付二種」と呼ばれる125㏄クラスである。

その人気の秘密は、原付一種(50㏄)のような時速30キロ制限や二段階右折、あるいはタンデム不可といった制約から解放されるだけでなく、任意保険にはファミリーバイク特約(自動車保険に付帯できる特約)が適用されること。さらに言うと、ガソリン価格高騰が続く昨今、燃費も良く、経済性に優れているのも魅力のひとつだろう。

そんな原二の人気に拍車をかけたのが道路交通法の改正。18年7月以降は普通自動車免許を持っていれば最短2日で免許が取得できるようになった。これにより免許取得のハードルが一気に下がったのだ。

では、どんなマシンが人気なのか? マニュアルミッションのスポーツタイプもあるが、原二クラスの主役はスクーターである。クラッチ操作が不要で運転は楽チン。

正直、原二スクーターは密を避けられる移動手段としてコロナ禍で人気大爆発。各バイクメーカーもラインナップを充実させている。いや、もっと言えば、空前絶後の原二スクーター戦国時代が訪れている!

実はアオキ、大排気量車やオフロードモデルなど複数のバイクを所有しているが、機動力の高い原二スクーターは絶対に欠かせない一台として重宝し続ける愛好家。つまり、昨今のブームでバイクに興味を持ったビギナー層だけでなく、昔からバイクに乗り続ける濃ゆ~いライダーたちにも原二スクーターは愛されまくっているのだ!

しかし、次々にニューモデルが登場するこの激戦区で、いったいどの機種にどんな特徴があり、どれを選べばいいのかイマイチわからないというのが、ユーザーの本音ではないだろうか?

そんな中、アオキが定期的に寄稿する二輪専門誌『ヤングマシン』(内外出版社)が話題の原二スクーターの最新モデル5台をガチンコ対決させるという話を耳にした!

てなわけで、テスターとしてお邪魔! 5台を徹底ガチ試乗するのはもちろんのこと、シート下トランクの収納力など、装備面もネッチネチ細かく調べてきたぞ。

1972年に創刊の老舗バイク専門誌『ヤングマシン』(内外出版社・毎月24日発売)。絶賛発売中の3月号に掲載されているチョー濃厚な原二特集にアオキが乱入。必見! 1972年に創刊の老舗バイク専門誌『ヤングマシン』(内外出版社・毎月24日発売)。絶賛発売中の3月号に掲載されているチョー濃厚な原二特集にアオキが乱入。必見!

■ホンダ、スズキ、ヤマハをガチ比較!

まずは現地で陣頭指揮を執る『ヤングマシン』の松田大樹(ひろき)編集長に数ある原二スクーターの中から今回テストする5台を選んだ理由を聞いた。

「最近、このジャンルにはスズキから2台のニューモデルが登場しました。今回ピックアップしたのはこれに近い構成や価格帯の車両です。具体的には排気量が125㏄でタイヤサイズは12インチ以下、価格が20万円中盤~30万円強と、差額が10万円以内に収まるモデルです」

近年では13インチ以上の大径ホイールを採用し、クラスを超えた快適な乗り心地を実現するハイエンドモデルもあるが、ぶっちゃけ値が張る。そこで今回はお手頃価格を優先したという。

「加えて、ステップボードがフラットで、センタートンネル構造になっていないことも条件にしました」

要するに足の置き場が真っ平らな、オーソドックスなスタイルの機種をセレクトしたってわけだ。

では早速、エントリー車を見ていこう! ホンダからはド定番のリードを選出。スズキは昨秋発売したばかりの新型2兄弟のアヴェニス&アドレスの注目株。ヤマハは昨年11月に新発売したジョグ、そしてアクシスZという顔ぶれになっている。

リード以外は30万円切りを実現した、熱きライバル対決となっている。まさに専門誌ならではのガチンコ対決だ!

アオキが最もテストしたかったのは、停止時からの加速力。ストップ&ゴーの多い街乗りがメインのこのカテゴリーで重要なのは、ダッシュの鋭さに尽きる。そう力説するアオキに、松田編集長が担当を任せてくれたのが時速60キロ到達タイム計測の乗り役だ。

『ヤングマシン』の松田編集長(右)から時速60キロ到達タイムを計る乗り役に指名されたアオキ(左)は、取材の秘伝アイテム、モータースポーツ用データロガー(記録機器)「デジスパイスⅣ」を託された 『ヤングマシン』の松田編集長(右)から時速60キロ到達タイムを計る乗り役に指名されたアオキ(左)は、取材の秘伝アイテム、モータースポーツ用データロガー(記録機器)「デジスパイスⅣ」を託された

ヤングマシン秘伝のデータロガー(記録機器)を全車に備え、アオキはそれぞれのモデルで、安全が確保された平坦な直線路を制限速度上限までアクセル全開で駆け抜ける! 要するに体感に頼らず数値化し、白黒決着をつけるというわけ。さすがは専門誌、その執拗さに敬礼!

すると、5車中唯一の水冷エンジンを積み、カタログスペックでも11PSと抜きんでたホンダのリードが最速タイムをマーク! 体感的にも加速がひときわ力強く、スムーズに車速が上がっていった。さらに速度域が高くなってからも直進安定性に優れ、交通量の多い幹線道路でもクルマの流れを余裕でリードできる動力性能を持っていた。

【0⇒60km/h計測結果・第1位...6秒535】ホンダ「リード125」価格:32万4500~33万円。ボディサイズは全長1845㎜×全幅680㎜×全高1130㎜。最高出力は11PS。車重は116㎏。チョー豪華装備を誇る 【0⇒60km/h計測結果・第1位...6秒535】ホンダ「リード125」価格:32万4500~33万円。ボディサイズは全長1845㎜×全幅680㎜×全高1130㎜。最高出力は11PS。車重は116㎏。チョー豪華装備を誇る

キーシリンダーを廃し、スマートキーを採用するのもリードだけで、アイドリングストップ機構まで備わる先進性にも目を見張るものがある。シート下のラゲッジボックスは容量37Lと広々とし、ヘルメット2個が入るなど装備面もクラスを超えた充実ぶり。30万円オーバーのお値段も納得で、総合力で頭ひとつ抜けていた!

今回のテストで唯一の30万円オーバー車なので装備は充実。スマートキーやアイドリングストップ機構も備える 今回のテストで唯一の30万円オーバー車なので装備は充実。スマートキーやアイドリングストップ機構も備える

ラゲッジボックスは大容量の37L。ヘルメットと一緒にB4サイズのバッグも収納可能な余裕の積載性 ラゲッジボックスは大容量の37L。ヘルメットと一緒にB4サイズのバッグも収納可能な余裕の積載性

2位は絶対的な速さを誇り、歴代モデルはファンの間で、"通勤快速"の異名を持っていたスズキのアドレス。新型はゆったりとしたハンドリングで、スロットルレスポンスは穏やか。しかし実力は、さすがとしか言いようがなく、実測タイムで好結果を残した!

【0⇒60km/h計測結果・第2位...6秒956】スズキ「アドレス125」価格:27万3900円 ボディサイズは全長1825㎜×全幅690㎜×全高1160㎜。最高出力8.7PS。車重105㎏。先代より全長を若干短縮した 【0⇒60km/h計測結果・第2位...6秒956】スズキ「アドレス125」価格:27万3900円 ボディサイズは全長1825㎜×全幅690㎜×全高1160㎜。最高出力8.7PS。車重105㎏。先代より全長を若干短縮した

実はアオキ、5年前に先代を新車で購入したアドレスフリーク。フットワークの良さは熟知するところだが、丸みを帯びたデザインでオシャレに大変身した新型がうらやましくて仕方がない。

ヘッドライトはLEDに進化しているし、スマートフォンの充電などに便利なUSBソケットも備わっている。先代は給油時にシートを開けなければならなかったが、新型はリアエンドに燃料キャップがあり、ガソリンを入れやすくなっているのも見逃せない。

ペットボトルも収納可能。もちろん、スマホの充電などに便利なUSBソケットも備わり、フロントフックも用意 ペットボトルも収納可能。もちろん、スマホの充電などに便利なUSBソケットも備わり、フロントフックも用意

スズキ「アドレス125」 先代は給油時にシートを開けなければならなかったが、新型はリアに燃料キャップがあり給油が楽になっ

3位もスズキでアヴェニス。見た目どおりスポーティな乗り心地で、ハイペースでキビキビ走る。車体は大柄でライバル勢よりひと回り大きい。アドレスとの重量差が2㎏あり、その差が出たかも。

ハンドリングは軽快で、元気ハツラツに走りたいならアヴェニス、エレガントな実力派を選ぶならアドレスと、スズキ2車はうまくキャラクターを差別化している。驚きはメーターで、フル液晶デジタルディスプレーがおごられている。30万円切りでのこの豪華装備とスタイリッシュさは見事としか言いようがない。

【0⇒60km/h計測結果・第3位...7秒032】スズキ「アヴェニス125」価格:28万4900円。ボディサイズは全長1895㎜×全幅710㎜×全高1175㎜。最高出力8.7PS。車重107㎏。ヘッドライトはボディにマウント 【0⇒60km/h計測結果・第3位...7秒032】スズキ「アヴェニス125」価格:28万4900円。ボディサイズは全長1895㎜×全幅710㎜×全高1175㎜。最高出力8.7PS。車重107㎏。ヘッドライトはボディにマウント

フル液晶ディスプレーを用いたインパネはスピードメーター、オイルチェンジインジケーターなどを表示 フル液晶ディスプレーを用いたインパネはスピードメーター、オイルチェンジインジケーターなどを表示

4位はヤマハのジョグ。ヤマハの2台は前後10インチの小径タイヤを履き、コンパクトな車体で身のこなしが軽い。車体重量はわずかに95㎏しかなく、唯一、100㎏を切る軽量さが大きな魅力だ。取り回しがしやすく、混雑した都会や狭い道が得意。小柄な人にもオススメできる。

【0⇒60km/h計測結果・第4位...7秒072】ヤマハ「ジョグ125」価格:25万5200円。ボディサイズは全長1740㎜×全幅675㎜×全高1090㎜。最高出力8.3PS。車重95㎏。小さなボディで取り回しは楽チン 【0⇒60km/h計測結果・第4位...7秒072】ヤマハ「ジョグ125」価格:25万5200円。ボディサイズは全長1740㎜×全幅675㎜×全高1090㎜。最高出力8.3PS。車重95㎏。小さなボディで取り回しは楽チン

ただ、装備は必要最低限といったところで、ヘッドライトなど灯火器類はLEDではなくハロゲン球。メーターにもデジタルディスプレーはなく、アナログ式の速度計と燃料計をメインにしたシンプルなもの。ブレーキも唯一前後ともドラム式。だが、効きやコントロール性に不満はなかったことはつけ加えておこう。

ペットボトルも収納できるフロントボックス、レジ袋などを提げられる折り畳み式フロントフックも用意 ペットボトルも収納できるフロントボックス、レジ袋などを提げられる折り畳み式フロントフックも用意

計測タイムこそ最下位となったものの、ヤマハのアクシスZは車体が小さくすばしっこい。ジョグと比較すると車体重量が5㎏増しているものの、加速でもたつく印象はなく、パワーフィールに物足りなさを感じることはない。ホイールベースもジョグより70㎜長く、速度を上げても安定性と落ち着きがあり、俊敏性と快適性を兼ね備えている。

小さな車体ながら、シート下のトランクに37.5Lという余裕の収納力を持たせ、ヘルメット2個を収納できる。これは大きな強み。

【0⇒60km/h計測結果・第5位...7秒113】ヤマハ「アクシスZ」価格:27万1700円。ボディサイズは全長1790㎜×全幅685㎜×全高1145㎜。最高出力8.3PS。車重100㎏。ラゲッジ容量は5車中最大 【0⇒60km/h計測結果・第5位...7秒113】ヤマハ「アクシスZ」価格:27万1700円。ボディサイズは全長1790㎜×全幅685㎜×全高1145㎜。最高出力8.3PS。車重100㎏。ラゲッジ容量は5車中最大

ちなみに2位以下のタイム差は0.157秒しかなく、距離にすればおよそ2.6m。1車身程度の差の中に4台がひしめき合う大接戦となった。つまり、唯一の30万円超えとなる、リードが水冷エンジンの優位性でトップに立ったが、空冷モデルはどんぐりの背比べといえる。

動力性能に差はほとんどなく、コンフォート性や装備の充実さを求めるならフロント12インチのリード、アドレス、アヴェニス。身のこなしの軽さやカジュアルな付き合いやすさで選ぶならジョグ、アクシスZ。もちろん、見た目の好みで選んでも後悔はしない。

■世界で市場が拡大する125㏄のスクーター

オイ、アオキ! 結局、おまえの大本命はどれなんだ! そんな読者の声が聞こえてくる。正直、従来型オーナーだけにアドレスが大いに気になった。原二スクーターは、いつでもどこへでも淡々と移動したい。とがった個性よりオールマイティさとリーズナブルさを評価したい!

最後に松田編集長が原二スクーターをこう総括する。

「日本でも人気の125㏄スクーターですが、その主戦場は台湾やヨーロッパ、ASEAN(東南アジア諸国連合)などの海外で、かの地では日本とはケタ違いの台数が販売される世界戦略車なのです。当然、各バイクメーカーは新型の研究開発に余念がない」

入稿作業のため、早く編集部に帰りたそうな松田編集長をアオキがしつこく問い詰めていると、鮮度抜群の極上ネタをポロリしてくれた。

「今後このジャンルは"電動化"がトレンドになるはずです。スズキは2024年にコミューター系の電動モデルを出すと発表していますし、全社的に電動化を推進中のホンダも、原付一種クラスながら同社初の個人向け電動スクーター『EM1:e』を近々発売します。

また、テレビ東京のバラエティ番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』で有名になった『eビーノ』のヤマハは、『E01』という原付二種の電動スクーターで実証実験を行なっており、個人的には発売間近だとにらんでいます。

また、スクーターではありませんが、カワサキは今年、原付二種クラスに電動のスポーツバイクを投入する予定ですよ!」

今後も注目だ。

●青木タカオ(Takao AOKI)
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営