植村祐介
うえむら・ゆうすけ
植村祐介の記事一覧
ライター&プランナー。専門誌編集部勤務ののち独立。ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆を手がける。
新車納期の大幅遅延によるバブルが一段落し、中古車市場はまさに今が狙い目。だが、知識なしで飛び込むと"大失敗"の可能性も!? 中古車業界の風雲児・中野優作(なかの・ゆうさく)氏が賢者の買い方を伝授する!
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2020年からのコロナ禍は、クルマの買い方にも大きな変化をもたらした。
半導体不足や物流の混乱で、新車には納車待ちが続出し、値引きは縮小。一方で「すぐに乗れる中古車」の相場は高騰した。
そして、新車が手に入りづらいことから、一部の人気車種では中古車が新車より高くなる「プレミアム価格」も続出する異常事態となった。
では、26年の中古車市場はどうなっているのか? 国内に20店舗を展開する中古車店「BUDDICA」の経営者で、自身もYouTuberとして中古車選びのノウハウを〝忖度なし〟で発信する中野優作氏に聞いてみた!
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――現在の中古車市場はどのような状況でしょうか?
中野 新車の納車遅れ問題は、ごく一部の車種を除き、もう落ち着いています。
去年くらいまでは「新車でトヨタ・アルファードを買って、すぐに転売すれば300万円儲かる」ということもありましたが、もうそんなことはありません。プレミアム価格になるのはトヨタ・ランドクルーザーなど、ごく一部だけですね。中古車市場全般を見ても、一時期の高い相場から、だいぶこなれてきています。
――では、今は中古車を買うにはいい環境になってきた?
中野 はい。ただし、円安のため、海外輸出するバイヤーの買いつけで、一部車種は相場が高止まりしています。
――おトクなのは、何年落ちくらいの中古車でしょう?
中野 クルマの一般的な走行距離は「1年で1万km」といわれています。中古車として買いやすいのは、値頃感が出てくる3年落ちで走行3万km、5年落ちで走行5万kmといったあたりです。
中でも狙い目としては、3年落ちなら「初度登録(新車での登録)から3年たっていないクルマ」、5年落ちなら「初度登録から5年たったクルマ」です。

――それはどうして?
中野 新車にはメーカー保証がついていますが、初度登録から3年未満の中古車であれば、わずかな名義変更手続き(保証継承)費用でその保証を引き継げるからです。
中古車店独自の保証は6ヵ月や1年程度が多いですが、メーカー保証ならエンジンなどの重要部品に最長10年といった手厚い保証がついていることもあります。万が一故障しても高額な修理費がかからないため、3年未満は非常に安心なんです。
――では、5年が経過したクルマも狙い目の理由は?
中野 そちらは「価格の急落」です。実はマレーシアなど多くの国で「登録5年(60ヵ月)超は関税が高くなる」輸入制限ルールがあります。
そのためアルファードやトヨタ・ハリアーなどの海外人気車種は、5年を過ぎた瞬間に海外バイヤーの買いつけが止まり、国内相場が数十万円ガツンと落ちる。だから安く買いたければ、この5年超えあたりが狙い目です。
――クルマのタイプで、お買い得なものはありますか?
中野 ミニバンやSUVは海外で人気なので、中古車になっても値落ちは少なめです。ただ、同じ車種でも、ハイブリッドは海外での人気がそれほど高くないので、値落ちが大きくなります。
そのため、新車時に50万円から70万円くらいあったガソリン車との価格差が、中古車になると10万円とか20万円になる場合もあります。燃費の面で、かなりおトクです。
あとはセダンも海外では需要が少ないので、意外に値落ちは大きくなります。
――中古車購入のステップはどういう流れがオススメ?
中野 まずはお店選びです。一部の店舗では購入時にコーティングや有償保証の加入が必須となっており、車両価格が安く見えても支払い総額が高くなるケースがあります。必ず事前に見積もりを取り、不要な費用が必須になっていないかを確認しましょう。
また、相場より極端に安い在庫ばかりの店も要注意です。中古車の粗利は7~10%程度なので、安すぎるのは雹害で傷がついているクルマや、ペット臭がすごいクルマなど、なんらかの理由があります。ごまかしの利かない「第三者鑑定」を入れているお店が安心です。
ローン購入なら金利にも注意してください。かつて横行した「金利9.9%の10年ローン」だと、総額が本体価格の倍近くまで膨らみます。店がローン会社からのバックマージンで儲ける分、車両本体を安く見せるカラクリです。
――そして実際のクルマ選びで、具体的な車種を絞り込むときのコツは?
中野 中古車選びで皆さんが迷う最大の理由は、ターゲットとなるクルマの在庫が多すぎることだと思います。
例えばミドルサイズSUVのトヨタ・RAV4、日産・エクストレイル、ホンダ・ZR-V、マツダ・CX-5を候補に挙げるとしましょうか。
これらの在庫をカーセンサーやグーネットで調べてみても、それぞれにグレードが複数あり、年式や走行距離もバラバラです。どれを選べばいいか迷うはずです。
――そんなときの対策は?
中野 同じ年式、同じくらいの走行距離で在庫を絞り、新車からの値落ちをヨコ比較してみましょう。
そうすると、車種ごとの新車からの値落ち率の差がわかります。これで相場と、どの車種が割安かを理解すると、それぞれの在庫車両について「走行距離にしてはちょっと割高だな」「ちょっと安すぎるから、注意したほうがよさそうだ」「このグレードは値落ちが大きいんだな」などといったことが見えてきます。
そこであらためて候補となる車種を選び、その中で走行距離や装備で納得できるものを選ぶといいでしょう。
――車種選びで、ありがちな失敗はありますか?
中野 ライフスタイルもクルマの買い替えも「7年周期」といわれます。だから「7年先」まで見据えることが重要です。
例えば、子供が生まれてすぐミニバンを買う人がいます。しかし実際にミニバンが必要になるのは子供が5、6歳になってからです。
その頃にはクルマも古くなって結局買い替えたくなる。であれば、最初は車両価格も維持費も安いコンパクトカーに乗り、差額を積み立てて5年後にミニバンへ買い替えるほうが合理的です。
また、買い替えでは「乗っていたクルマがいくらで売れるか」も重要なポイントです。今はクルマの質が向上し、10年落ちでも50万円ほどの価値が残る車種も多い。
狙っている車種の10年落ちの中古相場を見れば手放すときの参考になりますし、査定が落ちる「走行10万km」の手前を買い替えのタイミングにするのも手ですね。
――最後に、今、予算100万円で買うとしたら、どんなクルマがオススメでしょう?
中野 コンパクトミニバンなら「スズキ・ソリオ」や「トヨタ・ルーミー」がオススメです。どれも燃費が良く使い勝手も抜群なのに、新車からの値落ちが大きい。
また、年式によっては「ホンダ・フリード」「トヨタ・シエンタ」も視野に入ります。特にフリードは初期モデルが中古市場で多く流通しているので、在庫を見比べて選べます。
コンパクトカーなら先代の「トヨタ・アクア」や「日産・ノート e-POWER」でしょう。アクアは距離がかさんでいても、とにかく壊れないのが強み。自信を持ってオススメできます。ノート e-POWERも物件数が豊富で、新車との価格差が大きくお買い得です。
ソリオ(スズキ) 実用性に優れた隠れた人気車。2020年式の先代モデルならガソリン、HVとも予算100万円で狙える
アクア(トヨタ) 2011年発売の初代は10年にわたり販売された。19~20年式あたりでも予算100万円で探すことが可能
――「100万円で買える中古車」には、走行10万km以上のものもあります。信頼性はどうなんでしょう?
中野 性能の向上や安全基準の厳格化によって、現在の走行10万㎞は、00年くらいのクルマの走行3万kmレベルになってきています。オイルなどの消耗品をしっかり交換していれば、まだ十分に走ります。
内外装のくたびれ具合は気になるところですが、前のオーナーの車庫の環境、使い方によっては、「これで10万km?」と思えるほどきれいなものにも出合えます。複数の在庫を見比べ、もしお店まで足を運べないのであれば、動画を撮ってもらって確認しましょう。
個人的には10年落ち、走行10万kmを買って、必要に応じてメンテしながら長く乗り続けるのが、最も経済的だと思います。きちんとメンテしていけるのであれば、30万kmを狙うのもアリでしょう。
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信頼性の高いクルマの在庫があふれている日本の中古車市場は「クルマ選びの醍醐味を楽しめる場所」とも言える。カーライフの良き相棒が、きっと見つかるはずだ。