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変革が起きたフードデリバリー業界
フードデリバリーサービス「menu」が9月いっぱいでサービス終了を発表。新興勢力の「ロケットナウ」が台頭するなど、目まぐるしく入れ替わるこの業界。その現在地など最新事情をまとめてみました!
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今年3月、フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt」が日本市場から撤退。次いで、大手通信キャリアKDDIが傘下の「menu」について、今年の9月30日にサービスを終了すると発表した。
一方で、2025年1月に上陸した韓国発の「ロケットナウ」が徐々に勢力を拡大。「Uber Eats」「出前館」を含めた日本のフードデリバリーサービスは今後どうなっていく!? フードデリバリーコンサルタントの堀部太一氏に、現況について聞いてみた。
「コロナ禍の巣ごもり需要によりUber Eatsや出前館などのプラットフォームが一気に普及し、市場が急拡大。市場規模は19年時点で約4183億円でしたが、23年に約8603億円まで成長し、ピークを迎えました。
その後、コロナ禍の終焉とともに市場の拡大が落ち着き、ユーザー、加盟店、配達員を増やすことが重要なフェーズから、利益を出すことが重要なフェーズになりました。
しかし、ユーザーからの手数料を増やせばユーザーが離れ、加盟店からの手数料を増やせば加盟店が離れ、配達委託費を減らせば配達員が離脱してしまう、といった難しい局面となっています」
「menu」はローソンなどのコンビニや地域の人気飲食店などのデリバリーのカバーもしていたが、あえなくサービス終了の運びとなった
Woltやmenuもそのあおりを食らったと?
「そうですね。そんな中、韓国発のロケットナウが上陸。"韓国のAmazon"とも呼ばれるCoupang社が運営するフードデリバリーサービスです。大きな資本力を武器に赤字前提で顧客獲得を狙い、『送料・サービス料無料』『店舗と同価格』など非常にわかりやすい価格戦略を打ち出しています。
ユーザーを奪われないためには、既存のフードデリバリーサービスもこの価格競争に対抗しなければならない状況で、シェアの小さいWoltやmenuは持続的な成長が難しいという判断に至ったと考えられます」
「配達員の間でもWoltやmenuは危ないという声があった」と話すのは、フードデリバリーサービス配達員YouTuberの「オオハシーズ」こと大橋敦史氏。
「配達員は複数のフードデリバリーサービスをかけ持ちしている人が多いんです。複数のアプリを同時に立ち上げながら、最も条件のいい案件に対応することで効率良く稼ぎます。
僕自身も主要なサービスはすべて登録していて、各社の状況を配達員目線で常にウオッチしてきましたが、Woltやmenuはだんだんと案件数が減っていて『大丈夫かな?』と思っていました。需要が増える夏場でも全然案件通知が鳴らなくなっていたので。加盟店の数やクーポンの弱さが原因かなと感じます」
配達員が多い、加盟店が多いなど業界シェアナンバーワンの「Uber Eats」は強い
一方でWolt、menuに対してこのような評価も。
「Woltは配達員へのホスピタリティが高かったです。報酬も東京では高かったですし、配達員の顔写真や名前がユーザーに出ないので、女性でも安心して働けるような仕組みになっていました。
menuは現金が使えないという特性があるせいか、客層がいい印象でした。
Uber Eatsやロケットナウなど外資のサービスは外国人のお客さんも多いので、住所のピンズレなどで困ったときも言葉が通じなかったり、トラブルも多いです」
では、これからはどのサービスが生き残るのだろうか? 堀部氏に聞いた。
「現在はUber Eats、出前館、ロケットナウの3社が目立つ状況ですが、25年時点での市場シェアはUber Eatsが65%とかなり優勢と言えます」
なぜUber Eatsは強い?
「フードデリバリーは差別化が難しい業態なので、シェア1位であることが重要。ユーザーが多いと加盟店が集まる→配達員も集まる→事業の効率も良くなるという好循環が生まれます。16年に早期参入したことによる先行者メリットが現在も生きていると考えられます。さらに、母体はタクシー配車サービスなども行なうアメリカのグローバル企業Uber Technologies社。時価総額は約25兆円と資本力が圧倒的です」
配達員視点でのUber Eatsの魅力は? 大橋氏に聞いた。
配送料やクーポンなどでお得さを打ち出す「ロケットナウ」。この施策を今後も続けられるのかが課題
「案件量が圧倒的に多いので、稼ぎたい人に向いています。また、稼げるだけじゃなく働きやすさを感じる人も多いと思います。
例えば、一度受けた案件をキャンセルすることが可能。この仕事は店に到着しても10~15分料理ができないなんてことはザラで、最大で40分待ったこともありますが、Uber Eatsはそんなときに『じゃあやめます』とできる仕組み。出前館やロケットナウは原則キャンセル不可で、ずっと待たなければならない。
Uber Eatsはフードデリバリー初心者も多いので、そうした気楽さも配達員の維持につながっているかもしれません」
そんなUber Eatsと、出前館やロケットナウはどう戦っていく? 堀部氏はこう語る。
「出前館は、日本で長く展開してきたことによる知名度と加盟店基盤は十分にあります。さらに、LINEヤフーとの資本・事業関係があるため、PayPayなどと連携したキャンペーンも実施しやすい。出前館を起点に独自の経済圏をつくる方向に会社がシフト変更すると、デリバリー事業単体での利益にとらわれない事業拡大の可能性があると思います」
ロケットナウは?
「いつまで継続できるかは不明ですが、現時点ではユーザーにとっての価格メリットが圧倒的。まだ国内ではUber Eatsほど店舗数や配達ネットワークが成熟していませんが、韓国の運営母体が持つテクノロジーや物流ノウハウを日本に投入することで局面が一気に変わるかもしれません」
配送料やクーポンなどでお得さを打ち出す「ロケットナウ」。この施策を今後も続けられるのかが課題
大橋氏は配達員視点でこう語る。
「ロケットナウで働く上で心配なのは保険や補償がないこと。例えば、事故に遭っても自己責任。Uber Eatsや出前館は国内でのこれまでのトラブルを経て、各方面に対する補償やルールが整ってきていますが、ロケットナウはこれからです。
ちなみに、今年8月にロケットナウ配達員のつまみ食い動画が問題になりましたが、基本的にはそんなイタズラをするメリットがないので、珍しいケースだと思います。ただ、ロケットナウは現状、配達員の顔認証システムがないので別人がすり替わって働くことも可能なんです。いろいろ整備されていくといいですが」
最後に、今後カギとなってきそうな地方での戦いについても話を聞いた。堀部氏はこう語る。
「高齢者など買い物が困難な方の増加もあり、需要自体は見込めますが、ビジネスモデルとして持続可能なものにできるかは不明です。届ける距離が長く時間を要するため、平均注文単価の高いまとめ買い需要を獲得できるかが重要。単身層でなく、ファミリー需要を獲得できるかが大きなポイントになりそうです」
大橋氏の見解は?
「Uber Eatsは日本の多くのエリアで24時間対応を開始しています。例えば鳥取県でも主要都市では朝から注文できます。配達員が少ないという問題はありますが、配達員が決まらなければ報酬が上がっていくので、働きたい方は一定数いるでしょう。現状は都市のほうが稼げますが、車もバイクも止めやすいし、地方の配達員が増えていく未来はあると思います」
まだまだ進化途中のフードデリバリーサービス。前出の表で、われわれユーザー側のメリット・デメリットもまとめてみたので、ぜひ参考にして有効活用してほしい。