盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎がよく聞かれる質問に回答!「ネタの残り時間はどうやって把握している?」

撮影/梅田幸太

盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん

R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」

第36回は、劇場に立つときの工夫の話

* * *

僕はよく、「目が見えてないのに、どうやってネタの時間を計ってるんですか?」と聞かれます。

劇場でネタをするときには持ち時間があります。若手芸人なら5分くらいのことが多いんですけど、見えてる人なら腕時計なんかで時間を確認しながらネタをやることもできますからね。

あとは、特殊な訓練を受けた結果、ザリガニに乳首を挟ませて痛みを感じるまでがぴったり5分になったおじいさんが吉本の劇場にひとりずついるので、そのおじいさんが舞台袖で痛そうな顔になるのを目安にネタをする芸人もいます。

何その訓練。特殊すぎる。芸人が舞台に出て「はいどうもー」と言うのと同時に、舞台袖でザリガニに乳首を挟ませるおじいさん。シルバー人材の無駄遣い。それとシンプルにおじいさんがかわいそう。

まあ、僕はそんなおじいさんがいたとしても、舞台袖が見えないので、やっぱり時間はわかりません。

それならどうするか? 実は、僕もほかの芸人と同じように腕時計を使うんです。

もちろん時計の表示は見えません。ただ、時計の種類によってはタイマーやカウントダウンの機能があって、設定した時間がたつと振動するものもあるんです。

なので、5分ネタをやるときは、4分半にタイマーを設定しておきます。腕時計の震えを感じたら、そこからなんとなく30秒くらいでネタをまとめて終わる、みたいな感じでやっています。

前までは別の腕時計を使っていて、設定した時間がたつと高市早苗総理の歌声で大音量の子守歌が流れる時計を使っていたんですけど、「寝たほうがいいのはそっちやろ」と思って気が散るので使うのをやめました。

ただ、今使っているこの腕時計にも弱点があるんです。スマホのように音声読み上げ機能がついているわけじゃないので、タイマーの設定は見えてる人にやってもらわないといけません。

4分半に設定したくても、表示が見えなきゃ自分ではできないですからね。それで一度、やらかしちゃったことがあるんですよ。

その日は珍しく持ち時間が10分で、劇場のスタッフさんにタイマーを9分半にしてもらおうと思ったんですけど、いつもやってくれている人がたまたまいなくて。

僕も操作の仕方を説明できないので、どうしようかと思っていたら、見かねた別のスタッフさんが「9分半たったら、舞台袖から『そろそろです』と声をかけますよ」と言ってくれたんです。

それなら大丈夫やと思って、いざ出番になって舞台上でネタをやっていたんですけど、オチの「ここが一番の笑いどころ!」っていうタイミングの直前に、舞台袖からスタッフさんの大きい声で「そろそろでーす!」って聞こえてきて。僕のオチのセリフが完全にかき消されちゃったんですよ。

しょうがないから、お客さんに「今、こういう事情でスタッフさんが声をかけてくれまして......」と説明したら、そこがその日一番ウケました。

その出来事以降、10分ネタのときは別のやり方でやってます。「なんで思いつかなかったんや」って感じですけど、4分半のタイマーを2回使うようにしています。そしたらトータル9分になるので、あとはなんとか肌感覚で1分しゃべってネタを終わるようにしています。

まあ、どうしてもお客さんを笑わせたいときはまた舞台袖から声を出してもらおうかなあ。

●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう) 
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5
 

★盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の「死角からの一撃」は毎週水曜日更新

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