『超RIZIN.5』で復帰を果たすYA-MAN。派手なド付き合いに懸ける美学と、ライバルたちへの本音とは?【後編】

取材・文/松下ミワ 撮影/武田敏将


「YA-MANの試合は、毎回絶対におもしろい」ーーファンやプロモーターから厚い信頼を寄せられ、リングに上がれば派手なド付き合いと劣勢でも決して諦めない類まれなるファイティングスピリットで観る者の心を掴み、毎試合、会場を熱狂の渦に巻き込むYA-MAN。

9月10日(木)には、「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」(京セラドーム)で、左眼窩底骨折から復帰し、斎藤裕と9か月越しの対戦に臨む。

そんな彼はなぜ毎回、壮絶な試合に身を投じるのか。試合を通して伝えたいメッセージとは。

後編では、そのむき出しの闘争本能の根底にある美学に迫るとともに、同じフェザー級のライバルである平本蓮(ひらもと・れん)や朝倉未来(あさくら・みくる)、賛否両論渦巻く『BreakingDown』、そして彼がリングに立ち続ける真の理由を語ってもらった。

前編はこちらより
『超RIZIN.4真夏の喧嘩祭り』(2025年7月27日/さいたまスーパーアリーナ)におけるYAーMAN vs金原正徳戦(写真提供/RIZIN)『超RIZIN.4真夏の喧嘩祭り』(2025年7月27日/さいたまスーパーアリーナ)におけるYAーMAN vs金原正徳戦(写真提供/RIZIN)

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【殴り合い上等の闘い方を選ぶ理由】

――YA-MAN選手は大学で建築を専攻されていたそうですね。進学の動機を「稼げそうだから」と言われていましたが、ぶっちゃけ建築と格闘家、どっちが稼げますか?

YA-MAN ボクは大学時代にキックボクシングを始めて、結局、自分の意思で格闘技を選んだので、建築の仕事はやったことないんですよね。だから、どちらが稼げるかはわからないけど、格闘家も稼げますよ。年齢的な期限はあるけど瞬発的に稼げます。それに、格闘家は簡単というかラクですね。

――ラク!? 凄く大変そうに見えますけど。

YA-MAN たとえば、野球やサッカーは競技人口が多いじゃないですか。その中でトップになって、稼げるのは本当にひと握りですけど、格闘家は全体の母数が少ないし、しかも階級も分かれていてさらに人数が絞られるんで。そのトップに立てばわりと稼げますから。格闘技、めっちゃオススメです(笑)。

――それは、プロモーターがオファーしたくなるような"名勝負製造機"YA-MAN選手だからこそのような。いつもどんな気持ちでリングに上がっているんですか?

YA-MAN もう、シンプルに相手を"殺す"ことしか考えてないです。

――ストレートすぎます!

YA-MAN うまく立ち回ろうなんて一切考えてない。勝ち負けすらあんまり考えないですね。リング上で何か考えてたら、その0.0何秒で勝負が決まっちゃうんで。その0.0何秒をいかに省けるか。それにボクはMMAを単なる競技と思ってないです。完全に(古代ローマの)コロッセオの感覚で闘っていますから。

――判定勝ち狙いのポイントゲームは性に合わないですか。

YA-MAN それができるならやりたいですよ。でも、できないんですよ。自分がそれをやって勝てる気がしないです。MMAは選択肢が多いですけど、その中で一番得意なところで戦わないと。そして、ボクの一番得意なものが殴り合いなんで。ボクの場合は、それでお客さんに喜んでもらえるのでラッキーですよね。

――だからこそ、格闘技は「ラク」なんですね。

YA-MAN そう。ボクは格闘技を苦に思ったことが本当にないんですよ。練習も好きなんで。パチンコ好きな人がウキウキでパチンコ屋に行く感覚と一緒ですよね。練習も、ボクにとっては本当に遊びに行くような感覚です。

【平本蓮、朝倉未来、BreakingDownを語る】

――YA-MAN選手が戦うRIZINフェザー級には、平本蓮選手、朝倉未来選手が大きな存在感を示しています。彼らについてもうかがいたいです。まず平本選手とはMMAルールでの対戦経験(23年12月31日『RIZIN.45』/3ラウンド判定3-0での平本勝利)もありますよね。

YA-MAN 俺、平本のことはマジで嫌いなんですよ。

――は、はっきり言いますね!

YA-MAN RIZIN以外でもいろいろあって、ガチで大揉めしてますからね。詳しくは言わないですけど。

――以前、記者会見で同席されたときは、平本選手が「坊主頭、似合ってるよ」と声をかける場面もあったので、てっきりいい距離感なのだとばかり思ってました。

YA-MAN いや、手のひら返して俺に絡んでくるなんて、逆に「あいつスゲエな」と思いましたもん。たぶん、俺に試合で勝ったから余裕が生まれてるんだと思いますけど。


――そこまでお嫌いとは思わなかったです。一方、朝倉未来選手の存在感はどのように見ていますか? 朝倉選手とはオープンフィンガーグローブのキックボクシングイベント『FIGHT CLUB』での対戦経験がありますが(23年11月19日/1ラウンドKOでYA-MAN勝利)。

YA-MAN 未来さんは、格闘技界の人からしたらやっぱり"カリスマ"なんじゃないですかね。こんなこと言うとアサシン(朝倉未来信者)みたいに思われそうだけど。

――ある時期、一緒に練習していたこともありますよね。朝倉選手のお人柄はどう感じてます?

YA-MAN めちゃめちゃ面倒見がいいですよね、身内には。未来さんの周りにいる人たちは、何かしらの恩恵を受けて、得しているじゃないですか。口数は多くないんですけど、自分がどう関われば仲間たちの得になるかを考えてるんじゃないですかね。

――朝倉選手はBreakingDownも変わらずプロデュースされていますよね。賛否が絶えないですが......。

YA-MAN ボクは、どちらかというとBreakingDownは格闘技界にとってプラスだと思ってます。BreakingDownの選手とRIZINの選手で「どっち強いんだ」と話題にもなりますし、BreakingDownの選手がスポンサー料をいくらもらってるかは、やっぱり話題になるじゃないですか。そうなるとプロ格闘家のファイトマネーの相場も上がっていくわけで。

――いい基準になってくれるわけですね。

YA-MAN プロ格闘家にとってもメリットは大きいですよね。あと「BreakingDownは観るけど、RIZINは観たことがない」という人もいると思うんですよ。そんな中で、BreakingDownの選手がRIZINに上がったらRIZINファンの裾野も広がるし「プロ格闘家ってやっぱスゲー」ってなりますよ。

――プロの強さもわかりやすくなると。

YA-MAN まあ「格」に関しては、全員に把握してもらうというより、わかってる人だけわかっていればいいと思ってますけど。逆に、格闘技界もBreakingDownを学ぶべき部分もあると思うんで。世間に試合を見てもらえなきゃ始まらないし、プロ格闘家もただ強いだけじゃ生き残れないんでね。

【YA-MANがファンに届けたいメッセージ】

――YA-MAN選手はひとり親家庭のお子さんたちを自費で自分の試合に招待する活動もされていますよね。あれは自発的に?

YA-MAN はい、もう4年ぐらいやってますね。たぶんその活動には1000万円ぐらいは使ってるんじゃないですか?

――そんなに! 素晴らしい取り組みですが、どのような思いからされているんですか?

YA-MAN 一番は自分のやる気のためですよね。ボク、べつに大富豪じゃないけど、欲しいものもないし、お金を稼ぐモチベーションがちょっと薄れてきていて。そんなときに児童養護施設にボランティアに行く機会があったんですけど、子供たちから「YA-MANの試合を観てやる気もらいました」と言ってもらえたことがあって。これ、めっちゃいいなと思って。


――自分を奮い立たせる原動力になったと。

YA-MAN そこから招待するようになったんです。招待するからには中途半端な試合はできないんでね。だから、べつに慈善活動とか格闘技の裾野を広げている意識はなく、自分のためなんですよ。

――そして、試合後のマイクも毎回「誰でも這い上がれるチャンスはある」というメッセージを送っていて、いつも胸を打たれます。

YA-MAN ありがとうございます。試合で全部出し切るんで、マイクはあんま覚えてないんですけどね(笑)。まあ「ボクができるんだから、誰でもできるっしょ」みたいな。同じフェザー級だったら秋元強真(あきもと・きょうま)くんは見るからに天才じゃないですか。那須川天心(なすかわ・てんしん)も真似しようと思っても無理そうだし。でも、ボクだったら気合いさえあれば誰でも真似できると思うんですよ。

――YA-MAN選手のファイティングスピリットは普通じゃないと思いますけど(笑)。ただ今回の斎藤裕戦を含め、今後はさらに厳しい相手との闘いが続きます。そんな中、伝えていきたいメッセージは変わってきますか?

YA-MAN いや、変わんないです。「YA-MANにできるんだから、誰でもできる」というメッセージは。

――それは、現RIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフに勝ったとしても? いまシェイドゥラエフ選手は強すぎてRIZINでは相手がいない状況ですけど。

YA-MAN もし、俺がシェイドゥラエフに勝ったら「自分も頑張ればシェイドゥラエフに勝てるかも」と思ってもらいたいです(笑)。

――そんなふうに思える人はたぶんゼロです! でも、実際にどうなのかYA-MAN選手には実現してみてほしいです。

YA-MAN まあ「シェイドゥラエフを倒せ」とは言わずとも、ボクの試合に刺激されて誰かが何かをはじめてくれたら。ボクにとっては、それこそが自分が闘う意義ですね。

●YA-MAN 
1996年5月31日生まれ、埼玉県出身。173cm、66.0kg。TARGET SHIBUYA所属。19歳でキックボクシングをはじめ、RISEでプロデビュー。2023年にはRIZINでMMAデビューを果たす。同年、ABEMAと共同でプロデュースしたオープンフィンガーグローブのキックボクシングイベント『FIGHT CLUB』で朝倉未来と対戦し1RKOで勝利したことが話題に。2025年末以降、左眼窩底骨折で戦線離脱していたが、2026年9月の超RIZIN.5斎藤裕戦で復帰を果たす。会場を爆発させるド突き合いのファイトスタイルが代名詞。

9月10日(木)「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」が京セラドーム開催!
https://jp.rizinff.com/_ct/17853585#c17853585_h5

  • 松下ミワ

    松下ミワ

    まつした・みわ

    プロレス・格闘技雑誌『紙のプロレス』編集部員を経てフリーとなり、現在は選手インタビューを中心に執筆。

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