看護師やごみ収集員など仕事に忙殺される人々看護師やごみ収集員など仕事に忙殺される人々
直近の消費者物価指数は4%上昇。インフレが進む中、果たして、それに応じて給料が上がってる会社ってどのくらいあるの? 週プレは大規模アンケートと、要注目の仕事40種に詳細インタビューを実施。超リアルな懐事情の現状を一挙公開する!!【ガチ調査 みんなの給与明細 Part3】

今回は人手が足りない! 業務量が多すぎる! 悲鳴を上げている仕事人たちに実情を聞いた。

※記事に出てくる年収やボーナスは、額面の金額です。すべて個人の取材によるもので、職種や業界の平均値ではありません

■増える患者に使えない新人。ここにもうひとつのコロナ禍が

・コロナ病棟の看護師 【大学病院】(女/20代後半)

〈年収〉【額面】590万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】50万円(↑)
〈現在副業は?〉してない

コロナ感染者が増える時期はとにかく激務。ベッドが空いている病院が足りず、救急患者もなかなか受け入れられない状況が続く。離れた地域から30分以上もかけて搬送されてくる患者も珍しくない。

コロナ手当はひとりでもコロナ患者と接したら一日4000円という換算で、ほかに夜勤手当が6000円あり、トータルで月に6万~7万円くらいになる。

こうした手当はコロナ対応の病院に勤務する大きなメリットだが、もっと人員を増やしてほしい。ただし、今の1年目の看護師は、コロナの影響で実習が十分でなかったので、まるで使い物にならないのが玉にキズ。

■送料無料の裏に、ドライバーたちの阿鼻叫喚

・長距離トラックドライバー(男/40代後半)

〈年収〉【額面】580万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】5万円(→)
〈現在副業は?〉してない

関東を拠点に全国各地を回り、家に帰れるのは2週間に1度くらい。「ボーナスってなんですか?」という世界だが、うちの場合は5万円の寸志が年に2度出るのがまだ救い。当然、ベアやインフレ手当などあるわけがない。

この仕事は歩合給がほとんどで、走ったら走っただけ金になるが、運送業界は来年、ドライバーへの働き方改革が適用される。ただでさえ30年前よりも賃金が下がっているのに、働く時間も制限されるとなれば、多くのドライバーは暮らしていけないはず。「送料無料」の裏に、われわれが安く使われている現実があることを知ってほしい。

■ステイホームで、ごみと作業量が激増!

・民間ごみ収集員(男/40代前半)

〈年収〉【額面】550万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】25万円(→)
〈現在副業は?〉してない

朝7時に出社してごみ収集車に乗り、16時台に帰社し、身の回りの片づけをして退社、というのが仕事のルーティン。コロナ禍でステイホームが始まってから、とにかくごみの量が増え、人手が足りず困っている。しかし、ガソリン高騰の影響で日常の経費が増し、とても従業員の増員にまで手が回らない様子。

また、分別方法を正しく認識していない家庭が多く、割れたガラスでケガをしたり、ライターやスプレー缶が火を噴いたりすることもしばしば。これで年収550万円は割に合わない上に、インフレ手当についても会社側から「検討する」と言われてそれっきり。

■感染リスクにおびえながらハンドルを握る日々

・路線バスドライバー(男/50代後半)

〈年収〉【額面】385万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】24万円(ただし年3回支給)(→)
〈現在副業は?〉してない

以前は空港リムジンバスの担当だったが、コロナの影響で減便が相次ぎ、市街地を走るバスの運転業務に転属になった。毎日大勢の乗客と接する仕事なので、感染者が増えてくるとどうしても不安になる。その意味では、日本政府が海外からの旅行者受け入れに割と慎重なのはありがたいことだ。

他業界に比べて給与水準も低いので、退職者が後を絶たないのも悩み。しかし、残業や休日出勤の手当はちゃんと出るのは救いで、働けば働いただけ稼げる点は気に入っている。副業に興味がないわけではないが、肉体労働なので、そんなヒマがあるなら寝ていたい。

■人手が足りないので休日出勤を断れない

・特殊清掃員【主任】(男/40代半ば)

〈年収〉【額面】580万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】40万円(↑)
〈現在副業は?〉してない

遺体のあった部屋をきれいにするのが最も多い業務だが、最近増えているのはごみ屋敷の整理・清掃業務。このほか、ステイホームをきっかけにひきこもり状態になった若者や、足腰が弱った独居老人の増加でオーダーが殺到しているが、慢性的な人手不足のため現場は混乱している。

残業や休日出勤には手当がつくが、人が足りないので断る選択肢がないのが問題。体力的にはもちろん、時には精神的にもつらい仕事なので、ボーナスは微増傾向だけど喜びはあまりない。まして、仕事以外の時間は休息に充てたいので、とても副業で稼ごうと思える余裕は残っていない。

■残業100時間。1時間半かけて歩いて帰る日々

・スタートアップIT企業マーケター、制作ディレクター(男/30代前半)

〈年収〉【額面】560万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】なし(年俸制)(→)
〈現在副業は?〉してない

設立5年目を迎えたITベンチャーのディレクター職。はっきり言って、この手のスタートアップ企業にベアなどといった概念はない。そもそも今どき普通に働いているだけで自動的に昇給するなどとは考えない人種の集まりなので、ベアを求める人は社内で浮いてしまう。

みなし残業が45時間だが、実働は100時間近く。もちろん超過分の残業手当など出ない。終電を逃すのはザラなので、1時間半かけて家まで歩いて帰ることも多々。こうした働き方は法律上ではNGかもしれないが、現実的にはこういうスタートアップがほとんどだと思う。

■ボーナスアップの理由は、接待の消滅!?

・大手広告代理店営業(女/20代前半)

〈年収〉【額面】500万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】なし(新人のため支給なし)
〈現在副業は?〉NG

担当企業のカタログ製作、CMの発注を行なっている。クライアントから要望を聞き、制作会社に指示を出す中継役。残業は月60時間と忙しい。

コロナ前であれば、クライアントや制作会社との飲み会も多かったはず。お酒は苦手なため、入社前は不安を感じていたが、飲み会はほぼ消滅しており杞憂に終わった。年1回の夏のボーナスが1割近く増額されるなど、コロナ禍でも会社の業績は上り調子。

従来の接待、会食費が一気に浮いたことが影響しているとの噂も。しかし、1年目の自分には夏のボーナスが支給されなかったため、先輩がうらやましい。

■アパレル業界が円安の影響を受けるのはこれから

・アパレルマーチャンダイザー 【販売計画立案者】(女/30代前半)

〈年収〉【額面】430万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】なし(↓)
〈現在副業は?〉NG

最近、店舗販売員からエリアマネジャーに昇格し、土日休みの身分になった。とはいえ、店舗の応援に行く機会も多く、多忙は変わらないのに責任は増している。その一因は、アパレル業界が不人気で下の世代があまり入ってこない上、入ってもすぐに辞めてしまうから。

本来は販売実績に応じてインセンティブが設定されていたが、コロナ禍の業績不振で制度が廃止されてしまったのも痛手。当然、ボーナスもなくなり、年収はピーク時より100万円も下がってしまった。今年は円安以降に作られた製品を仕入れなければいけないので、さらに厳しくなりそう。

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