55歳のアクションスター、キアヌ・リーブス「ガン・フー」の秘話、そして、『マトリックス』の新作のことまで語る

映画『ジョン・ウィック』シリーズの新作『ジョン・ウィック:パラベラム』を引っ提げて、主演のキアヌ・リーブスが緊急来日! リアルで迫力満点な、彼のアクションはどう生まれた? シリーズの今後は? ネットで話題の「キアヌはいい人伝説」についてはどう思う? 本人に聞いた!

■アクションとは"感情的な高まり"

55歳のキアヌ・リーブスが主演するアクション巨編『ジョン・ウィック:パラベラム』。シリーズ3作目の本作で彼が見せるアクションは、ひたすら激化していて、肉体と肉体が攻撃し合う戦いはとにかく痛そう! 続編のたび過酷になっていくアクションに、キアヌが挑み続けているのはなぜ?

「楽しいからだよ。僕はもともと、肉体的なアクションをするのが好きなんだ。それにアクションシーンは感情的な高まりが最高潮になる場面であって、僕はそれを表現したいと思ってる。

キャラクターとして動くときって、何かの感情が動くから体も動くわけだよね。そこには必然があって、僕はその思いがどんなものかを探り、表現することに楽しさを感じているんだ。まあ、多少は痛いけどね(笑)」

本シリーズのアクションはとてもリアルだけど、それも感情表現としてのアクションにこだわっているから?

「うん。それはチャド(スタエルスキ監督)のこだわりでもあるんだ。彼は、舞台の上でダンスを踊るようなライブ感を出したいって僕に求めてきた。それが画面の中で、親近感と真実味を感じさせるんじゃないかな。

僕は(本作で)馬上でのガンファイトやオートバイの上で刀を振り回すことなんかを提案した。チャドもアイデアマンで、刀での戦いなのに雪合戦みたいなファイトを思いついたり。

そういうアイデアを擦り合わせて映画にしていくのはすごく面白いよ。そこに香港映画に出てくる名もなき男たちとか、イタリア映画の構図とか、自分たちの好きなアクション映画のテイストを投入しているんだ」

その話しぶりから、キアヌが同シリーズに相当入れ揚げているとわかる。そこまで思い入れを持つ理由は?

「それは、とってもパーソナルな思いなんだ。僕にはジョン・ウィックが自分に近いって感覚があるんだよ」

妻を亡くした喪失感に苦しむ殺し屋ジョンは、謎に包まれた男。だが、殺す相手にさえ敬意を払い、「また会おう」なんて言ったりするところには優しさも感じる。

「僕もそう感じているよ。ジョンにいちばん惹(ひ)かれたのは、影のあるところ。僕は(ジョンの中には)ふたりの男がいるって感じがしている。ジョンという男と、暗殺者と。彼が人殺しを続けているのは、そんな生き方しかできないからなんだけど。人を殺すことにうんざりしているのにさ」

ジョンの優しさには、キアヌ自身の優しさも反映されている......?

「もしもそうなら、僕も彼みたいに優しく振る舞わなきゃいけないね(笑)。彼は非常に名誉を重んじる人間なんだ。彼はルールを守り、そしてルールを破る。高貴なる心の優しさがあって、自虐的なユーモアのセンスがある。そういうところに共感するし、演じるのが楽しい役なんだよ」

ところで、最近、ネットにキアヌの"いい人エピソード"があふれ、人々に癒やしを与えているけど、ファンとしてはどうしても役と結びつけたくなるわけで、キアヌはどう思っているのだろう?

「僕はSNSをやっていないからわからないけど、いまやみんながデジタルな体験をしているからね。僕の情報が出るってこともあるだろう。でも、僕にはよくわかんないや」

さて、00年代に世界中にブームを起こした『マトリックス』シリーズ4作目の製作が先月決定した。主役のネオを演じるのは当然キアヌだけど、シリーズものは前作を超えなければならないから、プレッシャーでは?

「ベストを尽くすしかないよね。『マトリックス』をまたやるのは怖いよ。だって期待がすごく高まっているんだもん! でもやりたいというからには(監督の)ラナ・ウォシャウスキーにとっての必然があるはずで、それがなんなのか楽しみにしているんだ」

最後に、『ジョン・ウィック』シリーズの進む先は?

「ジョンはもっと苦しむことになる。僕は犬を取り戻したいし、ジョンがどんな名前をつけるかに興味があるね(笑)。彼の過去をもっと描きたいし、まとめて現在から振り返るような形でやりたい。ほかの人に彼を語らせるか、新しい登場人物を出すか......。いずれにせよ、ジョンのことがもっと明確になるはずだから、楽しみにしていてくれ!」

●キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)
1964年、レバノンのベイルートに生まれ、カナダ・トロントで育つ。カナダで舞台やテレビを中心に活動していたが、映画『栄光のエンブレム』(86年)に出演後、米ハリウッドに拠点を移す。『スピード』(94年)でブレイクした後、『マトリックス』(99年)の主人公ネオ役で不動の人気を獲得。ほかの主な出演作は『コンスタンティン』(2005年)、『地球が静止する日』(08年)、『47 RONIN』(13年)など

■超絶キルアクションがマシマシ! シリーズ最高傑作! 10月4日全国公開!
『ジョン・ウィック:パラベラム』
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス、ハル・ベリー、イアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンジェリカ・ヒューストン

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引退した殺し屋、ジョン・ウィックに扮したキアヌ・リーブスが、銃撃、カンフー、柔術を織り交ぜた「ガン・フー」を駆使してマフィアや彼の命を狙うアサシンらと激闘を繰り広げる「ジョン・ウィック」シリーズの第3弾。前作で殺し屋たちが集う「コンチネンタルホテル」の掟である「ホテル内で殺しは禁止」を破ってしまったジョン。裏社会の聖域から追放された彼は世界中の組織から命を狙われる身になる。傷だらけとなったジョンは、かつて「血の契約」を交わしたソフィアに協力を求め、モロッコ・カサブランカへと飛ぶが......