【プロ野球「まさかの異変」】「スター不在」が顕在化......日本球界「遊撃手クライシス」の真相

写真/時事通信社

オールスターファン投票パ・リーグ遊撃手部門1位の水野(日本ハム)。勝負強いバッティングが魅力オールスターファン投票パ・リーグ遊撃手部門1位の水野(日本ハム)。勝負強いバッティングが魅力

交流戦が終われば、リーグ戦の再開で熱を帯びるプロ野球。各所で巻き起こるさまざまな"異変"を野球評論家・お股ニキ氏が徹底解説する! 【緊急報告! プロ野球「まさかの異変」】

【〝守備の華〟次世代の希望は?】

〝守備の華〟とも称され、花形ポジションとして名高い遊撃手だが、近年は「スター不在」の状態が続いている。

オールスターファン投票(中間発表)の遊撃手部門で、現在セ・リーグ1位は長岡秀樹(ヤクルト)、パ・リーグ1位は水野達稀(日本ハム)。いずれも成長著しい若手だが、球界を代表するスターにはまだ成り切れていない。

今年3月のWBCでも遊撃手が誰になるのかが議論を呼んだが、結局はベテランの源田壮亮(西武)が2大会連続で選ばれた。誰よりも早く源田を推していたお股ニキ氏が解説する。

「源田の守備は20年にひとりのレベルであり、小坂誠さん(元ロッテほか)と並ぶレジェンド級。ベテランの域に入ったとはいえ、今の日本球界では圧倒的な遊撃手です」

スター遊撃手といえば、近年は三塁手に転向しており年齢による衰えも見られるが、高卒2年目から活躍を続ける坂本勇人(巨人)の存在を忘れてはいけない。

「正直、今の日本球界に坂本の後継と呼べるような、打って守れる圧倒的なスター遊撃手は存在しません」

もっとも、人材が枯渇しているわけではない。

「長岡はまずまずの打撃力を持ち、村松開人(中日)も打撃が開眼してきた。決して悲観する状況ではありません。ただ、全体として見れば、スケール感がひと回り小さくなっている印象は拭えません」

オールスターファン投票セ・リーグ遊撃手部門1位の長岡(ヤクルト)オールスターファン投票セ・リーグ遊撃手部門1位の長岡(ヤクルト)

背景には、遊撃手に求められる守備基準の著しい高まりがある。

「今は守備にわずかでも穴があれば、ショートを任せてもらえません。打撃特化型の選手は、最初からサードやファースト、外野へ回される。結果、守備は堅実でも打率.250、10本塁打程度の『優秀な手堅い遊撃手』でまとまってしまう。卓越した運動神経と強肩、打撃での貢献まで備えた坂本や源田は稀有な存在なんです」

スケール不足の根幹には、育成と文化の問題も横たわる。

「日本では、身体能力の高い大柄な選手はまず投手をやる文化があります。結果、遊撃に残るのは『うまいけれど、フィジカルや打撃の迫力は物足りない』というタイプになりがち。

少子化の影響も無視できません。投手も捕手も打撃理論も、ここ数年で大きく進化しましたが、内野守備、とりわけ遊撃手の育成にはまだ伸びしろがあります」

では、次世代の希望はどこにいるのか?

「肩の強さ、身体の強さ、打球速度、出塁率、長打力などを兼ね備えた『現代型遊撃手』が必要です。源田型の守備職人はもちろん貴重ですが、源田以降の侍ジャパンの遊撃手には、もう一段上のフィジカルと打撃を要求しなければならない時代に入っています。

その視点に立ったとき、私が期待しているのは、高卒2年目の田中陽翔(はると/ヤクルト)です。183㎝の大型遊撃手で、すでに別格のオーラを放っています。スケールの大きな田中が定位置をつかめば、日本球界の未来は明るくなるかもしれません」

守備の負担が重いポジションだからこそ、打力まで備えた真のスターの誕生が待たれる。空席となった「華のポジション」を、次に彩るのは誰なのか――。

*成績はすべて6月8日時点

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