「鳴尾浜の魔改造」消滅? 阪神「リリーフ不調」で投手王国に陰り【プロ野球「まさかの異変」②】

写真/時事通信社 共同通信社

アキレス腱断裂の石井(右/阪神)。昨季50試合連続無失点の新記録を樹立アキレス腱断裂の石井(右/阪神)。昨季50試合連続無失点の新記録を樹立
交流戦が終われば、リーグ戦の再開で熱を帯びるプロ野球。各所で巻き起こるさまざまな"異変"を野球評論家・お股ニキ氏が徹底解説する! 【緊急報告! プロ野球「まさかの異変」4連発②】

【盤石だったブルペンの崩壊】

昨季、救援防御率1.96という12球団断トツの数字を誇った阪神。その鉄壁のブルペンに異変が起きている。救援防御率が4点台へと跳ね上がっているのだ。

個別に見れば、桐敷拓馬が防御率7.04、早川太貴が6.94、新外国人のダウリ・モレッタも7.07と苦しむ一方、岩崎優(すぐる)は1.15、ラファエル・ドリスは0点台とベテランは健在だ。

ブルペン全体が崩れたというより、勝ちパターン周辺の再現性と層が揺らいでいる現状について、お股ニキ氏が分析する。

「最大の要因は、石井大智と及川雅貴の離脱による穴、そして、昨年オフに日本ハムへトレードで出した島本浩也の穴です。特にアキレス腱を断裂した石井の不在は影響が大きすぎました。

石井は相手の最も手ごわい打者をピンポイントで止めにいく火消しもでき、クローザーも務められる。チームで最も代えの利かない投手です。昨季も石井が抜けた交流戦は明らかに弱かったですし、不在の影響がブルペン全体に波及しています」

頼みのベテラン陣も絶対的な枚数が足りていない。

「岩崎やドリスが安定しているとはいえ、年齢を重ねており、いつまでも頼り切るわけにはいきません。守護神クラスのリリーバーがいても、そこへつなぐ中継ぎの層が薄ければ、勝ち試合の終盤は綱渡りになります。

これまでの阪神は『鳴尾浜(なるおはま/2軍施設、兵庫県西宮市)から誰かが出てきて、落ちた投手も調整してまた1軍へ戻ってくる』という再生産を繰り返していましたが、今季はそのサイクルが回っていません」

近年の阪神は若手や外国人、他球団でくすぶっていた投手を2軍施設で鍛えて、1軍で活躍させる「鳴尾浜の魔改造」が強みだったが、今季は思うような結果を得られていない。

「2軍施設が同県尼崎市のSGLスタジアムに移り、トラッキングツールやバイオメカニクス測定などの設備はそろいました。しかし鳴尾浜時代は外国人投手が軒並み伸び、不調の投手も調整して1軍復帰することが多かったのに、そのサイクルが今季はやや細って見えます。

コーチ陣が入れ替わり、阪神独自の育成ノウハウの継承に影響が出ている可能性はありますが、結局、プレーするのは選手自身。環境が良くなっても、それを生かせるかどうかなんです」

ドラフト戦略の影響も小さくない。

「近年は野手重視のドラフトが続き、投手の即戦力が乏しいです。現役ドラフトやトレードで有望なリリーバーを簡単に手放し続けていることも、今季の中継ぎ陣の層の薄さに直結しています。分厚い投手陣と育成の自信からのほころびがどこかにあったのかもしれません」

今季中に石井が復帰できるかは極めて未知数であり、新たな戦力の突き上げは急務だ。現状は優秀な先発陣と強力な野手陣の力でしのいでいるが、試合終盤に競り勝つ粘り強い野球をするためには、計算できる勝ちパターンが欠かせない。

「160キロ近い直球を持つ工藤泰成(たいせい)、木下里都(りと)、椎葉剛(しいば・つよし)ら若手右腕の台頭が待たれます。剛腕を生かして勝ちパターンへの定着を期待したいです。

阪神の投手育成のフィロソフィーが優れているのは間違いありません。恵まれた設備を生かし、再び鉄壁のブルペンを築き上げてほしいです」

*成績はすべて6月8日時点

この記事の特集

編集部のオススメ

関連ニュース

TOP