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交流戦が終われば、リーグ戦の再開で熱を帯びるプロ野球。各所で巻き起こるさまざまな"異変"を野球評論家・お股ニキ氏が徹底解説する! 【緊急報告! プロ野球「まさかの異変」4連発①】
今季、セ・パ両リーグでマスクをかぶる男たちのバットが異様な熱を帯びている。
12球団で断トツの打率を誇るのは佐藤輝明(阪神)だが、それ以外の選手はほぼ軒並み2割台であり、投高打低の傾向は色濃いまま。
ところが、その渦中で規定打席に満たないものの、好打を見せる捕手が続出しているのだ。現役投手を指導するピッチングデザイナーで本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏が解説する。
「捕手の打撃が相対的に向上しているのは間違いありません。要因のひとつは〝ボールの正常化〟です」
打球が異常に飛ばなかったここ数年からわずかに揺り戻し、今季はやや飛ぶようになってきているという。そして、その恩恵を最も強く受けるのがミート力にたけた中距離ヒッターだ。
「もともと打てるはずの捕手が、飛ばないボール、広いストライクゾーン、重い守備負担という三重苦で持ち味を消されていた。今季はその重石がやや軽くなった印象です。身長174㎝と小柄な古賀悠斗(西武)が打率.342と打ち出したあたりに、〝ボールの正常化〟の影響を感じます」
打率.342、2本塁打、12打点、OPS.873を誇る古賀悠斗(西武)
DeNAからトレードで電撃移籍した山本祐大(ソフトバンク)も、環境を変えて状態が上がった。
「山本も移籍後は打率.350前後と結果を残していました。残念ながら左手有鉤骨(ゆうこうこつ)を疲労骨折して離脱しましたが、もともと打てない捕手ではありません。打撃のいい捕手が本来の力を発揮しやすい環境になってきたということです」
打率.349、2本塁打、9打点、OPS.928を誇る山本祐大(ソフトバンク)
かつての球界には、古田敦也さん(元ヤクルト)や阿部慎之助さん(元巨人)のように、打って守れる大型捕手が君臨していた。
「彼らのレベルが高すぎたため、打撃が谷繁元信さん(元中日、横浜)や里崎智也さん(元ロッテ)クラスの捕手ですら、なかなか出てこない時代が続きました。日本球界は捕手評価の減点法がかなり厳しく、守備、スタミナ、配球理解、所作など、何か穴があると〝捕手失格〟の烙印を押されてしまいます」
打率.321、5本塁打、15打点、OPS.937を誇る大城卓三(巨人)
守備の要求水準が高まった結果、守備に難はあるものの打撃に秀でた捕手は、打力を生かすためにコンバートされるケースが増えた。
「中日から日本ハムへ移籍したアリエル・マルティネスや郡司裕也のように、打力があっても捕手として評価されず、他球団や別のポジションで輝く例が目立ちます。坂倉将吾(広島)も打撃を生かすため、今では野手のような扱いを受けています」
打率.261、6本塁打、21打点、OPS.829を誇る佐藤都志也(ロッテ)
捕手出身の強打者が、別のポジションで花開く例は多い。
「今季、本塁打王争いを繰り広げる栗原陵矢(ソフトバンク)が好例です。現在の体格だと常時捕手起用は難しいですが、捕手をこなせるだけの繊細な動きと野球理解力があれば、内野も外野もこなせるもの。打力を生かす場所さえ与えられれば、一気に戦力として跳ねるのです」
守備の要ではあるが、やはり捕手にも打力は求められるとお股ニキ氏は語る。
「小林誠司(巨人)や海野隆司(ソフトバンク)のように守備で違いをつくれる捕手も貴重ですが、打率が1割台では打線に穴ができる。とはいえ、打てるからといって守備をおろそかにしていいわけではありません。
いくら打っても、まずい守備や配球で失点を重ねれば、打撃では取り返しがつきません。ただ〝ボールの正常化〟という後押しもあり、打てる捕手が輝く流れはしばらく続きそうです」
*成績はすべて6月8日時点