
青木タカオ
あおき・たかお
青木タカオの記事一覧
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営。
中国製の400cc・4気筒のスーパースポーツがニッポン上陸。登録第1号車を青木氏が試乗。果たしてその評価は?
日本メーカーの"聖域"とされてきた400cc・4気筒市場に、まさかの中国メーカーが本格参入! 話題のQJモーターが放ったSRK400RSを、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が公道で徹底テスト。 「中国製は......」という先入観は、もはや過去のものなのか!? その走りと装備の実力にガチンコで迫る。
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――中国メーカーが400cc・4気筒のバイクを日本市場に投入したらしいですね?
青木 ヨンヒャク4気筒は日本製しかありえない。乗る前は半信半疑でした。1970年代半ばのホンダ・CB400FOURに始まり、80年代のバイクブームを経て、日本の4メーカーは競い合うように400cc・4気筒を造り続けてきました。
――このジャンルは日本メーカーの牙城だった?
青木 10年前なら、多くのベテランライダーは「中国製? 冗談はよせ」と笑っていたはず。しかし今回、実際に走らせてみると、その先入観は危ういと感じましたね。
――ほお!
青木 今回試乗したのは、中国メーカー・QJモーターのフルカウルスポーツ、SRK400RS。2025年春の東京モーターサイクルショーで本邦初公開されるや、大きな話題を呼びました。何しろ、中国メーカーが〝独自開発〟した399cc水冷並列4気筒エンジンを積んできた。
QJモーター SRK400RS 価格:104万8000円 イタリアンな雰囲気を漂わすスタイル。高速走行時にダウンフォースを生み出し、フロントの接地感や安定性を高めるウイングレットも備える
――日本のお家芸にガチンコで挑んできたと?
青木 まさにそうです。普通二輪免許で乗れる上限の400ccで、しかも高精度な作り込みが求められる4気筒というのは日本メーカーの〝聖域〟みたいな存在でしたが、排ガス規制や開発コストの高騰によって急速に縮小。
最後の砦だった〝スーフォア〟ことホンダ・CB400SUPER FOURも22年に生産終了し、空白期間を経て新型が先日(8月21日)登場したばかり。
ちなみに23年にカワサキがNinja ZX-4RRを投入して話題を呼びましたが、そこへ今度は中国メーカーが殴り込み!
――で、実車の印象は?
青木 実車を前にすると、まず圧倒されるのが存在感。クラスを超えたサイズ感のアグレッシブなスタイリングは、街中でもとにかく目立つ。パーキングスペースに止めていると、バイクを知る人たちから「なんだコレ!?」という熱視線を浴びました。
――その理由は?
青木 今回試乗した車両は、QJモータージャパンの西 浩二氏(取締役専務執行役員)によれば、日本でナンバー登録されたばかりの記念すべき日本上陸第1号車。走る姿も音も、まだ誰も見たことがない。そりゃ注目されますよね。
QJモータージャパン 西 浩二取締役専務執行役員 西氏は「ブランド力はまだまだ」。しかし、今年のモーターサイクルショーではどデカいブースを展開。日本車勢を強く意識
――実際に走らせると?
青木 まず感心したのが、低中速域の扱いやすさです。スロットル操作に対する反応がすごく自然で、ギクシャク感がない。さらにブン回していくと、4気筒の真骨頂をしっかり味わわせてくれる。シルキーさを保ったまま、一気に高回転まで伸びていく。
――マフラーは社外品?
青木 そう疑うくらい、胸のすくサウンドなんですよね。でも純正ノーマルマフラーです。実はカウルに包み隠された4気筒エンジンの吸気音が、このサウンドを巧みに演出しているんですね。
――サウンドチューニング?
青木 正直、このサウンドチューニングの技術力には感服しました。音も含めて、とにかく「もっと回したい」と思わせるエンジンなんです。
スチールとアルミを組み合わせた軽量ハイブリッドフレームに、クラス最強スペックを誇る水冷4気筒エンジンを搭載。サウンドはギンギン
7インチのフルカラーTFT液晶ディスプレーには、各種電子制御の設定モードを表示。周囲の明るさに応じて自動で白黒反転させる機能も
――ライバルは?
青木 前出の西氏は「Ninja ZX-4RRを強く意識している」と話していました。実際、乗ってみるとライバルをかなり研究していることが伝わります。しかもSRK400RSは176kgと、ZX-4RRより13kgも軽い。スチール製メインフレームにアルミ製リアセクションを組み合わせた車体は軽快で、コーナーではスッと寝てくれます。
――足回りはどうでした?
青木 前後にはマルゾッキ製サスペンション、フロントにはブレンボ製ラジアルマウントキャリパーとセミラジアルポンプを標準装備。ブランドパーツを惜しげもなく投入!
足回りも抜かりがない。フルアジャスタブル式のマルゾッキ製倒立フォークに、ブレンボ製のラジアルマウントキャリパーが輝く
――チョー豪華装備!
青木 それでいて価格は104万8000円。ちなみにNinja ZX-4RRは121万円です。単なる安い中国車ではなく、本気で勝負しに来た価格設定と言えます。
――いまさらですが、そもそもQJモーターの歴史って?
青木 1985年に設立され、年間100万台以上のモーターサイクルやスクーターを生産。イタリアのベネリを手がけているほか、ハーレーダビッドソンのアジア市場向けモデルのX350、X500を共同開発し、Moto2やスーパーバイク世界選手権などにも参戦しています。
――親会社があるとか?
青木 親会社はボルボやロータスなどを傘下に持つジーリー(吉利汽車)HD。また、QJモータージャパンの母体は、BMWやハーレーダビッドソンの正規販売店を全国展開するバルコムグループですから、日本市場に腰を据えて取り組もうとしています。
――日本市場での課題は?
青木 まず販売店を充実させることが急務です。現在、全国55店舗で取り扱っていますが、西氏は「まだまだ足りていません。47都道府県にひとつずつ取扱店を置き、整備や部品供給などアフターサービスをしっかりやっていきたい。中・長期的には、年間販売台数1000台を目指します」と語ってくれました。
――進撃が始まると?
青木 SRK400RSは日本市場を席巻する存在へと成長する可能性を秘めているマシンだと思いますね!