「1日30分睡眠」生活に挑戦した男が告白する"ショートスリー パー"の真実「人はちゃんと寝るべきだと思います」

取材・文/小山田裕哉 イラスト/服部元信

幻覚、奇行、自我の喪失 ......極限の「ショートスリーパー生活」とは?幻覚、奇行、自我の喪失 ......極限の「ショートスリーパー生活」とは?

一生は短い。わずかな睡眠で高パフォーマンスを維持できるなら、その能力を身につけてみたいと思う人は多いはずだ。では「1日30分睡眠」を1週間続けると、どうなる? 

そんな無謀な実験に体を張って挑んだインフルエンサーに直撃した。彼が語る極限の「ショートスリーパー生活」、それはわれわれの想像を絶する過酷なものだった......。

【3日目の誤り】

「1日30分睡眠」の生活を17年間続けていると豪語して話題を集めた実業家の堀大輔氏。その真偽を巡ってさまざまな臆測が飛び交う中、この極端な短時間睡眠生活に挑戦した若人がいた。チャレンジ系ユーチューバーの岩田ゆうた氏(24歳)だ。

1日30分睡眠の生活を1週間ライブ配信――そんな過酷すぎる企画「堀大輔チャレンジ」(以下、堀チャレ)に2回も挑戦した岩田氏に、衝撃のショートスリーパー体験について振り返ってもらった。

* * *

――8月16日から始まった1回目の挑戦は101時間(5日目)でリタイア。そして8月30日からスタートした2回目の挑戦では164時間(7日目)まで記録を伸ばしましたが、目標達成はならず。残り4時間でした。まずはこの過酷な挑戦をすることになった経緯を聞かせてください。

岩田ゆうた(以下、岩田) もともとチャレンジ系の企画は見るのもやるのも好きでした。まだ24歳で体力もあるし、根性もあるほうだと思うから、自分に向いているかなと。

で、堀大輔さんの「1日30分睡眠」発言がネットでバズっていて、これはやるしかないなって。1回目は準備不足でしたが、YouTubeのランキングにも取り上げられ、新しい視聴者を獲得できた感触はありました。だから、すぐ2回目もやることにしたんです。

そもそも、1回目は調子に乗っていたというか、3日目過ぎくらいで「想像したよりもいけるな」と思い、以前から続けていた「大谷翔平チャレンジ」の企画も同時にやってしまったんです。

「1日30分睡眠」のチャレンジ中は自身の生活のすべてをライブで配信した。画像は岩田ゆうた氏のYouTubeチャンネルの動画サムネ「1日30分睡眠」のチャレンジ中は自身の生活のすべてをライブで配信した。画像は岩田ゆうた氏のYouTubeチャンネルの動画サムネ

――なんですか、それは?

岩田 大谷翔平選手がホームランを打つたびに「ホームラン数×1㎞」、投手として勝つたびに「勝利数×1㎞」をマラソンする企画です。

例えば、ある試合で大谷選手が50号ホームランを打ったら、50㎞を走って、投手として10勝目を挙げたら走る距離をさらに10㎞プラスするって感じです。昨年の大谷選手はレギュラーシーズンで55本塁打、総走行距離は1541㎞でした。

――めっちゃきつそう。

岩田 今シーズンもやっていたのですが、堀チャレがスタートしたので、マラソンはいったん休止、後日に消化するつもりでした。

ただ、先ほども言ったようにイケる感があり、走るほうも並行しようと思ったんですが......寝不足による体力の低下は半端なくて、6㎞が限界。その疲れが響いたのか、その後の堀チャレ中もひどい眠気に襲われました。

それで2回目は堀チャレだけに集中しました。視聴者にも協力してもらい、スマートウオッチから遠隔で電流が流れるアプリを使ったり、次々と電話をかけてもらったり、いろいろ工夫はしたんですけど、あと少しのところで寝落ちし、そのまま30分以上寝てしまいました。

――寝落ち寸前に電流で刺激を与えてもダメだった?

岩田 最初は効果がありました。でも、5日目くらいから無意識に装置を外すようになっちゃったんですよ。自分の意思とは関係なく体が勝手に動くようになってしまった。正直、その頃には記憶はかなり曖昧なんですよね。

【超人の証し】

――2回目の堀チャレ配信では3日目に衝撃的な出来事がありましたね。

岩田 コンビニに行こうとして、気づいたら美容院に入ろうとしたやつですよね。あれはウケ狙いじゃないです。完全に無意識で、行き帰りの記憶もほとんどありません。ただ、とても暑い日だったのは覚えています。外へ出た瞬間、脳が焼ける感覚がありました。

――脳が焼ける?

岩田 睡眠不足が続くと、頭がパカッと開いて、脳が直接空気に触れているような感覚になるんです。あのときは日光をすごく熱く感じて、あっという間に朦朧(もうろう)としてしまいました。

この3日目の体験からですね、おかしくなったのは。自分の思考が止められなくなって、ずっと脳みそが頭の中でこまのようにぐるぐる回っている感じでした。

岩田ゆうた氏は、ほかにも不倫報道が出た著名人の名前(芸名)の画数×1日をオナ禁&セックス禁止とする「不倫芸能人オナ禁」にも挑戦岩田ゆうた氏は、ほかにも不倫報道が出た著名人の名前(芸名)の画数×1日をオナ禁&セックス禁止とする「不倫芸能人オナ禁」にも挑戦

――体調は大丈夫でした?

岩田 悪くはなかったかな。あ、でも6日目には室温26℃くらいなのに寒気が止まらなくなっていましたね。

――十分危険な状態ですよ!

岩田 5日目くらいから幻覚も激しくなっていたみたいで、視聴者にも言われました。「俺は駅にいる」とか意味わかんないこと言っていたって。

あと、配信の映像を自分で見たら、「なんで俺がふたりいるんだ?」とか「ここは俺の部屋じゃない」とか口走ったみたいです。

遠距離の恋人にも定期的に電話をかけてもらっていたんですけど、いつの間にか同じ部屋にいると思い込んでいたみたいで、「(サッカー選手の)三笘(薫)の動画を消しておいて!」とか口走っていたらしい。三笘の動画なんて保存すらしたことないのに......。

――完全に自我を見失っていますね。

岩田 友達と散歩に行ったりしたことは覚えているんですよ。でも、ひとりの時間のことは、ぼんやりとしか思い出せないですね。

――チャレンジの影響は今もありますか?

岩田 体は動くんですけど、頭が回復していない感じですね。ずっとフワフワしていて、現実感があんまりないっていうか。もしかしたら後遺症があるのかもしれません。

――それは怖い。

岩田 だから、一般の人は絶対にまねしないほうがいいです。自分でやってみて本当に思います。6日目には「もう許してくれ」とまで言っていたみたいです(笑)。

――2度の挑戦を経て、今はショートスリーパー生活をどう感じていますか?

岩田 人はちゃんと寝たほうがいいってことですね。こんな生活を続けられるのは、ホント、超人だけです。

  • 小山田裕哉

    小山田裕哉

    おやまだ・ゆうや

    1984年生まれ、岩手県出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映画業界、イベント業などを経て、フリーランスのライターとして執筆活動を始める。ビジネス・カルチャー・広告・書籍構成など、さまざまな媒体で執筆・編集活動を行っている。著書に「売らずに売る技術 高級ブランドに学ぶ安売りせずに売る秘密」(集英社)。季刊誌「tattva」(BOOTLEG)編集部員。

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