
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1974年、個人営業の日用雑貨卸として創業。現在は卸のほか、自社開発を行なうメーカーでもある。なお、同志社大学とは無関係
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
ふくらはぎマッサージ器「ゴリラのひとつかみ」をはじめとして、「ゴリラシリーズ」がヒットしているドウシシャ。ただでさえ注目企業なのに、今後金利が上がるとより収益性が増すらしいぞ?
助手 今日は投資のヒントを探しに、ホームセンターに来ています。あっ、「ゴリラのひとつかみ」がありますよ。これ、ふくらはぎをつかむように強くマッサージするヒット商品ですよね。あれ? 隣にはハンディファンの「ゴリラの扇風機」も。既存の商品と比べて風量が約3倍ですって。
坂本 しかも、向かいのキッチン用品売り場には「ゴリラのひとつまみ」というフライパンまである。直径26㎝だと375gと、軽さが売りらしいね。マッサージ器で当たった「ゴリラ」のブランドを扇風機やフライパンにも広げている。売れる名前を別の商品にも展開するあたり、ドウシシャは商売がうまいね。
助手 ドウシシャっていうメーカーなんですか。マッサージ器からフライパンまで手広いですよね。いったい何が本業の会社なんです?
坂本 メーカーと商社の両方の顔を持つ会社です。自社で企画した家電や日用品などを売る「開発型ビジネスモデル」と、有名ブランドの商品などを仕入れて量販店に卸す「卸売型ビジネスモデル」が2本柱。ホームセンターや家電量販店、スーパーなど幅広い売り場に商品を送り込んでいます。
開発型は、ニッチ市場で大手が見落としがちな小さな不満を解決する商品を作るのがうまいんです。例えばハンディファンなら「小さくて風量が物足りない」、フライパンなら「毎日使うには重い」という不満がある。それに合わせて、ひとつの機能を思い切りとがらせるんです。高機能を全部盛りにするより何が便利なのかがひと目で伝わるし、価格も手頃に設定できて、お客さんも「試そう」となるでしょ。
助手 確かに、目のつけどころが面白いから買いたくなりますね。
坂本 実際、「ゴリラのひとつかみ」が2024年に発売されて以降、「ゴリラシリーズ」は累計で300万個以上を売っているとか。
助手 日用品としては大ヒットだ。でも、よくあんなにいろんなジャンルの商品を作れますよね。
坂本 ドウシシャは企画がメインで、商品の多くを中国を中心とした海外で生産しています。面白いことに、この生産体制が今後、追い風になりそうなんですよ。
助手 どういうことですか?
坂本 円高です。海外で作った商品を仕入れる会社は、円が高くなると同じ商品でも円換算の仕入れ額が下がるので、利益率の改善が期待できる。要は仕入れ負担が軽くなるわけです。円安が長く続いた分、為替が反転したときの恩恵は注目しやすい。
助手 でも、ここ数年は円安が続いていましたよね。円高に向かう材料はあるんですか?
坂本 ある。7月末には日米が協調して円買い介入を実施しました。さらに日銀は6月に政策金利を1%まで引き上げ、今後も緩やかな利上げが見込まれています。日本の金利が上がれば金利の高い米国との差が縮まり、ドルを買い円を売る動きが弱まりやすい。つまり介入と利上げの両面から、円安を修正する材料が出てきたわけです。
助手 おぉ、風が吹き始めたと。
坂本 そう。もともと商品企画に強みがある会社だし、そこに仕入れコストの低下まで加われば利益も伸ばしやすくなると思います。
助手 ヒット商品を作る力に、為替の追い風も期待できると。
坂本 ええ。ドウシシャには面白い展開です。今の為替環境なら、その変化を追う価値があると思います。
今週の実験結果
生産拠点が海外にあるので、円高になると仕入れ額が下がりより追い風が吹きます!