
渡辺雅史
わたなべ・まさし
渡辺雅史の記事一覧
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
10年目を迎えたウーバーイーツの私なりの未来予想図を紹介します
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第166回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツが日本でサービスを開始したのは2016年9月。今月でちょうど10年の節目を迎えます。
そこで今回は、サービスを開始してから現在までの10年間(といっても、私が配達員を始めてからの8年8ヵ月となりますが)のウーバーイーツのざっくりとした移り変わりと、これからの10年でどのようなサービスとなっていくのか、私なりの予想を書いていこうと思います。
東京都港区、渋谷区、新宿区の一部で始まった10年前は、エリアが狭かったことから自転車配達員が中心でした。私が2017年の年末、当時、恵比寿にあったウーバーイーツの配達員登録センターで登録したときには、配達エリアが東京23区のほとんどの地域に拡大していましたが、配達の基本的な流れを紹介する教習動画に登場する人も自転車で配達を行なっていました。
当時、ウーバーイーツ配達員の存在を知っている人の多くは、スキマ時間に働けるというメリットのほか、スマホで手続きして登録センターでリュックを受け取ればすぐに配達ができる点に魅力を感じていたことが、自転車配達員の多かった理由だと思います。ただ、東京23区内に拡大とはいえ、世田谷区、杉並区、大田区などではデリバリーに対応する店舗が少なく、それらの地域ではあまり稼ぐことができなかったのではと思われます。
18年には大阪や名古屋へ進出。19年になると「ウーバーイーツのロゴが入った巨大なリュックを背負って自転車に乗る人を街中で見かけるが、あれは何者?」「マクドナルドの周りで巨大なリュックを自転車の側に置いた人がたむろしている」といった投稿をSNSで見かけるようになりました。バイクの配達員が増えたのはこの頃です。エリア拡大とともに運営側もバイク配達員の増員に力を入れたのでしょう。車両登録などの手続きがあるため手間がかかりますが、バイクのほうが自転車よりも稼げることから、自転車からバイク配達員へ転向する人がこの時期に増えました。
20年の新型コロナウイルス感染症拡大による外出規制で配達員が急増。個人店や高級レストランなどでもウーバーイーツによるデリバリーが始まりますが、23年にマスク着用が個人の判断になると、これらの店からの配達依頼が減少。その後、配達依頼の中心が大手飲食チェーン店、コンビニ、深夜営業のゴーストレストランへと移っていきます。そして24年にスーパーマーケットでの買い物代行サービスピック・パック・ペイがスタート、現在に至ります。
そんなウーバーイーツは今後どう変化していくのでしょうか。
可能性として一番高いのは、大都市圏以外の自転車配達員の廃止です。
私が配達を行なう東京都中央区、港区などはタワーマンションが多く、高層階の住民は近所の店へ行くのにも時間や手間がかかることから、1kmほどの短距離の配達依頼が自転車に回ってきますが、他のエリアでは1、2時間配達依頼がこないこともよくあります。おそらく5km以上の長距離になると自転車では時間がかかりすぎるため、バイクや自動車配達員へ優先的に依頼を回すのでしょう。そんなことから、東京、名古屋、大阪以外では自転車配達員を廃止するのではないかと予想します。
宅配ピザの配達についても、店のスタッフによる配達が廃止、もしくは激減すると予想されます。
ウーバーイーツでは25年から「ウーバークーリエ」という、個人の荷物を配達するバイク便のようなサービスを始めました。この配達を何度か行なったことがあるのですが、受けた依頼は個人の荷物の配達ではなく、すべてが営業時間終了間近でデリバリースタッフがいなくなってしまった宅配ピザからの依頼でした。宅配ピザでは「お持ち帰り30%OFF」といったサービスをよく行なっています。ということは、デリバリースタッフの確保や配達用のバイクの維持は相当なコスト。そんな事情を考えると、デリバリースタッフを削減してウーバー配達員が代行することになるのではないでしょうか。
新たに登場しそうな店舗として考えられるのが、ピック・パック・ペイ特化型スーパー。
以前、「一体どこにあるんだ!? 謎のスーパー『ウーバーイーツマーケット』」でも書きましたが、ウーバーイーツにはかつて「ウーバーイーツマーケット」というウーバー直営のスーパーマーケットのような店がありました。オフィスビルの1区画に菓子、ドリンク、冷凍食品など、日持ちする商品をストックし、注文があるとスタッフが商品をとりまとめて配達員に渡すという、デリバリー専門のスーパーマーケットだったのですが、日持ちする商品しか扱えないため品揃えが悪く、24年に全店閉店しました。
そんなデリバリー専門のスーパーマーケット、ピック・パック・ペイが広がりつつある今なら、大手スーパーが手を出してもいいジャンルとなるのではないでしょうか。
配達員しか出入りできない店であれば、商品を丁寧に陳列する必要はなく、配達員が何時に店に入って、どんなものを購入して、何時に店を出たのかという記録が残るので、万引きなどの犯罪も起きにくい環境です。都心部に専門の店舗を設置するのはコストがかかるので難しそうですが、店舗のバックヤードの一角や流通の拠点となる場所の一角に設置する店は出てきそうです。
これらの予想が当たるかどうかはわかりませんが、これからの10年間もウーバーイーツは変化を続け、将来は「ウーバーイーツって、配達代行なのにどうしてウーバー『デリバリー』じゃなくてウーバー『イーツ』なの?」と疑問に感じる人が出てくるかもしれません。