【牡蠣づくし弁当】ほっともっとの秋メニュー「牡蠣づくし弁当」が、牡蠣好きなら満足間違いなしの名弁当だった:パリッコ『今週のハマりめし』第262回

取材・文・撮影/パリッコ

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

外食はもちろん、自分で料理を作るのも大好きなので、日々の食事で市販の弁当を選ぶと言う選択肢があまりない。

ところが先日、午前中に買いものに出かけた先で前を通った「ほっともっと」のメニューに、何気なく目が留まった。

「ほっともっと」「ほっともっと」
たぶん、反射的にうまそうだと感じた「海鮮天丼」という文字と写真に引き寄せられてしまったのだろう。天丼ってそもそも海鮮がメインの料理だと思うんだけど、わざわざ"海鮮"天丼と銘打たれると妙にそそられる。

流れでその他のメニューも見ていくと、久しぶりにじっくり眺めるお弁当屋さんのメニューはどれもうまそうだし、安秋限定のものもいくつかあるようだ。なかでも好物の"牡蠣"ものは特に魅力的。

僕が訪れた店舗における牡蠣弁当のラインナップは以下。

・カキフライのりタル弁当(税込590円)
・4コ入りカキフライ弁当(790円)
・6コ入りカキフライ弁当(990円)
・やみつき牡蠣弁当(790円)
・牡蠣づくし弁当(1,090円)

カキフライについては、説明不要だろう。「やみつき牡蠣弁当」の牡蠣は、公式サイトの説明によれば「甘めの醤油ダレで味付けしたふっくらとした"茹で牡蠣"」らしい。照り照りで見るからにうまそうだ。

極め付きが「牡蠣づくし弁当」。カキフライが3つに、茹で牡蠣が5個、上下段にずらりと並び、牡蠣圧がすごい。

僕は酒飲みなので、弁当をつい、酒のつまみ的観点から見てしまうクセがある。その意味でこいつはかなり強力なのではないだろうか。普通に昼食として考えるなら、サイドにちくわの磯辺揚げなどものってリーズナブルな「カキフライのりタル弁当」のほうだろう。けれども、あえての牡蠣づくし。しかも2種類の味が楽しめる。別でタルタルソースを用意すれば、カキフライゾーンのバリエーションもさらに広がりそうだ。

がぜん昼飲みモードになってしまい、帰り道にふたたびスーパーへ寄って、カップ酒とタルタルソースも買って帰宅。この日はしばらくぶりの晴れで、気温も低すぎず快適。せっかくだから公園に行って食べることにしよう。

「牡蠣づくし弁当」「牡蠣づくし弁当」開封!開封!
あぁ、想像どおりというか想像以上というか......。写真を見て間違いないだろうと思っていたものの、実際に目の前にした現物の存在感が期待を超えてきてくれた。

弁当といえば僕は駅弁ファンで、なぜかといえば基本的にどれも酒のつまみに向いているからなんだけど、昨今の駅弁業界は値上がりが激しい。たぶんこの量の牡蠣が入った駅弁ならば、1,500円以上、いや、2,000円したっておかしくはない。と、ついほか弁と駅弁を比べてしまうのは悪いクセながら、1,090円でこの豪華さは大手チェーンの企業努力の賜物だ。

大粒のカキフライ大粒のカキフライ艶めかしい茹で牡蠣艶めかしい茹で牡蠣
さていよいよ牡蠣づくし飲みを始めていこう。合わせるのは青森の酒「桃川」のにごり酒カップ。

準備完了準備完了
まずは5粒ある茹で牡蠣のうちひとつをうやうやしく持ち上げ、しばし眺めた後、ぱくりとひと口で。

蒲焼にも近い甘めのたれが問答無用の説得力で、大粒の牡蠣の身に凝縮された海の味がそれと混ざり合ってゆく。じっくりと味わってからよく冷えたにごり酒を流し込めば、その甘さとコク深さが、牡蠣の味をさらに高めてくれる。もうすでに、幸せすぎる。

ごはんも食べようごはんも食べよう
米すらもつまみになるのが弁当の楽しいところだ。しかもこの牡蠣づくし、下の米がのり弁状になっているんだけど、一般的なおかか醤油ではなく、甘辛のたれをしっかり染み込ませたタイプ。ゆえに、海苔がとろりとした食感になっていて、それが妙にうまい。米自体もとてもうまい。サイドの玉子焼き、きんぴら、さつまいもなどと組み合わせてもどれも良く、酒がすすんでしょうがない。

牡蠣づくしとはいえ、サイドの充実は嬉しい牡蠣づくしとはいえ、サイドの充実は嬉しい
さてカキフライだ。まずは3つ全部に付属のレモンをかけてしまい、その上から、ひとつめのカキフライにソースをたっぷりとかける。

ソースは遠慮なくソースは遠慮なく
ざくり。持ち帰ってきたとはいえまだまだ温かく、だけどフタと米の間でほんのりと蒸されたような柔らかさもあり、これこそが弁当の醍醐味だ。牡蠣が大粒で、1/2個で口いっぱい。ソースの甘酸っぱさと、衣の下から溢れ出すジューシーかつ濃厚な牡蠣の滋養。これは酒よりまず米だとほおばると、思わず涙がこぼれ落ちそうな満足感。

公園の片隅で、ほか弁の牡蠣2粒を食べただけで泣きそうになっている男。はたから見れば滑稽なことだろう。けれどもまぁ、なるべく人気のないゾーンは選んでいるし、思うぞんぶん楽しませてもらいたい所存。

そこで取り出したのはもちろん、タルタルソース!

キューピー「具だくさんレモンタルタル」キューピー「具だくさんレモンタルタル」
選んだのは市販のタルタルソースのなかでもお気に入り「具だくさんレモンタルタル」。ノーマルのタルタルより少しだけお高いものの、潤沢な玉ねぎのしゃきしゃき感とレモンの香りが素晴らしい。これを、2粒目のカキフライに思いっきりかける!

間違いない間違いない
と、その前に配分を考えて茹で牡蠣のほうも食べすすめなければ。あわてずに、自分のペースで。ありがたいのはどこを食べてもうまいのが確約されていること。

なんて感じで、最後までじっくりと堪能し、満腹&ほろ酔いとなって大満足。のんきなものだけど、少しだけベンチで昼寝でもして帰ろうかな。

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  • パリッコ

    パリッコ

    ぱりっこ

    1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家、イラストレーター。
    著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。2022年には、長崎県にある波佐見焼の窯元「中善」のブランド「zen to」から、オリジナルの磁器製酒器「#mixcup」も発売した。
    公式X【@paricco】

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