【ピエール瀧の「萌え萌やしソバ探訪録」】32杯目「週に2日しか営業しない門司の店の、こだわりもやしソバ!」

構成/TAKA-HO

週2日営業の幻の店を探して門司へ!週2日営業の幻の店を探して門司へ!

「もやしソバ」をこよなく愛するピエール瀧が、名店をめぐりながら、もやしソバとは何なのかを考えたり考えなかったりするこの連載。週に2日しか営業しないという幻の店。そこには、こだわりのもやしソバがあるという。果たして、それはどんなメニューなのか。その正体を探るべく、われわれは門司に向かった!

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――今回は福岡県北九州市の門司に来ています。JR門司駅から約2kmの場所です。

ピエール瀧(以下、瀧) 地元の人たちの住宅地って感じだね。観光客は無表情で通り過ぎるゾーンだよ。

――お店は「銀皿ダイニング 治」さんです。

瀧 お、店の前に渋めのベスパが止めてあるな。早速、入ってみよう。おじゃましまーす。

店主の畠山耕治さん(以下、畠山さん) いらっしゃいませ。ちっちゃな店ですみません(カウンター4席)。

――本当は水曜日と日曜日の週2日しかオープンしてないんですが、今回は無理を言って、特別に休みの日に開けてもらいました。

瀧 わがまま言って申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

畠山さん よろしくお願いします。

瀧 メニューは「もやしそば(焼)」(600円)、「えびめし」(700円)、「ナポリタン」(600円)、「ちりめんめし」(500円)。シンプルですね。

畠山さん そうなんです。

瀧 もやしそばのところに「焼豚タレ・お酢ベースの中華スパイスの効いたソース 細麺を茹でて焼いて炒める本格焼きそば」っていう説明がありますよね。焼豚タレベースの焼きそばなんですか?

畠山さん はい。だから焼豚を作らないとソースができないんです。

瀧 じゃあ、そのもやしそばをいただきます。あと、なんかえびめしも食べたいなあ。えびめしは「岡山県の、郷土料理として有名である」って書いてありますね。

畠山さん 私、前にやってた商売が冷凍エビの販売だったんです。それで冷凍エビを買ってもらうために、えびめしを作って試食してもらってたんですよ。

なんとバイクレースの優勝経験もある店主の畠山さんなんとバイクレースの優勝経験もある店主の畠山さん

瀧 ほほう。「ほ~ら、このエビおいしいでしょ」って感じですか。

畠山さん そうです。えびめしは、もともと東京・渋谷の「いんでいら」というカレー屋さんが発祥なんですが、そこの従業員さんが故郷の岡山に戻って独立したときにメニューに取り入れたら、岡山で名物になったみたいです。

瀧 そんなトリビアが(笑)。もやしそばのほうは、畠山さんのオリジナルなんですか?

畠山さん オリジナルって言えば、オリジナルですね。会社員時代のお得意さんがキャンプ好きで、一緒にキャンプに行ったときに振る舞っていたんです。そしたらそのお得意さんから「これ、店で出せるレベルだよ」って言われたので、なら出しちゃおうかなって。

瀧 じゃあ、実体験から生み出された味なんですね。料理を作りながらでいいので、お話をもう少し聞かせてください。

畠山さん はい、わかりました。

瀧 畠山さんは門司生まれなんですか?

畠山さん はい。今、自宅は福岡なんですが実家は門司です。

瀧 このお店は何年くらいやっているんですか?

畠山さん もう6年くらいになりますかね。でも、ちょうどコロナ禍と重なって、店を開けていてもお客さんが来なかったから飯が食えなかった。それで門司は倉庫の町だから、フォークリフトのバイトでもしようと思ったんです。今も週5でフォークリフトのオペレーターをやってるんですよ。

瀧 だから、お店を週2日しか開けられないんですね。

畠山さん そうなんですよ。はい、もやしそばできました。

「もやしそば(焼)」(600円)「もやしそば(焼)」(600円)

瀧 あららら、なんと鉄板で来た。そして、スパイスのすごくいい香りが漂いますね。焼豚もデカいのがたくさん入ってる。具は焼豚にもやし、ネギ、キクラゲかな。うん、うまい。もやしのシャキシャキ感とキクラゲのコリッという歯応えのバランスがちょうどいい。そして、麺は細麺でカリカリしてる印象すね。

畠山さん ええ。麺をゆでた後にラードで焼くんですよ。そのほうがカリカリに仕上がるんです。

瀧 これ、スパイスもいろいろ入ってますね。中華なのか、インド方面なのか......。複雑で形容し難い味ですね。

畠山さん 花椒(ホワジャオ)や八角やクミンなんかが入ってます。

鉄板で提供されるもやしそばは、麺がカリカリでスパイスが効いてる鉄板で提供されるもやしそばは、麺がカリカリでスパイスが効いてる

瀧 だから、ビールに合いそうなのか。それも、普通のビールじゃなくてクラフトビール。

――サントリーのジン「翠」のジンソーダも合いそうです。

瀧 そうね。あと焼豚も厚切りなのに軟らかくてうまいわ。

畠山さん 焼豚も一回、串にかけて(つるし焼きにして)ますから。

瀧 これ、作るのに相当手間がかかってますよね。これをキャンプで作って振る舞ったら、そりゃお得意さんからは、ありがたがられるでしょうね。

畠山さん ありがとうございます。

瀧 しかも、これで600円なんでしょ。ちょっと安すぎません?

畠山さん 実は割に合わないんですよ。

瀧 (笑)。じゃあ、もうちょっと値段を上げるってのはどうすか? 800円でも全然いいと思いますよ。

畠山さん こっちがえびめしです。

カラメルといか墨ソースを使った、こだわりの「えびめし」(700円)カラメルといか墨ソースを使った、こだわりの「えびめし」(700円)

瀧 なんか想像していたのと違うすごい一品が出てきましたね。ちゃんと銀皿にのって。こっちも調味料にこだわってる感じがプンプンですね。味つけは自家製ソース?

畠山さん はい。カラメルといか墨のソースでコメを黒くしているんですよ。本当はカラメルだけで作るんですけど、僕はそれだけだと甘すぎると思ったので、いか墨を入れてます。

瀧 うん、確かにおいしい。

畠山さん 僕は自分なりの解釈で、えびめしも変えちゃっているんですよ。ナポリタンも普通は辛みにカイエンペッパー(唐辛子パウダー)を使うんですけど、豆板醤でやってます。

瀧 探究心ハンパないすね。なんか、料理に対する独特なこだわりを感じます。ちなみに、お店で一番人気があるのはどれですか?

畠山さん もやしそばとえびめしの両方ですね。

瀧 そうなんですね。いやー、どちらも本当においしかったです。もっと大々的に宣伝して、週2日と言わずに毎日でもやってほしいです。ありがとうございました!

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■銀皿ダイニング 治(HAL) 
福岡県北九州市門司区藤松1-12-12 
090-4356-3616 

※営業日時、メニュー、価格などは変更になる場合があります 
※おいしいもやしソバなどの情報は【moemoyashisoba@gmail.com】まで 

■ピエール瀧(ぴえーる・たき) 
1967年生まれ、静岡県出身。ミュージシャン、俳優、声優、タレント。
「無駄こそ宝なり」が信条。好物はもやしソバ。 
公式Instagram【@pierre_taki】 

★『ピエール瀧の『萌え萌やしソバ探訪録』』は隔週土曜日更新!

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