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『キン肉マン』大好き作家・燃え殻氏と爪切男氏が8月の連載を語る!
『ボクたちはみんな大人になれなかった』の燃え殻、『死にたい夜にかぎって』の爪切男の意外な共通点、それは『キン肉マン』!!
希代のストーリーテラーのふたりが8月分の『キン肉マン』連載を甘く、そして辛く批評。
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第540話 "真剣勝負"が拓く未来!!の巻 (8月1日更新分)
第541話 "刻"を刻む未来!!の巻 (8月8日更新分)
第542話 逸材、大歓迎!?の巻 (8月22日更新分)
あらすじ
ウォーズマンとロビンマスクの確執という長年の思いを露呈して始まったロビンマスクvsぺシミマンのエクストラマッチ。ロビンのウォーズマンへの"謝罪"をもって、本当の意味での試合が終わった。しかし、別の地では刻(とき)の神とファナティックが妙な動きをしていた...
爪切男(以下、爪) まず第540話は、ロビンマスクが語り、続いてウォーズマンが語り、それを受けてペシミマンが去っていく。
燃え殻(以下、燃) 他の超神たちと比べると、ペシミマンの協調性、すごいよね。
爪 そうですね、うん。
燃 逆に言うと、超神感がなくて、もはや正義超人感すらある。昔からいた気がするぐらい。サラマンダーと同じ時間超人のチームだとは思えない。そもそも、フォルムも正義超人っぽいしね。
爪 あと、ロビンマスクが、この3人ともコミュ障だと断言したのが印象深くて。「今このリング内にいるのは 人と関わるのがありえないほどヘタクソな不器用者ばかりだ。しかしそんな私たちが ある男との出会いをきっかけに友情という概念を理解した。いや...させられた」という。確かにキン肉マンは、コミュ障ではないもんな。
燃 何十年も続いてきた漫画で、昔からいるキャラクターが、今初めてこういう心情を吐露をしたというのも、考えたら、すごいよね。
爪 そうですよね。それで、ロビンマスクとウォーズマンの関係性に、これで決着がついた。だからもう、このふたりは闘わなくていい、っていうことですね。
燃 そう。そこを考えると、今のこの『キン肉マン』が、『週刊少年ジャンプ』ではなくて、『週刊プレイボーイ』で連載している感じが、すごくしっくりくる気がする。
爪 ああ、確かに。『ジャンプ』だったら、この世界観はないだろうな。
燃 目の前にいる超人ではなく、これからキン肉マンと闘いたいと公言すること自体が、『ジャンプ』の漫画っぽくない。目の前のライバルと戦闘を進めるのが『ジャンプ』じゃない?
爪 そうですよね。それにしても、ペシミマンの去り方、かっこよすぎますよね。
燃 待遇がいいよね。
爪 もうVIPですよ。
燃 サラマンダーとの差がすごい(笑)。
爪 この終わり方は、ゆでたまご先生は、最初から決めていたわけではない気がするな。描いていくうちに、ペシミマンがどんどん動き出して、乗りまくってきたからって感じが。
燃 ああ、そうかもね。
爪 それで途中からVIP待遇にして、今後の展開がありそうな締め方にしたんじゃないかな。そう思わせるカッコよさですね。
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燃 確かに、中井先生がテンション上がりながら描いている感じがする。描いていて楽しいキャラだったんじゃないかな。読者もみんな、ペシミマンを受け入れただろうしね。
爪 だから、人気キャラが生まれる瞬間を久々に見た、っていう感じです。「これは人気キャラになるわ」って思って読んでいたら、ほんまにそうなった。
燃 ここまで成長させてしまったペシミマンが、どう帰ってくるのかも考えどころだよね。
爪 楽しみですよね。帰ってこないわけがない去り方をしているから。
燃 でもすぐに帰ってくると、サラマンダーと同じく、ファナティックにえらい目に遭うから、温泉にでも行って、しばらくゆっくりしていてほしいな(笑)。
爪 うん、温泉で超回復していてほしい(笑)。ただ、ペシミマンは、再登場の時は、時間超人チームには戻らないんじゃないかな。
燃 ああ、そうか。刻の神にも、仕方なく着いていってる感じだったしね。でもそうなると、ひとりではぐれるっていうのは、これまでなかった気がしない?
爪 ああ、アシュラマンはサンシャインと一緒にはぐれて、「はぐれ悪魔超人コンビ」っていうチーム名でしたよね。ペシミマンの場合はひとりでやっていけるぐらい、キャラが立っているってことかな。
燃 第541話は、刻の神とファナティックの対面という新局面から始まる。そこでファナティックが「実に情けないことですが あろうことか私以外の五大刻のみなさんが そろいもそろって早くもこの闘いから脱落してしまうとは...」って言い出す。
爪 確かに、正義超人側は絶好調なんですよね。鳴り物入りで登場したすごい時間超人たちを、みんな倒しちゃった。
燃 ほんとだよね。
爪 正義超人側がオールスターであることは、間違いないんですけどね。
燃 そして刻の神は、ファナティックは特別だけど、それ以外の時間超人たちは不完全だ、ということを明かしたよね。
爪 「例外的に生まれてきた偶然の産物というほかない脆弱な存在でした」と。ほかの神々にそれを知られてはいけない、だから彼らが生まれ出るたびに市井(しせい)に紛れさせ、隠匿(いんとく)し、時には当人さえも時間超人だと気づかぬよう図らい、遠くから見守り続けてきた、と。これ、びっくりな設定ですよね。「時には当人さえも時間超人だと気づかぬよう図らい」って。そりゃあ、ペシミマンみたいにひねくれたヤツも出てくるよな、って思いました。
燃 そうだよね、育ちが悪かった(笑)。で、刻の神曰く「"神の候補者"の本格的な量産体制に移るタイミングが とうとう訪れたということです」なんだけど、それを安定的に実用化するには、まだクリアできていない障害が残っている、という話をしている時に、サラマンダーが戻ってくる。
爪 さっきのペシミマンとは打って変わって、気の毒なくらいボロボロの後ろ姿でね。
燃 で、ファナティックに「犠牲になってもらいます」と言われる。サラマンダーが1億パワーを保持したままなので、その枠を空けてもらう、今から死んでもらいます、と。そして、ヒザ蹴りを食らわせまくる、という。
爪 でも俺は、サラマンダーのこの小物感が好きですけどね。「テメーみたいな変なヤツにやられてたまるか!」と反撃しながら、すぐに攻め込まれていく。
JC第93巻で初登場したサラマンダー。テリーマンとの闘いに敗れたエンデマンがリングに溶けこんだ代わりに登場
燃 サラマンダーは、刻の神が言うところの「やはり1億パワーというだけでは、真に選ばれた超人とは呼べない」時間超人の、典型的な例なんだろうね。
爪 ということは、これから生み出される時間超人は、心の部分がしっかりしたヤツだっていう予想ができますよね。この闘い、サラマンダーが見るからに負けそうだもんなあ。
燃 時間超人vs時間超人の闘いって、これが初めてなのに。
爪 ああ、そういえばそうだ。
燃 圧倒的な差があるもんなあ。
爪 悲惨な最期を遂げるとしか思えない......。
燃 そうだ、前に爪さん、子供の頃、『キン肉マン』のアニメの、キャラクターソングが大好きだった、って言ってたじゃない? 新しいアニメの『キン肉マン』のキャラソンの配信が、7月29日から始まったよね。『週プレ』33号の、いつもなら「今週の採用超人!!」が入っているページに、ミートくんの曲『CHECK!ミート』の作詞作曲を手掛けたAPAZZIさんのインタビューが載ってた。
爪 読みました、読みました。APAZZIさんが、いかにヤバい人かがよくわかる記事(笑)。ちなみに、『キン肉マン』キャラソン、昔は歌手が別の方で、そのキャラクターの声優さんは途中途中のセリフのみだったりしたんだけど、今回は歌もセリフもそのキャラクターの声優さんなんですよね。
燃 それ、昔と今の声優という職業の違いを表してるよね。今は歌える声優さんが増えてきているし、なんならラップも当たり前にできます、みたいになってる。
爪 あと、1曲ずつミュージックビデオが公開される、というのも、昔と今の違うところですよね。
燃 そうそう、MVもいいんだよね。今の『キン肉マン』のアニメと一緒に、昔の漫画連載時の画もいっぱい使われていて。
爪 毎月肉の日(29日)に1曲ずつ配信で、第二弾はラーメンマンで「Kung Fu Saga」(CV:関 智一)。第三弾はテリーマンの「Fight Out」(CV:小野大輔)も、発表になりましたよね。
燃 テリーマンのはまだ聴けないけど、ミートくんとラーメンマンの2曲聴いてる?
爪 めちゃめちゃ聴いてます。当たり前ですけど、声優さんって、歌がうまいだけじゃなくて、キャラを演じつつ、キャラの新しい魅力を引き出す歌い方もする、というのがすごいなあ、と、改めて思います。
燃 ほんとにそうだよね。それに、キャラソンって今は普通だけど、そもそも『キン肉マン』まではなかったものじゃない? 知らなかったもん、俺。
爪 そうですよね。主人公のことを歌った曲が主題歌になっている、というのはあったけど、それ以外のキャラにも曲があるというのは、新鮮だった。だから夢中になって聴いてたんだろうな、子供の頃。
燃 これも、『キン肉マン』が発明したものなんじゃないかな。
爪 昔から新しいことをしていたんだなあ。上坂すみれさんが好きなミスターカーメンみたいな悪役にもちゃんとキャラソンがある、っていう。時代を先取りしすぎてますよね。
燃 ケンダマンとかまであったもんね。すごいよね、考えられない。
爪 毎月の楽しみができました!
●燃え殻(MOEGARA)
1973年生まれ、神奈川県出身。働きながら始めたツイッターでの発言に注目が集まり、作家デビュー。『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)、『すべて忘れてしまうから』(扶桑社)、『明けないで夜』(マガジンハウス)など多数の著作がある。『この味もまたいつか恋しくなる』が、高橋一生主演でNHK BSにて11月14日、21日夜9時から2週連続ドラマ放送。ラジオ番組 『BEFORE DAWN』(J-WAVE、毎週火曜26:30~27:00)もチェック
●爪切男(TSUMEKIRIO)
1979年生まれ、香川県出身。2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)で小説家デビュー。2020年、同作が賀来賢人主演でドラマ化。『きょうも延長ナリ』(扶桑社)美容と健康にまつわるエッセイ『午前三時の化粧水』も発売中。ドライバーWebで『横顔を眺めながら ~爪切男の助手席ドライブ漂流~』を連載中。主演:木村昴でのドラマ放送でも話題となった『クラスメイトの女子、全員好きでした』が文庫化。最新刊は、『愛がぼろぼろ』(中央公論社)