
青木タカオ
あおき・たかお
青木タカオの記事一覧
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch 価格:99万8800円 2022年に惜しまれつつ生産を終了したスーフォアが復活。青木氏はその真価を探るべく、雨の公道をじっくり走らせた
"スーフォア"ことCB400 SUPER FOURがニッポン市場に帰ってきた。一度はその歴史に幕を下ろした名車が、新世代CBとして再始動。その狙いはどこにあるのか。そして受け継がれたものと変わったものは何か。報道陣向け試乗会が行なわれた静岡県で、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が公道テストを行ない、開発陣にも話を聞いた。
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青木 8月21日に発売されたホンダのCB400 SUPER FOUR(通称スーフォア)E-Clutchに、9月10日、静岡県御殿場市で行なわれた報道陣向け試乗会で乗ってきました。
――まず、率直な感想は?
青木 またがった瞬間に、「これはCB」と思いました。
――青木さんは、歴代のスーフォアを取材してきました。
青木 スーフォアは1992年に登場し、2022年まで30年間、日本の400ccクラスを代表する存在であり続けました。カワサキ・ゼファー400、ヤマハ・XJR400、スズキ・GSX400インパルスなど、群雄割拠の時代を含め、〝絶対王者〟として君臨。ホンダの中ではカブに次ぐ、金看板と言えます。
――スーフォアがここまで愛されてきた理由は?
青木 特定のライダーだけに支持されたバイクではないことです。初心者が乗っても扱いやすいし、ベテランが乗っても楽しめる。街中でもツーリングでもワインディングでも使える。体格も技量も違うライダーが乗って、操作の仕方が多少違っても、バイクが素直に応えてくれる。
乗り手を選ばないのに、乗り手の意思には応えてくれる。これは機械として非常に優秀なことだと思います。だから教習車として選ばれてきた。
――4年ぶりに復活した背景には何があるんですか?
青木 中国市場の急伸です。以前、週プレでQJモーターを紹介しましたが、中国の地場メーカーが4気筒のモデルをどんどん販売している。そこで、ホンダは新型をグローバルモデルとして新開発。もちろん、新型は日本市場向けに磨き上げられています。
――発売後の反響は?
青木 ホンダが発表している数字を見ると、年間販売計画は4600台。それに対して9月7日時点で累計受注は約2700台です。
――今回の新型はどんなスーフォアに仕上がっている?
青木 開発責任者の中村拓郎氏は、「30年にわたって認められ続けたCBを、あえて現代の技術で再構築した」と。
開発責任者を務めたホンダの中村拓郎氏は、「10年後、20年後に振り返ったとき、『この世代のCBは良かった』と言っていただける存在を目指した」と語った
――歴史と伝統に沿ってもいいような気もしますけど。
青木 とはいえ、車体にまたがった瞬間にタンク含めスーフォアだと思える。近年のバイクでは一部に樹脂製カバーを使う手法も多いですが、開発陣の強いこだわりがあり、伝統の鉄タンクです。
優れたホールド感もあり、ニーグリップする部分を自然にくぼませ、シャープなエッジで囲む立体的な造形にし、バイクとの一体感を高めています。
――走り出してからは?
青木 直列4気筒らしい滑らかさがある。ホンダの開発陣も胸を張っていましたが、まさに王道の直4エンジン。低中回転では扱いやすい。それでいてアクセルを開けて回転を上げると、伸びやかなフィーリングが味わえる。
エンジンは一気に吹け上がっていく。「これこそ直列4気筒エンジンの醍醐味」と、試乗後に青木氏は笑顔を見せた
――音もポイントとか?
青木 運転中、排気音はもちろん吸気音も聞こえてきます。吸気系にダウンドラフトレイアウトを採用し、タンク下に配置されたファンネル(吸気部品)から聞こえてくる吸気音が気持ちを高揚させるよう、造り込んでいる。
――ちなみに今回の取材時は雨でしたね。
青木 不安を感じる場面はなかったですね。路面状況が良くないときほど車体の素直さや安心感がよくわかるものですが、ライダーを過度に緊張させることがない。
――便利な機能があるとか?
青木 ライディングモードです。「スポーツ」「スタンダード」「アーバン」という3つのモードがあり、それぞれ専用アイコンで表示、ひと目で選択モードを確認できます。
――そして新型の目玉がE-Clutchです。
青木 ここも大きなポイントですね。E-Clutchという名前から、クラッチ操作をすべて機械に任せるものだと思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
必要なときにはクラッチレバーを握って、従来どおりのマニュアル操作もできます。発進や停止、低速での操作ではクラッチワークを助けてくれるし、シフトダウンではブリッピング(回転数合わせ)もしてくれる。
さらにシフトアップとシフトダウンは、それぞれハード・ミディアム・ソフトの3段階から、好みの操作フィーリングを選べます。
――E-Clutchも含め、新型スーフォアはかなり幅広いライダーに訴求しそうですね。では、最後に総括を!
青木 初めて乗る人にとっては、年齢や性別を問わず自然に乗れる令和時代のスタンダード。昔のスーフォアを知る人には「ああ、スーフォアだ」と思わせる。そういうバイクに仕上がっています。ライバル不在の中、復活した〝絶対王者〟がどこまで販売を伸ばすか注目です!