暑くなってからでは遅い! 絶対に間違えないエアコン購入法

取材・文/伊藤将史 写真/共同通信社

安く買うなら今年がラストチャンス? それとも27年の「省エネ基準刷新」を待つべき?安く買うなら今年がラストチャンス? それとも27年の「省エネ基準刷新」を待つべき?

「エアコンの2027年問題」をご存じだろうか? 来年4月から省エネ性能の基準がより厳しくなり、エアコン価格の高騰を招くといわれているのだ。急いで買い替えるべきか!? 識者が徹底解説!

【2027年問題は気にする必要なし!?】

今年もエアコンが欠かせない季節がやって来る。家電量販店では、エアコンの売り上げが前年比2倍の活況だという。その背景にあるのが、「エアコンの2027年問題」だ。まずは家電ライターの藤山哲人氏に解説してもらおう。

「27年4月から、エアコンの省エネ基準がより厳しくなります。その結果、現在売られている機種の一部が新しい省エネ基準を満たせなくなるので、低価格帯の製品を中心に来年から大きく値上がりすると懸念されているんです」

どれほど価格が上がるのだろうか。一部報道では「6万円のエアコンが16万~20万円になる」という話も聞くが、藤山氏は「それはガセですね」と一刀両断する。

「その数字は、今売られている旧型の最安機と、27年基準に対応した最上位機種を並べている数字で、買い替えを急がせるためのセールストークのようなものです。実際には、最も安いクラスで3万~4万円程度の値上げになると予測しています」

とはいえ、値上がりするなら早く買ったほうがいいように思える。しかし藤山氏は、焦って買い替える必要はないと断言する。

「コストを計算するなら、本体価格だけでなく電気代まで含めて考えるべきでしょう。エアコンの寿命は10~15年。経済産業省の指針に沿って計算すると、新基準の省エネモデルにした場合、6畳用なら電気代が年間およそ3193円、10年で約3万2000円も安くなります。

つまり、本体の値上がり分は10年で浮く電気代でほぼ取り返せてしまうんです。今買っても来年買っても、総額はそう変わらないんですよ」

では逆に、今年のうちに買い替えたほうがいいのはどんな人?

「重要なのは、今のエアコンを買ってから何年たったかです。買い替えから10年以上たっているならいつ壊れてもおかしくないので、早めに動いたほうがいいですね。ただし10年を超えたからといって、必ずしも買い替えが必要なわけではありません。

寝室や子供部屋のように、リビングほど長時間使わない部屋のエアコンなら15年、20年と平気で持つこともあるからです」

自宅のエアコンがまだ使えるのか気になる人は、暖房から冷房に切り替えて15分ほど試運転してみよう。

「エアコンが壊れるのはたいてい冷房と暖房を切り替えるときなので、試運転で冷たい風が出ればこの夏は乗り切れます」

ほかに買い替えを検討すべき人は?

「地域によってはエアコンの買い替えに数万円の補助金が出ることもあります。特に自分が住んでいる地域の補助金が今年で終わってしまう可能性があるなら、その期間内に買い替えるのが一番おトクです」

代表的な省エネ補助金については表にまとめた。このほかにも多くの自治体が補助金制度を設けているので、買い替えを検討する際は事前に調べておこう。

【エアコンを買うなら型落ちを狙え!】

続いて、エアコンを安く買う方法について、かつて家電量販店に勤めていた家電芸人・かじがや卓哉氏に聞いた。

「家電量販店では値引き交渉が欠かせないと思われがちですが、エアコンは交渉で下がる額より、発売から時間がたった型落ち品の値下がり幅のほうがずっと大きいんです。商品によっては型落ちなだけで3割ほど安くなることもあります。

しかもエアコンは、基本的な仕組みがこの50年以上ほぼ変わっていない。半年や1年で性能差が大きく出ることはまずありません」

もちろん価格交渉も無駄ではないが、やみくもに値切ればいいわけではないようだ。

「相場を無視して『とにかく安くして』と言われても、販売員は対応できません。まずは『価格.com』などで相場を調べ、それを基準に希望額を伝えるんです。販売員も相場は知っているので、差額が大きければ値引きしてくれる可能性があります」

ただし、エアコンはそもそも値引きしにくい商品だという。

「ネットの最安値はたいてい本体だけの値段で、設置工事費は別です。そしてネットは本体が安くても、工事費は割高なことがあるんです。だから、ネットの最安値ぴったりまで店頭で本体価格を下げてもらうのは難しいでしょう」

ちなみに交渉するなら、東京でいうと池袋や新宿のように、「ライバル店と日常的に価格を競う、都市エリアの店舗が狙い目」だとか。

家電量販店で価格交渉をする際は、必ず競合他店の価格も調べておこう。交渉するなら都心の店舗がオススメ家電量販店で価格交渉をする際は、必ず競合他店の価格も調べておこう。交渉するなら都心の店舗がオススメ

では結局、いつ買うのがベストなのか。前出の藤山氏が「本命」と推すのは、「新基準対応モデルが出そろう27年5月」。そのタイミングで、型落ち品を狙う作戦だ。これにはかじがや氏も同意する。

「新基準に適合した製品は電気代が安くなるので、待っても損するだけというわけではありません。むしろ駆け込み需要の中で焦って買うと、値上げに気づかず損してしまうこともあります」(かじがや氏) 

結論としては「買い替え時が来たら買えばいい」とのこと。無理して今すぐ買い替える必要はないのだ。

【エアコンメーカーの「推しポイント」】

とはいえ、エアコンの買い替えタイミングはいつか必ず訪れるもの。せっかくなので人気エアコンメーカーの特長を教えてもらおう。売り上げシェア上位のダイキン、パナソニック、三菱電機についてかじがや氏に語ってもらった。

「ダイキンの強みは、なんといっても換気。部屋にこもった熱い空気をいったん外に出してくれるので、暑い時期ほど効率がいいんです。また、上位機種には『無給水加湿』機能もついていて、冬に暖房をつけたときの乾燥を抑えてくれるのも魅力ですね」

パナソニックの「エオリア」は、快適性を底上げする機能が持ち味だ。

「まずは除菌・消臭の『ナノイーX』。カビ、花粉、菌・ウイルス、アレル物質、たばこなどのニオイ、さらにはPM2.5を抑制する効果があります。それから、自動掃除で集めたホコリをためずに屋外へ排出してくれる機能は、面倒くさがりにはありがたいですね」

三菱電機の「霧ヶ峰」は、一台のエアコンからふたつの気流を吹き出す機能が魅力だ。
 
「一般的なエアコンは筒状のファンがくるくる回る構造ですが、霧ヶ峰の上位機種はプロペラを2基にして、左右の風の強さを変えられるモデルがあります。例えば寒がりの人がいる側は弱く、暑がりの人のほうには強い風を送るといったことができるんです」

ちなみに、近年日本の家電量販店に増えている中国メーカーの製品も、価格を最優先に考えるなら十分にアリだという。藤山氏も「12畳以下なら中国製で十分です。自分も6畳の部屋で使っていますが、機能に問題はまったくありません」と太鼓判を押す。

一方、14畳超のリビング用は日本メーカーに分があると藤山氏は言う。

「大型機は、パワー半導体やコンプレッサーの性能差がそのまま電気代に効いてきます。その点は、三菱やパナソニックといった日本勢が強いんですよ」

また、両氏がそろって指摘するのが、故障時のサポートの差。修理対応の早さや丁寧さでは国産に一日の長があるので、気になる人は日本メーカーの製品を選ぶのが無難なようだ。

なお、エアコンには価格帯ごとにいくつかのランクがあり、これも選ぶ際の目安になる。

「とにかく冷える機能さえあればいいなら、低価格帯の商品を選べば問題ありません。ひとつ上のランクだと省エネ性能が上がり、さらに上だと自動掃除機能付きになります。

エアコンはフィルターにホコリが詰まると風が弱まり、結局は電気代が上がるので、掃除が苦手な人なら自動掃除機能付きを選ぶべきです」(かじがや氏)

ちなみに最上位ランクは各メーカーの個性が出るプレミアム機で、室内のひとりひとりの体感温度を把握することでそれぞれに最適な風の流れを制御するといった機能がつく。とはいえ「そこまでの機能が本当に必要なのかはよく考えたほうがいい」(藤山氏)とのこと。

なお目下、ナフサ不足によりエアコンを取りつける部材の不足が深刻化している。そのため、購入後の取りつけ工事には通常以上の時間が必要となる。買い替えが必要な方は早めに動いて酷暑に備えよう!

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