『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、今後の政局で日本維新の会に注目すべき理由を語る。

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重い身体障害を抱えた2議員の受け入れをめぐり、国会のバリアフリー化が論議されるなど、参院選後の「れいわ新選組」フィーバーが止まらない。山本太郎代表は100人以上の候補者擁立をぶち上げ、次の衆院選でも台風の目となりそうだ。

また、立花孝志代表の「NHKから国民を守る党」(N国)は、北方領土をめぐる戦争発言で衆議院の糾弾決議を受けた丸山穂高衆議院議員を入党させたり、渡辺喜美参議院議員と統一会派「みんなの党」をつくるなど話題づくりに余念がない。

だが、この2勢力以上に、その動向から目を離せない政党がある。日本維新の会だ。同党を立ち上げた橋下徹元大阪市長が政界から引退したこともあり、維新は党勢が伸び悩み、一時は消滅の危機もささやかれた。

しかし、今春の大阪府知事、市長のダブル選で大勝したのをきっかけに息を吹き返し、7月の参院選でも3議席増を果たして、衆院11、参院16の勢力を確保。得票率も前回選挙時の9.2%から9.8%へと上積みに成功した。

無党派層に絞ると、自民25.5%、立憲21%に次ぐ12.4%の支持を集め、第3党の座を占めている(時事通信調べ)。

見逃せないのは、東京、神奈川で1議席ずつを得たことだ。大阪が地盤の維新は関東ではまったくの不人気。かつて私もある維新関係者から、選挙応援で神奈川入りした橋下氏が「有権者の反応が冷たすぎる」と弱音を吐いたという話を聞いたほどだ。

ところが、今回の参院選で鬼門の関東でふたりの当選者を出し、東京から沖縄まで議席を持つ政党となった。もはや、関西の地域政党から脱皮し、全国区の政党としての足がかりをつかんだと評価すべきだろう。

しかも、維新は次の選挙でもさらに党勢を伸ばす可能性がある。なぜなら、次の衆院選はハト派とタカ派の"バラマキアピール合戦"になるからだ。野党はれいわを中心に消費税廃止ないし減税の反緊縮策を訴えてくるだろう。

それに対抗して安倍政権も公共事業だけでなく、野党の政策をパクって派手なバラマキ策を打ち出してくるはずだ。

ただ、財政規律を守らなくて大丈夫なのか、改革せずに成長できるのかと、財源なきバラマキに不安を覚える有権者は少なくない。そんな人々にとって、バラマキ策と距離を置き、一貫して身を切る改革を主張してきた維新は存在感を示せる。

ただし、維新には弱点がある。それは同党のタカ派イメージだ。そこで、例えば9条改憲には「時期尚早」などと慎重な姿勢をアピールすれば、従来のタカ派層だけでなく政界で空白地帯となっている「改革を求めるハト派層」に勢力を拡大することができるだろう。

次の衆院選までに関西エリア以外の大都市圏で魅力的な候補者を発掘できれば、雰囲気は一気に盛り上がる。

そして、そこまでお膳立てが整えば、最後の切り札、橋下氏の政界復帰もないとは言えない。そうなれば、一大旋風になる可能性が出てくる。

れいわは勢いはあるが、タカ派層への拡大は難しい。次の選挙で大躍進しても、立憲や共産から票を奪うだけかもしれない。一方、維新は今回の選挙で鮮明になった国民民主や立憲の「組合優先主義」を攻撃し、その支持層の一部まで狙うはずだ。

今後の政局では、れいわだけでなく、維新にも要注目だ。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

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