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大相撲パリ公演で! 平戸海バッグは日本から持参
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は「大相撲パリ公演」について語る(前編)。
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6月13、14日にわたって行なわれた「大相撲パリ公演」を見てきました。昨年、34年ぶりに開催されたロンドン公演の報道やSNS上の感想を見て、「行けばよかった」と強く後悔したので、毎年恒例の渡仏を今年はこの時期に合わせました。毎年訪れているパリで大相撲! 一生に一度あるかないかの機会に胸が高鳴りました。
まず、街では力士に全然会わなかったですね。SNSには、エッフェル塔や凱旋(がいせん)門での目撃情報が流れてきましたが、私が歩いていたのもマレ、ベルビル、モンパルナスといった程近い地域。本当に同じパリにいたのか怪しいレベルで遭遇しませんでした。
唯一、相撲会場以外で力士を見かけたのは、最終日の夜、世界的に有名なキャバレー「ムーラン・ルージュ」で。同じ回に某人気力士たちの姿が。ベル・エポック調の赤いベルベットやスパンコール、豪華なシャンデリアに囲まれた劇場で、おなじみの浴衣と大銀杏(おおいちょう)を見る。不思議な組み合わせなのに、文化が交錯する、どこか妙にパリらしい締めくくりでした。
さて、肝心の大相撲パリ公演。会場のアコー・アリーナは、普段はライブなどが行なわれている多目的ホールなので、力士ののぼりが外に飾ってあっても、なんだか異質な空間。横浜アリーナで相撲を見る感じ? 本場所だと、名古屋場所のIGアリーナが一番雰囲気が近いかも。
升席などはなく、土俵の周りのたまり席チックなゾーン以外は、普通のスポーツ興行のような椅子席。ライティングも派手で、大画面に力士の名前や基本情報が映し出される演出が印象的でした。取組はトーナメント形式の花相撲でしたが、準決勝戦から紫ベースのライティングに会場がショーアップされ、「パリ公演」の字が光の加減で「ハリ公演」にしか見えなかったのが味わい深かったです。
客層は、相撲ファンもいましたが、日本文化好き、アニメファン、柔道ファン、家族連れなどが多くて、スポーツイベントというより、異文化イベントの側面を強く感じました。「相撲を見に来た」というより、「日本文化を体験しに来た」人が目立ったというか。「なぜ塩をまくのか」「なぜあんなに長く仕切るのか」「どうして全員同じ髪型なのか」という会話が聞こえてきました。
現地メディアも、競技そのものより土俵入り、化粧まわし、行司、所作といった要素を大きく取り上げ、「スポーツ観戦」ではなく「日本文化への没入体験」という文脈で今回のイベントを紹介してました。記事の中に「spectacle(壮大)」「cérémonie(儀式)」「tradition(伝統)」という言葉が頻繁に出てきたように、日本人が歌舞伎を見る感覚に近かったのかもしれません。
公演終わりに、近くの席の観客に感想を聞くと、取組についてではなく、「何百年も続く様式美を見た」という言葉が先に来ました。柔道のファンも、「柔道は世界のスポーツになったけど、相撲はまだ〝日本〟のまま残っている」と、相撲の伝統文化としての側面を強調していました。
次回は、パリ公演に先立って行なわれたロンドン公演と比較してみます!
●市川紗椰
米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。フランス人が、平戸海を「イラドゥーミ」と発音してたのを聞いて以来、マネしている。公式Instagram【@its.sayaichikawa】