戦力外からオールスターへ。増田珠選手から目が離せない!【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第226回

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

オールスターに出場する増田珠について語った山本キャスターオールスターに出場する増田珠について語った山本キャスター

先日、プロ野球オールスターゲームのファン投票の最終発表がありましたね。ヤクルトの選手は4人選ばれましたが、その中に増田珠選手の名前もありました。

ヤクルトやホークスファンにはお馴染みですが、増田選手の経歴を簡単にご紹介します。出身は長崎県で、神奈川県の強豪・横浜高校に進学。高校通算33本塁打を記録したパワーヒッターでありながら、広角に打ち分けるバットコントロールも兼ね備えていました。

2017年のドラフト会議で、ソフトバンクから3位指名を受けて入団。ソフトバンク時代は厚い選手層に阻まれて出場機会に恵まれませんでしたが、二軍監督時代に増田選手を指導していた小久保裕紀監督は高く評価していたと言われています。

だからこそ、2023年に戦力外通告を受けたというニュースには、多くの人が驚きの声を上げました。その年、一軍では35試合の出場にとどまったものの、二軍で61試合に出場して打率.250、出塁率.374という結果を残していたのですが......。育成契約の打診すらなく、会見では「小久保さんに必要とされる選手をという気持ちでやっていた」という言葉を残しています。

しかし、増田選手はすぐにヤクルトへの入団が決まりました。そして今年は四番を任されることもあるなど、チームに欠かせない選手として活躍しています。7月8日現在で打率.280、6本塁打という成績を残し、オールスターという大舞台へ――。

増田選手の魅力はプレーだけではありません。試合中に溢れ出る熱い気持ち、そして笑顔でプレーする姿。試合前の円陣で盛り上げる姿は、まるで高校球児のようです。

チームメイトの木澤尚文投手は、増田選手のことを「うちのチームの"陽キャ"代表」と表現していました。誰とでも円滑にコミュニケーションを取れる明るさが、リーグ3位と奮闘するチームを支えてきたんでしょう。

6月3日ロッテ戦、増田選手の4号で勝利。左中間へ最高の1発でした!6月3日ロッテ戦、増田選手の4号で勝利。左中間へ最高の1発でした!

ヤクルトはここ数年、苦しいシーズンを過ごしてきましたが、昨年の厳しい時期も増田選手は"太陽"のような存在となっていました。そして今年、コンスタントに試合に出て結果を残しているのは、ファンにとってもこれ以上ない喜びです。

昨年のシーズン中に増田選手に話を聞く機会があったのですが、ヤクルトで野球ができる喜び、チームの素晴らしさを語ってくれました。

増田選手といえば、同じ2023年にソフトバンクから戦力外通告を受けた現・中日の上林誠知選手と、グラウンドで再会した時に笑顔で挨拶を交わすシーンが記憶に残っています。同じチームで戦い、それぞれ新天地に進んだふたりが、セ・リーグの選手として再び顔を合わせる。あの光景は、胸に迫るものがありました。

過去にはきっと、つらい思いもしたと思います。しかし、それを乗り越えて、グランドでプレーできる喜びを体中で表現している。増田選手が笑顔でグランドを躍動する姿を見ていると、涙が出そうになります。

今から10月の話をすると鬼が笑うかもしれませんが、ヤクルトが日本シリーズに進み、ソフトバンクと対戦することがあれば、頼もしくなった姿を小久保監督に見せてほしいですね。それこそが、最高の恩返しになるのではないでしょうか。

オールスターは、祭典というイメージが強いですよね。きっと多くの選手やファンも、そう思っていることでしょう。しかし、増田選手がオールスターにかける意気込みは並々ならぬものがあるのではないかと思います。

彼の笑顔の奥にある真剣な眼差しを見るためにも、今年のオールスターからは目が離せません。試合が開催されるのは7月28、29日。ぜひ、一緒に楽しみましょう!

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週金曜日朝更新!

  • 山本萩子

    山本萩子

    やまもと・しゅうこ

    1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン。

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