「タクシーより顔見知りの車のほうが緊張する」盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎が語る"いつもとちょっと違う"と緊張する理由

撮影/梅田幸太

盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん

R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」

第35回は、自身の緊張癖について。

* * *

突然ですが、皆さんはどんなときに緊張しますか?

好きな女のコに告白するとき、愛する彼女にプロポーズするとき、結婚の挨拶に行って彼女のご両親の前で下半身裸になって内股に挟んだスイカを力んで砕くとき......

どれも緊張すると思いますけど、共通するのは「いつもと違うことをしている」ということだと思います。

だから、僕は内股でスイカを砕くときは特に緊張しません。いつものことなので。まあ、彼女のご両親の前でやるとなれば、さすがにちょっと緊張しますけどね。あと、ズボンをはいているときはいつも緊張しています。

いや、緊張のパターンが世の中から外れすぎ。

実は僕、かなり緊張しやすいタイプで、いつもと状況がほんのちょっと違うだけでも緊張してしまうんです。

例えば、タクシーに乗るのは全然緊張しません。普段から仕事でも乗りますし、プライベートでも飲み会の後に終電を逃したら乗ったりしますから。

でも、顔見知りの人が運転する車に乗るのはちょっと緊張してしまうんです。というのも、普段そういう状況にほとんどならないので。

別にその人の運転を信用してないわけじゃないんですけど、一応、確認しちゃいます。「スピード、ちゃんと守ってる?」とか「信号は青になってから進んでる?」とか。

いや、めちゃくちゃ信用してないやん。そもそもスピードとか信号とか守らなそうなやつの車に乗るべきじゃないし。

そしてこの緊張癖は、仕事になるともっとひどくなります。

今でも劇場で漫談をやる前は、「ちゃんとしゃべれるかな」とか「お客さんにウケるかな」とか、舞台裏でいろいろ心配してしまうんです。

若手の頃はかなりひどくて、心臓はバクバク、膝はガクガク。芸歴を重ねるにつれて慣れてきたので、さすがにそこまでではなくなりましたけど、お笑い芸人になって14年目の今でも、舞台に出るときは少し緊張します。

今やっている仕事の中で一番緊張するのは、3ヵ月に1回やっている「濱田祐太郎のモウドクモウレツトークショー」です。これだけ定期的にやってるんだから、いいかげん慣れてもよさそうなもんですけどね。

そんな僕なので、いつもの仕事にちょっと違う状況が加わるだけでも、もうやばいです。

舞台に出るとき、いつものつえを持ったつもりが電気ウナギだったら、緊張のあまり気絶しますよ。「はい、どうもー。もっ、もっ、もっ」って。いや、その気絶は完全に感電やん。

ついこの間も、そんな状況になってしまったんです。あっ、電気ウナギを持って舞台に出たわけじゃないですよ。

最近、密着取材の仕事の依頼があって、インタビューを受けたり、仕事の様子を撮影してもらったりしてるんです。インタビューを受けるのは緊張しなかったんですけど、劇場で漫談をやってる様子を撮影することになって、これがかなり緊張しました。

いつもどおり劇場でネタをやるだけなのに、そこに「撮影されている」という普段とは違う状況が加わったから。自分でもはっきりわかるくらい、しゃべりのリズムがいつもと違いましたね。

なんなら、ネタをやり始めて5秒でしっかり噛みました。いやー、あれは恥ずかしかった。お客さんは僕に密着取材がついてることなんて知らないわけですから、ただの出てきてすぐ噛んだやつですよ。電気ウナギは持ってなかったけど、そのまま気絶してしまいたかったですね。

●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう) 
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5

★盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の「死角からの一撃」は毎週水曜日更新

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