グラビアライター・とり
グラビアライター・とりの記事一覧
1997年生まれ、兵庫県出身。 妄想を得意とするグラビアライター。 趣味/散歩、レコード収集。
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あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していくインタビュー連載が、週プレ創刊60周年を記念して復活。第四弾となる今回は、『Seventeen』編集部から刊行された小坂菜緒さんの写真集『君は誰?』や、写真集『moe』をはじめ週プレで豊田萌絵さんのグラビアを多数撮り下ろしされている藤原 宏さんが登場です。
後編ではキャリアの始まりから、グラビアを撮るきっかけにもなった小坂菜緒さんの写真集『君は誰?』の撮影秘話などについてお聞きしました!
* * *
――前編では、高校時代に映画やドラマをきっかけに写真に興味を持ち、東京工芸大学の写真学科を経て、小学館スタジオに入社されたところまでお話を伺いました。そういえば、のちに師匠となる倉本侑磨さんも小学館スタジオ出身ですよね?
藤原 そうです。僕が入社した頃、ちょうど師匠は独立したばかりのタイミングで、よくスタジオに顔を出されていました。そのご縁で、スタジオマン時代から、よくロケアシとして現場に連れて行ってもらって。ファッション誌が中心でしたが、スタジオの外での撮影はすごく新鮮でしたね。しかも、独立して間もないうちから、うなぎのぼりに活躍の場を広げていかれて。そんな姿を間近で見させてもらっていたんです。僕にとっては、本当にカリスマ的存在でした。
――では、弟子入りは藤原さんから直々に?
藤原 いえ。それが師匠のほうから「アシスタントにつかない?」と言ってくださったんです。スタジオは2年で満期なのですが、ちょうど卒業する頃にお声がけいただいたので、迷うことなく付かせてもらうことにしました。当時は女性を撮る仕事がしたいと思っていて、ちょうど師匠も女性誌が多かったので、そういう意味でも断る理由はありませんでしたね。既に多少の関係性がある中で弟子に付かせてもらえたのは、本当にありがたかったです。
――確かに、弟子入りしてから「合わない」なんてことも有り得ますもんね。
藤原 でも、当然ながら弟子入りしてからは師匠も厳しかったですよ。とにかく忙しかったので、現場を手伝いつつ、同時進行で別現場のデータのレタッチを進める、みたいな。寝る間も惜しんで雑務はひとりで回していたので、体力的にも精神的にも結構つらいものがありました。何度も同じことでミスして、怒られたり......。まぁ、それは自分が悪いのですが、正直、逃げ出したくなる日もありましたね。それでも見捨てずにいてくれた師匠には、本当に頭が上がりません。
――愛を感じますね。倉本さんのアシスタントに付かれて、独立してすぐに仕事が増えた理由というか、倉本さんの何が求められているか感じるものはありましたか?
藤原 そうですね。師匠はとにかくエネルギッシュなんです。若手でも物怖じせずバリバリ現場を回して、スタッフみんなを引っ張る力がある。また、限られた時間の中でものすごい数のカットを撮影するのですが、段取りが早く、機転も利く。写真が上手いだけじゃない、力強さがあった気がします。ただ僕が思うに、僕と師匠は性格が真逆なんですよ。勉強になると同時に、同じようには出来ないとも思いましたね。
――倉本さんのもとには、どれくらいいらしたのでしょう。
藤原 3年ほどです。独立当初は、それほど仕事は多くなく。新規で営業に行った媒体はなかなか仕事に繋がらなかったです。師匠との縁で出会った媒体の編集さんからお仕事はいくつかお仕事をいただき、わりと早い段階で女性誌での仕事が出来たのは良かったですね。といっても『Seventeen』や『nicola』などのティーン誌が多かったですけど。最初は街に読者スナップを撮りに行く仕事もよくやりましたね。
――ティーン誌は、モデルさんもティーンじゃないですか。どうしても年齢差があるというか。アプローチが難しそうに感じるのですが、どんなふうにコミュニケーションを取っていらっしゃるんですか?
藤原 全然普通ですよ。それに僕、大人になった今でも青春のキラキラ感が好きなので、「ティーン誌は相性がいい」と自分では思っています。モデルの女の子たちとも、目指したい世界観が何となくリンクしている感覚がありますね。逆に、コンサバ系ファッション誌のほうが分からないかもしれません。オフィスで働いたことがないから、会社の中でどういう女性が求められるのか、どんな振る舞いをするのか、イメージが湧かないんです。もちろん、編集者の方に聞いたり、他の雑誌を見たりしたうえで臨みますが、撮っていてしっくりくるのは、やっぱりティーン誌です。青春時代に戻れるものなら戻りたいくらいですから(笑)。
――藤原さんらしい感性が活きているんですね。その後、仕事が増えるきっかけ、転機となった撮影な何だったんでしょう?
藤原 自分の写真のテイストがはっきり見えてきたのは、ティーン誌と『ゼクシィ』です。『ゼクシィ』はウェディングドレスのカタログだけではなく、読み物のページも充実していて。"カップルの幸せな瞬間"をテーマにした撮影が結構あるんです。きゅんとしたり、ときめいたり。僕なりの基準として、心が動く瞬間を切り取った写真がいいと思っているのですが、『ゼクシィ』の撮影は、まさにそれを狙うことが多い。演出のために、僕のほうからストーリーを提案することもあるくらいです。比較的、「こういう写真好きだな」と思える撮影が出来ていますし、僕らしさを出せている気がしますね。
――なるほど。言ってしまえば、青春モノの延長にある世界という感じがしますね。
藤原 あとはやっぱり、『Seventeen』編集部から出させてもらった日向坂46の小坂奈緒さんのファースト写真集『君は誰?』ですね。誌面で何度か撮らせてもらったのですが、そのときの写真を気に入ってくださったみたいで、何人か候補がいた中で事務所の方が僕を選んでくださったとお聞きしました。僕自身、初めての写真集。編集者の方も、写真集を担当するのは初めてだったそうです。小坂さんといえば日向坂46のエースで、超人気メンバー。自分でいいのかな? と思う気持ちもありましたが、その編集さんとは日頃からアイデアを共有しあう仲ではあったので、一緒に色んな写真集を見ながら、色々と話し合った記憶があります。全体のテーマとしては、漫画好きの小坂さんからの提案で、恋愛コメディ漫画『からかい上手の高木さん』をイメージして、"同じクラスの憧れの女の子"の距離感で撮影させていただきましたね。
――藤原さんの得意な世界観で撮影ができたわけですね。水着の撮影も初めてだったかと思いますが、いかがでした?
藤原 撮影で川に行ったとき、思った以上に水が冷たかったというか......。考えたら分かることなんですが、あまり長時間は撮れないし、無理させられないじゃないですか。事前にリファレンスを用意して、ここで撮りたい絵は何となく決めてきたつもりでしたが、全てを撮ろうとするのは難しいだろうなと、自然のロケーションならではの大変さを思い知りましたね。とはいえ、小坂さんの写真集はやっぱり反響も大きかったです。そのパブを掲載していただいたのが、僕にとって初めての週プレさんでした。
2021年6月14日発売『週刊プレイボーイ26号』表紙&巻頭グラビアより
――もともとグラビア誌やアイドル写真集はご覧になっていたんですか?
藤原 グラビア誌を見るようになったのは、小坂さんの写真集が決まってからですね。それまでは、あまりちゃんと見たことがなかったです。小坂さんのパブがきっかけだったのか、そのあと、週プレの編集者の方から直々に撮り下ろしのお話をいただきました。それが豊田萌絵さんのグラビアでした。
2022年1月31日発売『週刊プレイボーイ7号』より(デジタル写真集『OFF-MODE』に収録)
――ずっと女性誌志望だったわけですが、週プレは男性誌で、青春のキラキラというよりは欲情的な写真が求められる場でもありますよね。特に思うところはなかったですか?
藤原 全然なかったです。むしろ、写真集の撮影がすごく楽しかったので、グラビア的なお仕事もやっていきたいと思っていたところでした。とはいえ、グラビアの現場に慣れるのには時間がかかりましたね。ファッションの現場はモニターを見ている編集さんやスタイリストさんの「いいね」という声をヒントに撮っていくことが多いのですが、グラビアの現場はそれほどモニターチェックをしないというか。自由に撮らせてくれるじゃないですか。特に最初は「この感じで合ってるのかな?」と不安になりながらシャッターを切っていました。ただ、もっとこうしてほしいという意向がある時はちゃんと言ってくださることも分かってきたので、何も言われないうちは自分を信じて撮ればいいかなと、今は思っています。
――現在配信中の『週プレ プラス!』でも豊田さんの「+Special」を撮影されています(デジタル写真集『また、好きになる。~prologue~』)。何度も撮影されるなかで、意識していること、撮影スタイルに変化があれば、教えてください。
藤原 撮影を重ねていくと、お互いに気持ち的に慣れてくる部分があるわけですが、それでも常に駆け引きは忘れないようにしていますね。僕から見た彼女の印象は、明るくて、どんな場面でも動じない強さを持った女性である一方、ふとした時に自信のない瞬間が垣間見えるコだと思っていて。だからこそ、彼女が撮ってほしい部分をちゃんと狙いつつ、どこかで意表を付くような、崩れたところも押さえたいと思って、隙も狙うようにしています。豊田さんに関しては、担当編集さんも良い関係性を築いているので、そういった意味でも安心感がありますね。
豊田萌絵『また、好きになる。~prologue~』より
――週プレのラインナップを見ていると、他には尾木波菜(≠ME)さん、ねおさんと、フレッシュなグラビアが多い印象です。前編からお話いただいている"青春感"はグラビアでも意識されているのでしょうか。


藤原 頭のどこかで意識している部分はあるんでしょうけど、グラビアは、あくまでもご本人の魅力を最大限に引き出すことを意識していますね。それこそ、先ほどお話しした『ゼクシィ』のように、演出のためにストーリーを提案することはほとんどないです。そうした作り込みは、グラビアだと"やりすぎ"になってしまいますからね。最初に撮影したグラビア的な作品が写真集だったからこそ、ご本人の作品として大事にしたい思いが強いのかもしれないです。まぁ、このインタビューを受けられている方の中ではまだまだグラビアの本数が少ないほうだと思うので、増やしていけるよう頑張りたいですね。
――グラビアはもっとやっていきたい。
藤原 そうですね。爽やかなグラビアだけでなく、しっとりめにも挑戦してみたい気持ちがあります。あと、最近はメンズの写真を撮らせていただくことも多いので、幅広くお仕事していけたらと思っています。
●藤原 宏(ふじわら・ひろし)
1986年生まれ、神奈川県相模原市出身。
趣味=テニス
東京工芸大学写真学科卒業後、小学館スタジオに2年間勤務。その後、倉本侑磨氏に師事し、2014年にPYGMYCOMPANYに所属。『CanCan』や『Seventeen』など、女性ファッション誌を中心にキャリアをスタートした。2021年に発売された小坂菜緒(日向坂46)ファースト写真集『君は誰?』を皮切りに、アイドル写真集やグラビア誌にも活動の幅を広げる。上村ひなの(日向坂46)『そのままで』、田村真佑(乃木坂46)『恋に落ちた瞬間』、五百城茉央(乃木坂46)『未来の作り方』などの写真集を撮影しているほか、週プレでは写真集『moe』をはじめ豊田萌絵のグラビアを全て撮影している。




