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「ゴンチャ 高田馬場店」の外観
嵐のように時代を席巻し、そして嵐のように消えた――。タピオカドリンク店のことを、そんなふうにとらえていないだろうか? ブームが消えてもなお残る。それどころか拡大方針を取り続けている業界の雄の、ヒットの秘密に迫った! 【オワコンの逆襲 Part1 タピオカ】
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コロナ前に日本中を席巻し、コロナの蔓延(まんえん)とともに終息したタピオカブーム。ところが台湾発祥のチェーン「ゴンチャ」だけは、いまだに店舗数を伸ばし続けているという。
食文化研究家の渥美まいこ氏は、タピオカブームについて次のように解説する。
「2013年に『春水堂(チュンスイタン)』が東京・代官山に誕生し、台湾茶×タピオカのドリンクが日本に初上陸しました。続く15年にはゴンチャが原宿にオープン。17年には『CoCo都可(トカ)』が渋谷に出店し、同年には『THE ALLEY(ジ アレイ)』が表参道に1号店を構えます。
THE ALLEYはカップの鹿のロゴがかわいいと注目を集め、このあたりからタピオカの"映え"要素が各店舗で強化されるようになりました。SNSを起点に話題が話題を呼び、さまざまなタピオカ店が連日大行列を作るようになります。
19年には、原宿に期間限定テーマパーク『東京タピオカランド』が登場するなど、タピオカが時代の象徴のような存在になりました」
2018年から大流行したタピオカミルクティー。「タピる」「タピ活」という新語も生まれた
しかし、最盛期には数十店舗あったCoCo都可は現在5店舗にまで縮小。ブームを牽引(けんいん)したTHE ALLEYも都心部の店舗を続々と閉店している。ちなみに東京タピオカランドは、「入場料が高い」「装飾が文化祭レベル」などの批判が殺到した後、静かに幕を閉じた。
こうした逆境の中、ゴンチャは現在でも全国に200店舗以上を展開。毎年20以上、堅調に店舗数を増やしている。なぜゴンチャは人気を維持し続けられるのか?
「大きな要因は、ブームから"日常"へのリブランディングに成功したことです。ゴンチャは駅ビルや商業施設などを中心とした出店計画で、スターバックスのように仕事の合間や買い物のついでに立ち寄りたくなるティーカフェとしての地位を築きました。
世間がタピオカの『モノ消費』に飽きた一方で、ゴンチャは日常のスキマ時間においしいお茶を飲むという『コト消費』を提供できていると言えます」
参入障壁の低さもあってか、タピオカドリンク店は急増。ところが2020年頃からタピオカ店の閉店が続出した
でも、タピオカを日常的に飲みたいと思う人は少数派では?
「ゴンチャは豊富なメニューも特徴のひとつ。タピオカ抜きのストレートティーや彩り豊かなフルーツティー、ちょっとしたフードや期間限定メニューを戦略的に投入しています。
ナタデココやアロエなどのカスタムも可能で、日常使いしても飽きがこない。10代の学生から本物志向の大人、さらには男性客まで、幅広い層を取り込んでいます」
というわけで、友人を連れて「ゴンチャ 東京駅グランスタ八重洲店」に行ってみた。土曜日の午前11時に訪れたが、50席ほどある広い店内はほぼ満席状態。内装は至ってシンプルで、普通のチェーンカフェのような雰囲気だ。
東京駅直結で利便性が高く、キャリーケース片手にドリンクをテイクアウトしていく人も多い。店内は若い女性同士のグループが目立つが、電源が使えるカウンター席で仕事をしているビジネスパーソンや、男性2人組の姿もあった。
では、肝心のメニューはどうか。渥美氏のオススメを聞いてみた。
「定番は『ブラック ミルクティー』にパール(タピオカ)トッピングです。ゴンチャは茶葉ごとに最適な温度や時間を設定して抽出するのですが、なんと抽出後4時間を経過したらすべて廃棄するという徹底ぶり。そんなこだわりの茶葉がじっくり味わえる、シンプルだけど計算され尽くされた一杯です。
また、近年ではフルーツをぜいたくに使った、季節限定の『デザートティー』も人気ですね。東京駅グランスタ八重洲店はフードメニューも充実しているので、ランチや小腹がすいたときにもぴったりです」
右は「ブラック ミルクティー」Mサイズ(490円)、左は「マスカット&ピーチ 凍頂烏龍 ミルクティー」Mサイズ(490円)
教えのとおりに「ブラック ミルクティー」Mサイズ(490円)と、期間限定の「マスカット&ピーチ 凍頂烏龍 ミルクティー」Mサイズ(490円)を注文。トッピングはパール(+90円)を選択し、別途氷の量と甘さも選ぶことができた。加えて「カフェサンド サーモン&ベーコンアボカド」(550円)、「エッグタルト」(250円)、「Sugarドーナツ」(280円)をチョイス。フードとドリンクをセットで買うと80円割り引きされるので、ふたりで合計2160円。スタバに比べるとややリーズブルな印象を受けた。
渥美氏イチ押しのブラック ミルクティーは、茶葉をしっかり感じる深みのある味わい。タピオカはモチモチの食感でほんのり甘く、ミルクティーの風味を邪魔しない。サーモンベーコンアボカドサンドはプリプリのサーモンと濃厚なクリームチーズが相性抜群で、ベーカリーのクオリティだ。エッグタルトは卵感たっぷりで、しっとり生地のシュガードーナツも甘すぎず美味。
何よりも一番驚いたのが、マスカット&ピーチミルクティーだ。ジュースのような甘さを想像していたが、実際は喉越し爽やかで飲みやすい。マスカットやピーチは優しく香る程度で、全体的な甘さは控えめ。これなら大人の男性でも抵抗感なく飲めそうだ。
店舗によってはフードも取りそろえている
価格は決して安くはないが、ドリンク、フード共にレベルが高く、店内の居心地もよい。人気の理由がよく理解できた。
では、ゴンチャは今後も事業の拡大が見込めそうか?
「ゴンチャ ジャパンは、将来的に国内1000店舗体制を見据えています。その自信の背景には、一時的な現象で終わりかけていたタピオカを、お茶をカスタマイズして楽しむという新たな飲食文化へと発展させた実績があります。
今後はまだ出店余地のあるオフィスビル内の小規模店舗など、より生活圏に近い場所への進出が進むでしょう。また、デジタル化による利便性の向上や、お茶に合うフードメニューの開発がさらに進めば、既存の大手カフェチェーンを凌駕(りょうが)するティーカフェのインフラとして、私たちの生活に不可欠な存在になっていくかもしれません」
ゴンチャの躍進により、タピオカは一過性の流行から、次のステージへと移行しつつあるようだ。