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昨年のプロ野球ドラフト会議で、オリックスから6位指名を受けた石川。打者としてはジョージア大の中軸を担う
日本人選手が、アメリカの大学生として初めて大舞台に臨んだ。米ジョージア大学でプレーする石川ケニーが、米ネブラスカ州オマハで開催されたカレッジ・ワールドシリーズに「5番・左翼」などで初出場。
全試合に出場した22歳は、6月15日(現地時間。以下同)の試合では本塁打を放つなど活躍したものの、17日のオクラホマ大戦に敗れて決勝進出はならず。カレッジ最高峰の戦いを終えた直後、石川はダグアウトの手すりにもたれかかってしばらく呆然としていた。
「高校のときの甲子園もそうだったんですけど、試合が終わってすぐは『この仲間でやれるのが最後』っていう実感があまり湧かないんです。悲しいですが、涙も出なかったですし。明日、あさってあたりにじわじわくると思うので、そこで号泣すると思います」
石川は悔しさを隠さず、それでいて生き生きとした表情で述べた。アメリカで活躍する日本人学生の〝パイオニア〟になったわけだが、それは新たなステージの開始を意味する。
石川は2025年の日本プロ野球ドラフトで、オリックスから6位指名を受けている。しかし同時に、7月中旬にフィラデルフィアで開催されるMLBドラフトでも指名候補に挙がっているのだ。
日本人の父、アメリカ人の母の元、04年4月7日にハワイで生まれた石川は、幼少期に家族と共に日本に移住した。明秀学園日立高校時代にはエース&4番打者として春夏連続で甲子園出場を果たすと、亜細亜大に進学。その後、アメリカ留学を決意して単身渡米し、シアトル大を経てジョージア大に編入した。
昨季、今季と2季連続で打率3割を大きく超える高い打力を披露。左投げ左打ちの好打者として、アメリカ屈指の強豪校であるジョージア大の主力を担った。
体のサイズは、身長180cm、体重88kg。今季は38試合に先発出場し、打率.336、二塁打6本、本塁打3本、21打点、チームトップの出塁率.475をマークした。
「球を見極めることや、三振の少なさが自分の持ち味です。『2ストライクに追い込まれてからでも、いい内容の打席をひとつでも多く』と意識しています。三振するのが本当に嫌いなので(笑)。その中で、甘く入ってきた球をうまくシバけたらと」
石川は投手としても起用されているがこの先も二刀流としてのプレーを希望しており、それが進路決断に影響しそう
そう元気に語る石川は、一方で、依然として投手も務めている。今季はシーズン序盤に死球を受けた影響で、投手としての登板機会は限られた。それでも最速97マイル(約156キロ)の速球、キレのいいスライダーは大きな武器だ。石川本人も「〝二刀流〟で続けていきたいです。やっていける自信はあります」と述べている。
また、英語、日本語の両方を流暢に話す完璧なバイリンガルであり、常に笑みを浮かべる典型的な〝陽キャ〟なのも魅力。いつでも楽しそうで輪の中心にいるタイプだけに、性格的にもプロ向きと言っていいだろう。
「甲子園とカレッジ・ワールドシリーズの両方に出場し、日本で野球をやっている中学生、高校生に希望を与えられた。『こういう道もあるよ』と、みんなに知らせることができたと思います。当たり前のことではないですし、両方に出られたことは本当に感謝しています」
貴重な経験を積んだ石川は、これから重要な時期を迎える。すでにドラフト指名を受けているオリックスに入団するのか。カレッジにもう1年残ってさらに精進するのか。あるいは、MLBドラフトで指名された場合にはメジャーを目指すか。3つの選択肢が目前に存在するのだ。
年齢的にもプロ入りに適したタイミングだが、まずは日本でプロのキャリアをスタートさせるのがベターという考え方もあるだろう。もちろん、MLBドラフトでいい評価を受けた場合、真っすぐにその方向に進むのも想定内。
ただ、〝二刀流〟にこだわるならば、カレッジに残って投手としての評価も高めてから、あらためてプロを目指すという判断もあるかもしれない。
昨年、ソフトバンクから1位指名を受けた佐々木はスタンフォード大でプレー。やはりMLBドラフトの結果を待つ
昨年のドラフトでソフトバンクから1位指名を受けた、スタンフォード大の佐々木麟太郎の進路に注目が集まっているが、石川も似たような立ち位置にいる。しかし、オリックスからの指名順位が低いこと、今季中に故障があったことなどを考慮すれば、進路選択は佐々木以上に難しい部分もある。
22歳で人生を左右する決断をしなければいけないのは酷ではあるが、いつでも快活な石川自身は、自らが置かれた立場を喜ばしくとらえている。
「今後に関しては、まず信頼しているジョージア大の監督さんや親とも相談したいです。選択肢が3つあるので迷うことはありますけど、自分が悔いのないようにやっていきたいです。オプション(選択肢)が多いことは、当たり前なことではありません。しっかり感謝しながら、自分の将来なので慎重に決めていきたいですね」
結論はMLBドラフトを終えてから出すことになるが、やはりどの程度の順位で指名されるかが判断の基準になるはずだ。石川は6月下旬、ドラフト候補生が集まるMLBドラフトコンバイン(公開テストイベント)にも招待されたが、日程調整の難しさもあって参加を見送った。
球界関係者からは「指名があるかどうか、どの順位で指名されるかの予想は難しい」という声も聞くだけに、MLBドラフトの行方は興味深い。
「(これからどの道を行くのか)細かいことはまだわからないですけど、一年でも多く野球をやって過ごしていきたいです。楽しむことが大事ですけど、自分には野球しかないので(笑)」
笑顔を絶やさない石川が迎える人生のターニングポイント。文字どおり〝運命の日〟には、日本、アメリカ、その両方のベースボールファンからその結果に視線が注がれることになる。