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「Mっ気」と「セックスの手前」の相関関係を考えるニシダさん
小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」。
特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。ただただ、セックスの、話を、していきます。
* * *
【No.022】
――趣味が動画編集で"ロングオナニスト"のOさんから、熟女の可能性、アダルト動画の編集とテレビ映像編集に通じるところなどを聞いてきましたけど、改めてロングオナニーについて立ち返って伺いたいです。動画編集を挟みながら、朝から晩までかけて1回するというロングオナニーについて、どういう感情を持ってるんですか?
Oさん まずオナニーってすごい快楽だなと思っていて。どこでして、そこでやめてもいいし、どこで再開してもいい。しかも自分の好きな映像を観ながら、手軽に快楽が得られる。
そういう自由度が高い快楽だからこそ、10分とか1時間で簡単には手放せないという気持ちもあって、だから助走期間が長くなってるんですよね。終わろうと思えばちゃちゃっと終わるんですけど。
ニシダ その感情はなんなんすか? コンテンツ愛みたいなこと?
Oさん 例えば10分でも終わるけど、10時間してたら10時間ずっと気持ちいいわけじゃないですか。そこに、今とてつもないことをし続けてるなという感覚が芽生えてきて。
10時間、寸止めして、またし始めて、また寸止めして、またし始めて、なんでこんなずっと気持ちいいの?っていうことなんですよ。賢者タイムを経ないから下がることがないので。
ニシダ ははあ、なるほど。
Oさん 「とてつもない快楽を10時間も得続ける」っていう、普段なかなか経験できないことを、家から出ることなく、自分ひとりで、お金をほぼかけずにできてしまうみたいな幸福感が強いのかもしれないですね。
ニシダ 普通の人だと忙しかったり、それこそいま流行りのタイパみたいなものを気にしたりして、やっぱりササッと済ませたいっていう気持ちもあるじゃないですか。
逆に10時間もかけて射精したら、そのあとに「何やってんだ、俺......」みたいにはならないですか?
Oさん そういうのはないですね。もちろん、しょっちゅう寸止めしてるので、たまに途中でイってしまうこともあるんですよ。
そういうときの悔しさのほうが大きいですね。「意思に反して暴発しちゃった」「ちっくしょう。なんでだよ。まだできたじゃないか」っていう。
ニシダ そっちなんだ(笑)。じゃあイクまでにどれだけの時間を無駄にしたとか、罪悪感とかもないんですね。
Oさん そうですね。でも暴発したときは、できるだけ早く復活しないといけないとは思います。
ニシダ え、もうワントライ?
Oさん ワントライどころじゃないです。暴発するときは暴発癖がついちゃって、5~6トライするときもありますね。
ニシダ すごいな。そもそも人よりも搭載しているエンジンが強いんだろうな。
Oさん それはそうかもしれないですね。ところが、セックスとなると2回戦とかはあんまりできないんです。そこは自分の中でも不思議というか。
――1回目の冒頭でも言ってましたよね。「セックス自体は嫌いでもないけど」みたいな。
Oさん そうなんです。その手前までが好きで。それでいうと夜のお店って、「セックスの手前までできる」というところが好きなんです。「手前の美学」と言いますか。
ニシダ あー、なんかちょっとずつわかってきたぞ。AVも「本物の手前」ですもんね。言ってしまえば、目の前にあるのにお預け食らってるみたいな状態が好きなんですね。
Oさん そうですね。セックスを目的としてない。その「手前」がいいんです。
例えば海外の夜のお店で、本番行為をして終わりっていうところもあるらしいですけど、日本は本番はせずに、その手前を楽しむ文化があるじゃないですか。
その手前までをどう詰めるのかっていう感じが好きなのかもしれないですね。
ニシダ そう考えると人間、どっちが好きなのかよくわからないですね。本番行為が好きなのか、そこまでの手前の行為が好きなのか。
Oさん ニシダさんは、どちらかと言えばどっちにウェイトを置いてるんですか?
ニシダ そうだなあ......。もちろん手前が楽しいのもあるんですけど、かと言って、その後がなかったらイヤだしなあ。結局、ゴールがあるからという安心感で、手前も楽しんでる感じがします。
Oさん あー、ゴールがある安心感。
ニシダ そう。だから「手前だけでいい」っていうことは絶対ないですね。
Oさん もし「今日はゴールがないです」って伝えられてたらどうです?
ニシダ 「それは違くない?」って思っちゃう。「ゴールがないとボク、頑張れないよ?」って(笑)。
Oさん ゴールなしの状態で手前だけを楽しんだりはしないんですね。ってなるとお店とかはそんなにテンションは上がらないですか?
ニシダ そうですね。まあ、あんまりそういうお店に行った経験もないし。だから手前だけを楽しむという行為の良さをまだ知らないのかもしれないですね。
Mっ気とセックスの関係性について語るニシダさんとOさん(20代、男性)
――それって、Sっ気がある、Mっ気があるというのとも関係ありそうじゃないですか? OさんはMっぽい印象があるから、されるほうが好きで、手前側が好き。ニシダさんはどちらかというと攻め派で、ゴールがある状態が好きそうじゃないですか。
Oさん たしかに僕、Mなんですよね。ロングオナニーは学生時代からずっとしてて、友達に「休日をまるまる1日使ってしてたんだよ」って話をしたことがあって。
そしたら友達に「それって1日に何度もするの?」って聞かれて「いや、何度もするわけじゃないよ。ヌかずに長いんだ」って答えたときに、「お前それ、オナニーじゃなくて、"おちんちんイジメ"だよ」って言われたんですよ(笑)。
ニシダ なんだよ"おちんちんイジメ"って(笑)。でも、言いえて妙だな、"おちんちんイジメ"。
Oさん 言われた俺も「え、そうなの!? あれってオナニーじゃなかったの? イジメなの?」とか思って。
ニシダ 確かに、オナニーっていうと射精というゴールまでがセットの行為だから、そこに至るまでが長いとイジメ続けてるともいえるのか。
Oさん そうなんです。そこで「ああそうか、じゃあこれってそもそもMっぽい行為なんだな」ってハッとさせられた経験があります。だからMではあるんだろうなって。
ニシダ でも10時間もやってたら、その間でメシとか挟みたくなりません?
Oさん それは日によりけりですね。メシ休憩を挟むこともありますし。
ニシダ え、メシ挟んでもイケる?
Oさん イケますし、メシ挟まずにぶっ通すこともありますね。気付いたらもう夜だったみたいな。
でもやっぱり、ご飯食べると眠くなっちゃうじゃないですか。そこはひとつノイズが入るというか、集中が削がれるというか。だからあんまりメシのことは考えてないかもしれないですね。
ニシダ すごいなあ。メシ抜きで10時間ぶっ通しでやるときもあるんだ。それはもう前日から「明日は1日かけてやるぞ」っていう気持ちで?
Oさん そうですね。もう休みの前日から一連の作業は始まってて、例えば21時とか22時に仕事から帰ってきたら、まず軽く動画編集をするんです。そのときはショートオナニーで済ませて。
ニシダ だから"ショートオナニー"ってなんだよ(笑)。普通はオナニーにショートもロングもないんだよ。もはや何が普通かも分かんないけど。
Oさん で、やっぱりそこまでのデータを書き出して寝るんで、僕のパソコンは基本的にいつも排熱してて、夜中シューとか動いてて。
そうすると、翌日はすぐにPCも動くし、すぐに編集作業に取り掛かれるんですよ。なんならいつもよりもちょっと早く起きてみたりして。
ニシダ なるほどね。起きたらすぐに作業できるようになってるし、気持ちもそっちに持っていってるんだ。普通、休日なら「昼まで寝ちゃった」みたいな人のほうが多いのに。
Oさん いや、もうそういう日はワクワクで早く起きるくらいですね。
――もし寝過ごしちゃったらどうなるんですか?
Oさん 結構へこみます。「うわー、この時間で2本は動画は作れたのに......。しかもその合間合間のいじる時間も楽しめたのに、2時間分も快楽を放棄しちゃった......」って思っちゃいます。
ニシダ 本当すごいわ。特殊な性癖の人って、中には人に迷惑をかけるパターンもあるけど、Oさんの場合は人にも迷惑かけないし、健康を害してもいないし、ただひたすら自分だけの快楽を追求してる。
例えば、床オナってのちのちセックスするときイキづらくなるとか聞いたこともあるけど、そういう弊害もなさそうだし。
Oさん あ、でも弊害もあるんですよ。
――この話の続きは次回お願いします!
■ニシダ(ラランド)
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著書に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)