
村瀬秀信
むらせ・ひでのぶ
村瀬秀信の記事一覧
1975年生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。ライター、ノンフィクション作家。野球、食、旅などをテーマに幅広く執筆。著書に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』(集英社)、『4522敗の記憶』(双葉社)、『止めたバットでツーベース』(双葉社)、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』シリーズ(講談社)など。
沢村栄治(巨人) 1937年春の沢村は、投げてはチーム41勝のうち24勝を挙げ、打っては打率.276。ただプロでの本塁打はなかった
投げて良し、打って良しのエースたちが見せつける"天才"の力。あるいは逆に、まるで期待されていない投手が偶然(?)打った超レアなヒット。数々のドラマを生んできた「ピッチャーのバッティング」が、ルール変更により間もなく"見納め"となる。歴史的名場面をドーンと振り返ります!
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日本プロ野球の歴史は、戦前の沢村栄治、スタルヒンから始まる「打撃がすごい投手」の歴史でもある。
400勝-406安打の"カネやん"金田正一は、投げない日にはたびたび代打で登場。310勝-500安打の別所毅彦は通算打率がなんと.254。"悪太郎"堀内恒夫は王貞治の引退セレモニーでも"投手・王"からホームラン。大洋・平松政次、ヤクルト・松岡弘の両エースも長打力を兼備。江川卓(巨人)は1983年に打率.286、3本塁打を記録した。
石川雅規(ヤクルト) 昨季まで24年連続安打。10月に予定されている引退試合でヒットを打てば、投手としての連続記録更新となる
桑田真澄-野村弘樹-前田健太(現楽天)は"PL出身強打投手"の系譜。野村弘樹-吉見祐治-今永昇太(現カブス)は"打てる横浜の背番号21"。中日では15本塁打の星野仙一、8本塁打の川上憲伸の"明治大学師弟コンビ"。現役では広島の森下暢仁、床田寛樹、大瀬良大地。そして通算3本塁打の"ライアン"小川泰弘がいるヤクルトでは、引退を発表した石川雅規が現役最多の136安打、150犠打。今季初安打が出れば投手新記録の25年連続安打に!
星野仙一監督が阪神を18年ぶりリーグ優勝に導いた2003年、10勝を挙げた先発左腕ムーアは、打っても打率.326。打席に向かうと甲子園球場は異様な期待感に包まれた。
一方、ウィーランドは2017年に広島戦だけで3本塁打と鯉キラーぶりを発揮。翌18年には先発登板の翌日、なんと捕手・嶺井への代打に指名され四球を選び、サヨナラ勝ちを呼び込んだ(もちろん広島戦)。
ジョー・ウィーランド(DeNA) 来日1年目の17年、広島キラーとして3本塁打。2年目にはなんと野手の代打として出場!
トレイ・ムーア(阪神) 02年は2度の猛打賞、03年は打率3割超。阪神在籍2年で強烈な印象を残した
【まさかの珍采配がセカンドキャリアの助けに!】
プロ野球を引退後、イチゴ栽培を学び、2024年に神奈川県横浜市で「三ツ間農園」をオープンした三ツ間卓也(中日)。そのセカンドキャリアを"伝説の采配ミス"が助けてくれたという。
延長10回、逆転サヨナラの大チャンスを迎えながら、与田剛監督の計算違いで野手を使い切っていたがゆえの"苦渋の代打"はネットミームにもなった(結果は三振ゲームセット)。
「野球選手って、辞めるとどんどん世間から忘れ去られてしまうんですね。農園を始めるまでの準備期間にどうすれば世間の知名度を保てるか。助けてくれたのが、あの事件のインパクトでした」
三ツ間卓也(中日/2020.7.7 vsヤクルト)
出せば売れる「代打三ツ間」グッズは、Tシャツ第2弾が今年8月に発売したばかり。今後もグッズ展開をしていく予定だという
起業までの間には、「代打三ツ間」をブランディングしてSNSなどで発信しつつ、Tシャツ、キーホルダーなどの商品を開発・販売。YouTubeのタイトルも『代打三ツ間のstrawberryチャンネル』とフル活用し、成功につなげた。
「お客さんがその話をしてくれることも多いですが、最近では僕が野球選手だったと知らず、イチゴ目的で来てくれる人が増えたことが成長ですね。『代打三ツ間』はこれからも大事にしていきたい僕のブランドです」