日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『四月の余白』をレビュー!

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。 「人は変われるか」を問う人間ドラマ。
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『四月の余白

評点:★3点(5点満点)©2026 N.R.E.©2026 N.R.E.

経験則に基づく「指導」の落とし穴

共感能力が著しく低く、暴力的・反抗的で罪悪感も乏しい、いわゆる「手のつけられない少年」をどうしたら良いのか、という問題に対して「これこれこうすればいいんですよ」という「正解」はおそらくないのかもしれない。

しかしながら、現在は個人・学校・司法・地域などの各レベルで多面的に関わるマルチシステミック・セラピーを始めとするエビデンスベースの介入法が推奨されており、もちろん指導する側が暴力を用いることは否定されている。

というのも、長年に亘る複数の研究の結果、暴力的な指導は、長期的には攻撃性や反社会性をさらに悪化させることが実証されているからだ。

その意味で本作の主人公の経験則に基づく指導法にはどうしても疑問を抱かざるを得ないし、見方によってはアナクロニズムに基づく体罰の容認とすら受け取られかねない。

一方、劇中でも描かれるように日本の教育現場が疲弊しきっているのは事実だし、理想的とは言わないまでも、よりましな方策を取れる環境も整備されていない。

映画というミクロコスモスにおいて目の前の具体的な問題が焦点化されるのは仕方がないが、社会やシステムの問題がスポイルされているように感じられた。

STORY:元受刑者の健吾が運営する体罰も辞さない更生施設に、暴力を繰り返す中学生の海斗が迎えられる。だが、海斗は寮生とトラブルを起こして脱走し、傷害事件を起こして逮捕されてしまう

監督・脚本:吉田恵輔
出演:一ノ瀬ワタルほか
上映時間:106分

全国公開中

★『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』は毎週金曜日更新!★

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