
渡辺雅史
わたなべ・まさし
渡辺雅史の記事一覧
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
ウーバーイーツでこの1年間に変更された、配達員の収入に対するルールを紹介します
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第159回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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昨年9月にウーバーイーツ配達員の新報酬制度「フラットレート」が導入されました。この制度の詳細については以前、「ウーバーイーツの新報酬システム『フラットレート』はどのくらい稼げるのか?」で書きましたが、私がよく配達を行なっているのはタワーマンションや高層ビルなど、建物に到着後、目的の部屋や店舗へ向かうまで時間を要することが多いエリア。
そのため、これまでの1回の配達ごとに配達料が決まる報酬制度より、配達料を時給で算出するフラットレートのほうがありがたかったのですが、今年4月、導入から半年ほどで廃止となりました。
これだけではなく、ウーバーイーツでは新システム導入や制度廃止といったルール変更がものすごい頻度で行なわれています。そこで今回は、2025年8月から26年7月までの間に変更された、配達員の収入に対するルールを紹介します。
2ヵ月前の5月、「売れっ子芸人たちが慕う、芸人兼ウーバーイーツ配達員TAIGAに聞いた芸人配達員のリアル」で、配達依頼の拒否回数に上限を設けるクエスト制度について触れました。
この制度は3月下旬に導入され、ウーバーイーツの働き方の大きな特徴である「配達依頼を拒否できること」に制限をかける代わりに、クエストで得られる報酬額をアップさせるというもの。ですが、導入から3ヵ月後の6月中旬に早々に廃止。従来型のクエストに変更されました。同時にクエストで得られる報酬も減少しました。
クエスト関連のルールでは、1月から選択制クエストに変更がありました。これまでのクエストは、過去3、4週間の配達回数に基づいて運営側が「あなたは来週〇回配達したら〇円の特別報酬です」のような回数と金額を決めるスタイルでしたが、この配達回数を配達員が自由に選べるようになりました。
この制度は出前館、menu、Wolt、フードパンダなど、数々のフードデリバリー会社が登場した4、5年前に導入されましたが、ほんの数ヵ月で廃止されたルールと記憶しています。配達員が自分の予定に合わせて効率良く特別報酬を得られる制度なので、運営側にとっては出費が多くなりますが、それだけ新興のフードデリバリー、ロケットナウの勢いがすごいということなのでしょうか。
2026年の5月から変更されたのは稼働時間に関するルール。
ウーバーイーツ配達員の稼働時間は12時間と定められています。それを超えると配達員用アプリは強制的に切られ、6時間以上、スイッチをオンできません。
この稼働時間は連続12時間ではなく、2時間稼働→1時間休憩→3時間稼働、といった場合では5時間稼働した計算になります。つまり、連続6時間以上スイッチをオフにすると、再び12時間稼働できるようになる仕組みです。
4月までは配達依頼を待っている時間は稼働時間にカウントされませんでしたが、5月からは移動しながら配達依頼を待つ時間が稼働時間にカウントされるようになりました(同じ場所にとどまっている場合は稼働時間にカウントされません)。
私は年末年始などライターの仕事がない時期に稼働制限時間を目一杯使って稼ぐタイプ。そんな稼ぎ方をする配達員にとって、この制度は大きなマイナスです。例えばこんなケースがあったとします。
繁華街
↓(3km、自転車で15分)
コンビニ
↓(3km、自転車で15分)
住宅街
これまでは繁華街で料理を受け取り、住宅街まで運び、そのままスイッチを切らずに繁華街へ戻っていました。そして、運が良ければ途中にあるコンビニからの配達依頼を受け取ることができました。
ですが、新ルール導入後は、住宅街から繁華街へ戻る移動でスイッチを入れっぱなしにしていると稼働時間にカウントされてしまいます。店の少ないエリアでスイッチを入れていても稼働時間が削られる可能性が高いので、1日あたりの稼ぎを多く得るためにはスイッチを切ったまま繁華街に戻るしかありません。旧ルールと比較すると、コンビニから繁華街までの移動時間が、新ルール導入の影響で発生したムダな時間となります。
先の年末年始に都内で配達したときは、14時間ほど働いて12時間制限時間(クエストを含まない収入は1万5000円から1万8000円)となることが多かったのですが、今後は少なくとも16時間は配達しないと制限時間(収入は前述したものと同じ)にならないのではと感じています。
2025年12月に廃止となったのが配達調整金制度。
配達調整金は、店に受け取りに行ったものの料理ができておらず配達に時間がかかった、渋滞に巻き込まれて到着が遅くなったなど、遅延が発生した際に配達員に支払われるもの。運営側からのアナウンスによると、この制度を悪用するケースが数多く見られたため廃止するとのこと。
わざと時間を伸ばすようなことをするのは、注文された方にとっては迷惑な行為なので、制度の廃止も致し方なしのように思えます。ですが、レストランの混雑で20分以上待つことは私もたまに経験しています。そして、この制度が廃止されたことによって、少しでもレストランで待つような状況が発生すると注文をキャンセルする配達員が増えました。注文された方の画面に「配達員がマッチングした」「配達員がキャンセルした」といった画面を何度も表示するとウーバーに対する信用も下がると思うので、配達調整金は前のようなレベルでつけたほうがいいと個人的には思います。
他にも、6月から一部地域で配達員のランキング制度がスタート。上位ランクの配達員に依頼を優先的に回す制度も始まったりしています。
サービス業ですから、状況に応じたルール変更は問題ないと思いますが、今回挙げたような配達員の収入に大きく関わるルールを1年で何度も変更するのは困ります。せめて、収入に関するルール変更だけは配達員にアンケートを取る、結果を公表するなどのプロセスを経てやっていただきたいものです。