【仮面ライダーヒロイン名鑑】『仮面ライダーガヴ』千歳まち「16cmのヒールを履いていたので、グロッタを演じるときの身長は190cm近くありました」

取材・文/とり 撮影/荻原大志


仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーマイス』のオンエアを記念して、今年も『週刊プレイボーイ』で特別号が発売! 10月26日に発売された45・46号では「仮面ライダーヒロイン大特集!!」と題し、歴代の仮面ライダー女優たちが登場。水着グラビアの最新撮り下ろしやインタビューなど、仮面ライダーファン必見の内容となった。

その特集より歴代美女4名のインタビューを、週プレNEWSにて掲載。今回は『仮面ライダーガヴ』(2024~2025年)でグロッタ・ストマックを演じた千歳まちさんが登場。グロッタは、闇菓子の製造・販売を行うストマック社の生産管理を担当する、ストマック家の長女。優れた戦闘力を持ち、大鎌を武器に強敵を圧倒する。千歳さんはグロッタをどう演じていたのか? 出演にまつわるエピソードや当時の心境などを語ってもらった。

*  *  *

――舞台を中心にキャリアを重ねられた千歳さんにとって、『仮面ライダーガヴ』はほぼ初めての映像作品になるのだとか。

千歳 そうですね。ミュージックビデオや短編ドラマに出させていただいた経験はありましたが、がっつり映像作品でお芝居をするのは『ガヴ』が初めてでした。

――出演のきっかけは?

千歳 東映さんから直々にお話をいただいたんです。過去に別の特撮ドラマのオーディションを受けさせていただいたことがあったのですが、その際はご縁がなかったので、いきなりのご指名に驚きました。しかも、ちょうど「次は悪役を演じてみたい」と思っていた矢先のグロッタ役。背が高い女性を探していたのかな? 決め手は分かりませんが、ありがたすぎるお話だったので、お受けする以外の選択肢がありませんでした。

――千歳さんが演じたグロッタ・ストマックは、闇菓子の製造・密売を行なうストマック社を家族経営するストマック家の長女です。強く睨(にら)みつけるような目線、威圧的な言動は、テレビ越しに見てもおっかなさを感じましたよ。

千歳 ありがとうございます。「悪役を演じてみたい」と意気込んではいたものの、悪役っぽさを意識すると途端にウソくさくなってしまうので、塩梅は気をつけました。グロッタが生まれ育ったグラニュート界は弱肉強食の世界。人間の世界では非道とされることも平然とやってのけるくらいでないと生きていけない。と考えると、部下や敵対する相手を容赦なく追い詰めるのも、彼女にとっては"普通の行ない"になります。今までミステリアスな役を演じることはあっても、グロッタのように強気なお姉さんを演じたことは一度もなかったので、演じていて新鮮でしたし、楽しかったです。


――ストマック社は、闇菓子の材料であるヒトプレスを収穫するため、その元となる人間を襲うアルバイトを雇っていますが、社内で生産管理を担当するグロッタは、ノルマを達成しないバイトを容赦なく粛清します。本当に怖かったです!

千歳 あはは。そうして怖がっていただけるのは、悪役冥利に尽きますね。グロッタは衣装で16cmのヒールを履くので、役に入る際は身長が190cm近くになります。自分で言うのも何ですが、実物はさらに迫力が増すと思います(笑)。実際、第7話で弟(妹)である双子のシータ&ジープ(演:川﨑帆々花・古賀瑠)を問い詰めるシーンがあるのですが、流れで机をバーンっと叩いてしまったんです。そもそもト書きにない動きでしたし、普段より16cmも身長が高いせいで自分が思っている以上に勢いが付いてしまい、本気で二人を怖がらせてしまったことがありましたね。ビクっとする二人の姿はかわいかったですけど。

――想像しただけで鳥肌が立っちゃいます......。それに16cmのヒールを履いてお芝居されていたんですね。すごいです。

千歳 衣装合わせの際、パイロット監督の杉原(輝昭)さんから「グロッタは"暴力担当"だから」と言われ、そのキーワードをもとに衣装を決めたんですよ。当初はロングスカートも候補にあったのですが、「暴力がしやすいように」と、ミニスカートになったり。中でも16cmのヒールは、グロッタの役作りに欠かせないアイテムだったと思います。というのも、足を閉じて立つとバランスを崩すので、仁王立ちするしかないんですよ。移動するときも、ゆっくり歩かないと重心がブレてしまう。当初はグロッタがどんなキャラクターか、演じている私も分からない部分があったので、そうして動きが制限されることで、自然と迫力を出せたのは良かったです。

――190cmもあると、ほとんどの共演者を見下ろすことになりますよね。

千歳 そうですね。目線が同じだったのは、ラキア・アマルガ役の庄司(浩平)くんくらい。シータとジープなんて、かわいくて仕方がなかったですよ(笑)。いつもと見える世界が違うのも、何だか楽しかったですね。

――"暴力担当のグロッタ姐さん"はアクションシーンも迫力がありました。経験は?

千歳 ほとんどなかったです。怪人態を演じてくださったスーツアクターの宇佐見(紗風)さんや、アクション監督の藤田(慧)さんに現場で教わりながら、都度、形にしていく感じでした。アクションでいうと、第8話での仮面ライダーヴァレンと対決はすごく印象に残っています。

――グロッタの本格的な戦闘姿が初めて描かれたシーンですね。大きな鎌を振り回し、「歯食いしばれ!」と強烈なアッパーをかます。ヴァレンを圧倒する姿が「強すぎる」と視聴者の間で大きな話題になりました。

千歳 "暴力担当"と言われてはいたものの、暴力にも色々あるじゃないですか(笑)。当初は、そのキーワードだけでグロッタを演じていたわけですが、ヴァレンとの対決で「戦闘になると、ここまで派手に暴れるんだ」というのが分かったことから、"戦闘狂"や"すぐに手が出る"といった新たなキーワードが自分の中で生まれて、一気にグロッタのキャラクターを理解できた感覚がありました。ストマック家の会議室でみんなと話しているシーンでも「グロッタなら、こう思うだろうな」という想像がしやすくなったというか。一気に演じやすくなりましたね。


――アクションの経験がほとんどないとは思えないほど、身のこなしも素晴らしかったです。

千歳 ヴァレンのスーツアクターである鍜治(洸太朗)さんの受け身に助けられました。撮影中、鍜治さんが「スーツは意外と柔らかいから思い切り拳を当てて大丈夫だよ」と言ってくださったんです。舞台のアクションで本当に当てることは基本的にないですし、人に向かって思い切り拳をぶつけるのには抵抗がありましたが、私が遠慮することで何回も撮り直しになり、他の演者さんやスタッフさんのスケジュールが押しては迷惑がかかると思い、プロの言葉を信じて、結構本気でいかせていただいたんですね。そしたら、衣装で指輪をはめていたこともあり、相手の心配をする余裕がないくらい自分の拳が痛くなっちゃって。これは早く終わらせないと身が持たないぞと、いつも以上に集中して撮影を終えた記憶がありますね。

――アクションの流れでいうと、劇場版『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』でストマック家の5人が並んで登場した際に、グロッタが大きな丸太を抱えていた姿も話題になりました。

千歳 台本に書いてあったのかどうか忘れましたが、現場に行くと、予備も込みで2本の丸太が用意されていたのを覚えています。思えば『ガヴ』の撮影を通して、いちばんNGを出したのは、あの丸太のシーンだったと思います。まず、しっかり持たないと、隣を歩くランゴ兄さん(演:塚本高史)とニエルブ(演:滝澤諒)の顔に丸太をぶつけてしまうんですよ。それに、確か雨が上がったあとの撮影で、土がぬかるんでいて。16cmのピンヒールで歩くと、どんどん沈んでいってしまうんです。普通にコケたりもしました。ヒールの裏に500円玉を貼り重さを分散させることで、何とか乗り越えましたが、本当に大変だった記憶しかないです(笑)。

――そんな裏側があったとは! 『仮面ライダージオウ』(2018~2019)で釈由美子さんがマンホールの蓋を持ち上げたアクションを披露し"マンホール女優"と呼ばれるようになったことにちなんで、千歳さんにも"丸太女優"という称号が与えられましたよね。

千歳 事務所から丸太のぬいぐるみが送られてきたときは笑いましたよ。完全にネタにされています(笑)。

――回を重ねるごとにおっかなさが強調される一方で、グロッタがメインで動く第38話、第39話では突如、家族思いな一面が描かれました。

千歳 グロッタを演じる中で「実は家族が好きなのかも?」という想像はしていたので、台本をいただいたときも違和感はなかったですね。作中でグロッタがそれを認めることはありませんが、ストマック家がバラバラになる中、大叔父のデンテに「本当は寂しいんじゃろ」と宥(なだ)められるシーンは、涙を流す場面ではないのに自然と目が潤んでしまっていたと思います。(岡元)次郎さん(デンテのスーツアクター)のお芝居が、また優しくて......。

――演じながらグロッタに共感する部分があった。

千歳 そうですね。それこそ私は『ガヴ』で初めて本格的に映像作品の現場に参加させていただくことになったわけですが、会場のお客さんにお芝居を届ける舞台と違い、映像の世界では、表情の細やかな変化や息遣いで繊細な感情表現ができるという発見がありました。その分、お芝居に自分自身の感情が乗っかりやすかったというか。実際、ストマック家として1年近くみなさんとお芝居をご一緒したわけなので、みんなが集まる会議室のシーンで徐々に人が減っていくのは、素直に寂しい気持ちがありましたね。

――千歳さん自身もストマック家が大好きだったんですね。

千歳 そりゃあ、もちろん大好きです! また舞台と映像の違いの話になってしまうのですが、上演中常に緊張感がある舞台に対して、映像は直前まで談笑していたりと基本的に和やかで、カメラが回ると途端に空気が変わるメリハリが大事という印象があって。そのあたりは、最年長であり大先輩であるランゴ役の塚本(高史)さんに引っ張っていただくことが多かったように思います。ちょっとした談笑がチーム感......家族感を作ってくれたのかなって。リアルな私はひとりっ子なので、きょうだいの多いストマック家で、もう少し長く、幸せな時間を過ごしてみたかった気持ちがありましたね。

●千歳まち(ちとせ・まち)  
11月11日生まれ 東京都出身
◯2017年から舞台を中心に俳優業をスタート。『仮面ライダーガヴ』でテレビドラマ初出演を果たす。 脚本家、コスプレイヤーとしても活動している
公式X【@chitose11machi】 
公式Instagram【@chitose11machi】

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