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7月3日にコラボミステリ第3弾『キン肉マン 禁断の超人タッグ殺人事件』を上梓したおぎぬまX氏。JC『キン肉マン』第93巻も同時発売です!
漫画家兼小説家という異色のクリエイター・おぎぬまX。『週プレNEWS』でも濃厚な『キン肉マン』レビューでおなじみの氏が、『キン肉マン』の超人たちを登場させたコラボミステリ第3弾『キン肉マン 禁断の超人タッグ殺人事件』を7月3日に上梓(JC『キン肉マン』第93巻も同時発売)。
コラボミステリ3巻目の発売にあたり、新作に込めた想いやこだわり、次回作への展望などを熱く語っていただいた!
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――コラボミステリ3巻目の刊行、おめでとうございます! まずは率直なご感想をお願いできますか。
おぎぬまX(以下、おぎ) ありがとうございます。これまでの3巻で一番苦労した巻だったのは間違いないですが、やはり実際に刊行された本を手にすると感無量ですね。作家冥利に尽きます!
それと実は...第1巻から奔走していただいた担当編集者さんが大病を患ってしまいまして、校了直前で入院してしまったんですよ。それでも倒れる直前まで校正に付き合ってくださり、本当にプロの編集者魂を見せていただきました。なので療養中の担当編集者さんに、この小説を捧げることができて嬉しいです。
立ち上げから3冊目の今まで、おぎぬまX氏を担当したそう
――今回、「タッグ殺人事件」に初挑戦された理由をお聞かせください。
おぎ 1巻目(2023年3月17日発売『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』)は初めての超人ミステリということで、「初級編」としてわかりやすくストレートなトリックを心がけました。2巻目(2024年7月4日発売『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』)は「中級編」というコンセプトで、図解や挑戦状を添えつつ、よりミステリ強度を上げた複雑なトリックを用意しました。
それで3作目となると、「もう読者のほうも犯人がひとりじゃ物足りないのでは?」と思い、こうなったらタッグしかないだろう...と。ピンとこないかもしれませんが、実はやっていることは原作の『キン肉マン』と同じなんです。
――『キン肉マン』と同じとは?
おぎ 『キン肉マン』では、人間をはるかにしのぐ身体能力を持った超人たちが、リングの上で超人レスリングを繰り広げます。で...何気ないことですが、そもそも超人レスリングって、ゆでたまご先生が生み出した架空の格闘技なんですよね。
最初は現実のプロレスにエッセンスとして取り入れられた超人要素が、ストーリーが進むにつれて大きくなり、超人強度といった独自用語が作られてルール化されていく。読者が超人レスリングという概念を理解した頃にはタッグマッチ、さらには団体戦へと発展していくんです。
僕も超人ミステリという概念を作り、ルール化(超人は死んでも蘇生できるので、被害者を蘇(よみがえ)らせて解決する事件は起きない、など)していき、3作目で特殊能力を持った超人同士による共犯(タッグマッチ)ものに挑戦したわけです。
――独特な能力を持つ超人も多いですし、タッグ殺人を扱うにあたって難しい部分も多かったと思います。
おぎ この巻のゆでたまご先生の著者コメントでも「タッグを描く労力は倍以上」とおっしゃっていますが、本当にその洗礼を味わいました。変な話、ひとりでなんでもできちゃうような、便利すぎる能力を持った超人もたくさんいるので、ふたりでなければできないトリックを考えるのに苦労しました。
今巻の表題作となる「禁断の超人タッグ殺人事件」の犯人たちと、すべての事件の黒幕である謎の二人組・レトログラードズには、思わず「ゲェェーーッ!!」と叫びたくなるようなタッグ・トリックを用意させていただきましたので、楽しみにしてください!
――今、挙げられた「レトログラードズ」という黒幕の二人組は独特のネーミングですが、何か由来があるのですか?
おぎ 今巻の黒幕は二人組なので、原作に登場しそうなタッグ名を名付けました(笑)。ゆでたまご先生はネーミングセンスがズバ抜けていて、タッグ名がどれもカッコいいんですよね。最近だと「エグゾセミサイルズ」(キン肉マン ゼブラ・マリキータマン組)とか「インダストリアルレボリューションズ」(エクサベーター/ザ・ガストマン組)とか。どれも聞き馴染みのない横文字なんだけど、無性に口ずさみたくなるリズムをしていてすごい!
――確かに原作にも出てきそうです! ネーミング同様、超人を使ったトリックを考えるのも苦労されたかと思います。
おぎ ええ、そりゃもう...! 人間では不可能な超人ならではのド迫力トリックを毎晩必死に考えました。もちろん「トンデモ」はあっても「なんでも」はないように気をつけています。真剣に謎解きをしてくれる読者のためにも、解決編では納得感と爽快感のある決着が待ってなくてはいけませんからね!
――普段はリングで試合している超人が、旅館や博物館など身近な場所に登場するのが新鮮でした。そういったシチュエーションはどのように決めていますか?
おぎ 超人たちがどこにいたら面白いか、どんなことをしてたら面白いか...という想像を常にしてます。たとえば、第1章「禁断の超人タッグ殺人事件」では、ロビンマスクが博物館のキュレーターとして登場しますが、初期案では「地獄の前方後円墳殺人事件」というまったく異なる話で、ロビンは遺跡探検ツアーのガイド役という立ち位置だったんです。でもそれよりは、もっとインテリジェンスな雰囲気が際立つ西洋美術館のような静かな場所にいてほしいなぁ...と思い直し、現在の形となりました。
同じような話だと、第3章「悪魔六騎士夜行列車殺人事件」では、悪魔六騎士のメンバーが豪華列車の中でくつろいでいるシーンがあります。前作「悪魔超人熱海旅行殺人事件」でも、7人の悪魔超人たちが温泉旅館でどんちゃん騒ぎをしているシーンがありましたが、六騎士たちは彼らと違ってクールなイメージなので、各々が静かに酒をたしなむようなシーンにしました。個人的な解釈ですが、7人の悪魔超人はヤクザで、悪魔六騎士はマフィアのようなイメージがありましたので。
――登場する超人のチョイスは、どのようにして決めましたか?
おぎ 僕は心の中で、小説に登場する超人ひとりひとりに出演交渉をしています。これは、ひと様の作品のキャラクターをお借りするための大切な儀式で、超人のいる楽屋に挨拶させてもらっているイメージです。
ファンの皆様は原作で大活躍している人気超人をどんどん登場させてほしいと思うのでしょうし、僕も作家である前に、『キン肉マン』のイチファンなので、主人公のキン肉マンやテリーマン、ロビンマスクといった大物超人たちにお声がけするのは、畏(おそ)れ多いんですよね...! ノベライズ作品のジレンマと言いますか、いや、僕の歪(ゆが)んだファン心理です。
なので前作までは、なるべく交渉しやすい超人に声をかけてたのですが、3作目となる今作では、勇気を出してこれまで声をかけれなかった超人たちに猛アタックをしていきました。
それこそ、テリーマンに交渉しようものなら「しかし、マネーのほうはもってきたんだろうね!」なんて言われるかもしれないとビクビクしてたのですが、3作目ということで信頼も得られたのか出演を快諾していただきました(笑)。
交渉の甲斐もあって、今作はシリーズでもっとも豪華なキャスティングになりました。表題作でもある、第1章「禁断の超人タッグ殺人事件」の登場人物紹介ページを見ただけで、「いきなりメンバー、ヤバくない!?」と興奮するはずです!
事件Ⅰから気合いの入ったキャスティングに作者の本気がうかがえる
――前巻同様、今回も図解部分にキンケシ風のイラストが使われています。
おぎ もともとは、第1巻のトリックを考えている時に、自分で見取り図を書いて、そこにキンケシを置いてアイデアを練っていたのがはじまりです。第2巻では、本編に図解を挟むことができたので、どうせだったらキンケシ風のイラストも添えたら面白いなと思いました。それが読者の皆様には好評のようだったので、第3巻では味をしめてキンケシ図解がたくさん出てきます(笑)。
シリーズ恒例となった、読者の想像力を駆り立てるキンケシによる図解
――複雑な事件状況もキンケシだとわかりやすいですね。それでいうと、解決編の直前に必ず挟まれる「今、解決編のゴングが鳴った!」というお決まりの文章もわかりやすいです。
おぎ 気づいてたら事件が解決してた、なんてことが起きないように、注意警報の役目として使っています。本の読み方は自由ですから、人によっては寝っ転がりながら読んだり、パラパラと流し読みしてしまう人もいると思うんです。ですが...「解決編ではきちんと姿勢を正して読んでいただくぞ!」、「この謎に挑むため、リングに上がるなら今だぞ!」という作者なりのメッセージです(笑)。
個人的には、僕の他のミステリ作品でも毎回使いたいくらいお気に入りの決まり文句です。『キン肉マン』を知らない読者からしたら、ワケが分からないかもしれませんが(笑)。
――次回作の展望などはありますか?
おぎ ゆでたまご先生と、ファンの皆様がお許しいただけるなら、今後も「超人ミステリ」を書き続けていきたいです。次回があれば第4作目となるので、複数の事件を収録したオムニバス形式ではなく、一冊丸ごと使った長編ミステリに挑戦するかもしれません。
あとこれは、展望というより願望なのですが...いつか『キン肉マン』好きの作家さんたちとミステリーアンソロジーが企画できたら最高だな、と夢想してしまいます。
『キン肉マン ミステリー・オブ・マッスル』みたいなタイトルで、団体戦っぽく5人の作家さんで超人ミステリを持ち寄ったら最高じゃないですか? もし実現したら、僕は喜んで先鋒で出陣しますので! 今は自身の腕を磨きながら、同士が現れるのを待ち続けます。
――それはぜひ読んでみたいですね! それでは最後に、読者にメッセージをお願いできますでしょうか。
おぎ 読者の皆様のおかげで、『キン肉マン』ミステリも3巻まで刊行することができました。あらためまして、ありがとうございます! ミステリとは、作家と読者の真剣勝負だと思っております。今回も歯応えのある超人殺人を4つご用意致しましたので、ぜひ解決編の前に一度立ち止まって、推理にふけっていただけたら幸いです! 貴方がリングに上がってくださることを心待ちにしております!
最後に...今回も当然ですが、小説内で犠牲となった超人は事件後に全員生き返っていますので安心してください! 他作品では絶対にできない企画をお許しいただき、ご多忙の中監修していただいたゆでたまご先生に心から感謝致します! それでは、次回作でお会いしましょう〜!
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●おぎぬまX(OGINUMA X)
1988年生まれ、東京都町田市出身。漫画家、小説家。2019年第91回赤塚賞にて同賞29年ぶりとなる最高賞「入選」を獲得。21年『ジャンプSQ.』2月号より『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載。小説家としての顔も持ち、『地下芸人』(集英社)が好評発売中。『キン肉マン』に関しては超人募集への応募超人が採用(JC67巻収録第263話)された経験も持つ筋金入りのファン。『笑うネメシス―貴方だけの復讐―』(原作担当)全4巻が発売中。そして、ミステリ小説シリーズ『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』、『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』続く、第3弾『キン肉マン 禁断の超人タッグ殺人事件』が好評発売中
