盲目の芸人・濱田祐太郎がドラマ『銀河の一票』に出演!「真冬の夜の撮影で体が......」

撮影/梅田幸太

盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん

R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」

第25回は、ドラマに出演した話。

* * *

「大阪から東京まで、つえでスーツケースをつつきに行く」

目の見えない僕がこれまでやった仕事の中で、一番変わった内容の仕事がこれです。

420日から始まったドラマ『銀河の一票』(フジテレビ系)の第1話に出演したときのことです。

主役の黒木華さんが道でぼんやりしていて、持っていたスーツケースを点字ブロックの上に置いてしまう。そこへ仕事帰りの僕が通りかかり、白杖がスーツケースに当たる。

黒木さんが「すみません」と言いながらスーツケースをどかし、僕が「いえいえ、こちらこそ」と言って通り過ぎていく。

僕の出演は、この数秒のシーン。まさに「大阪から東京まで、つえでスーツケースをつつきに行く」仕事でした。

撮影はめっちゃ楽しかったんですけど、その日はまだ冬ど真ん中でものすごく寒かったんですよ。

よかったです、「つえの代わりに、つららでスーツケースをつついてもらえますか?」と言われなくて。

僕が修行僧だった頃は、山ごもりで長い木の枝をつえの代わりに使っていたけど、つららは使ったことなかったので、うまく歩けるか心配ですもん。

ちなみにその修行時代、僕は仙人の婆に「おめえは欲望という名の体毛が、全身からボーボーに生えたような人間じゃ。とっとと山を下りてハニートラップにでも引っかかれい」と言われて、修行を諦めました。

もしかしたら僕が修行に耐えられないことを見抜いていて、未練なく諦められるように厳しい言葉をかけてくれたのかもしれませんね。僕は山を下りたその足でガールズバーに行きましたけどね。確かに欲望の塊でした。

話を戻すと、撮影は夜、駅前の道で行なわれました。スタッフさんがトレンチコートを用意してくれていて、機材のセッティングなどで待ち時間があるときは、それを着て暖かくしていられました。

ただ、セッティングが終わって「あそこのタクシーが移動したら撮影を始めます」となると、僕たち出演者はコートを脱いで、いつでも撮影が始められるように準備します。

街中の駅前なので、カメラに映り込む場所に客待ちのタクシーが止まっていることもあるんです。

しかし、そんなときに限ってタクシーが動かない。コートを脱いだ状態で数分待機。体はブルブル。僕がマッサージチェアだったら大活躍できるくらい振動してました。

スタッフさんがカイロなどを持ってきてくれたのが本当にありがたかったです。おかげで無事に撮影も終わり、ドラマも放送されました。

ただ、それを見た知人の女性から「棒読みで笑っちゃった」とめっちゃいじられましたね。僕も恥ずかしかったので「あのときは右手に持ってた棒に体を乗っ取られてたから、それで棒読みになってただけやねん」と訳のわからない言い訳をしてました。

でも、目の見えない人の役でわざわざ僕をキャスティングしてくれたのはうれしかったですね。せっかくだったら本当に目の見えない人にやってもらおうって感じだったんでしょうか。

それなら、ドラマの仕事も依頼があればどんどんやりたいですね。実写版『ONE PIECE』の藤虎とか、『るろうに剣心』の魚沼宇水とか。あ、もし庵野(秀明)監督が『シン・座頭市』を撮るってなったときは座頭市役をやりたいですね。

そうそう、今年の8月に公開される映画『見えない娘』にも少し出演しているので、よかったらそちらもチェックしてみてくださいね。

 ●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう) 
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5

★盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の「死角からの一撃」は毎週水曜日更新

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