免許センターの片隅で3時間かけて行なわれる「自転車運転者講習」の内容とは?【チャリンコ爆走配達日誌】

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

私が実際に受けた自転車運転者講習の内容を紹介します私が実際に受けた自転車運転者講習の内容を紹介します

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第167回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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今年4月から自転車の交通違反に対する青切符制度が導入されました。違反の内容については以前、「ウーバーイーツ自転車配達員じゃなくても知っておきたい『自転車青切符』の新ルール」で書きましたが、このルールが導入される前の2015年6月からあるのが「自転車運転者講習制度」です。

警視庁のホームページによると「自転車を運転して信号無視等の危険行為(16種別)を行い、交通違反として取締りを受けた、または、交通事故を起こして送致された者。ただし、3年以内に違反・事故を合わせて2回以上反復して行った場合」に課せられる講習で、受講時間は3時間、手数料は6150円、受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金が課されます。

青切符制度が導入される前の23年5月18日、都内を自転車で走行中に一時停止違反で白バイの方に止められ、赤切符を切られました。当時は赤切符を渡されるものの罰則や罰金といったものはなく、その場で注意を受けて終わりました。

そして先日、「ウーバーイーツ配達中に起きた自転車同士の事故のリアル」で書いたように、ウーバーイーツの配達中に自転車同士の事故を起こしました。事故が起きたのは今年5月5日。以前、赤切符を切られてから2年11ヵ月18日というタイミングでした。

そんなわけで「3年以内に違反・事故を合わせて2回以上反復して行った」ため、先月、東京都公安委員会から内容証明郵便が届き、自転車違反者講習を受けることになりました。

東京都内の道路は複雑で、自転車を利用している人は注意をしていてもうっかり違反する可能性があります。自転車を漕ぎまくって働く私のようなウーバーイーツ配達員であれば、いつかは受講する可能性があります。また、配達員でなくても「自転車の安全講習で3時間って、どんなことをやるんだ? 自転車専用のシミュレーターでも使うのか?」と気になることが多いはず。

そこで今回は、私が実際に受けた「自転車運転者講習」とはどのようなものなのかを紹介します。

公安委員会から届いた内容証明郵便の中にあったQRコードを読み取り、講習の予約を入れて、東京都品川区にある警視庁の鮫洲運転試験場に行ったのは8月21日の12時30分。自動車運転免許証の学科試験を受ける人や免許の更新をする人で賑わうフロアよりも上、4階の行政処分フロアに自転車運転者講習の会場がありました。

13時に講習が行なわれる教室へ移動し、受付をします。予約後に届いたメールには「身分証(免許証・マイナンバーカード・在留カード・パスポート等)、現金6150円(お釣りのないようにお願いいたします)、ボールペン1本」を持参するように書かれており、まず教室の入口でマイナンバーカードを提示。「自転車運転者講習受講命令書」という書面を受け取ります。

自転車運転者講習受講命令書自転車運転者講習受講命令書

教室の奥で受講料6150円を支払うと、係の人にこう尋ねられました。

「ボールペンは持ってきていますか?」

「持っています」と答え、指示された机に着席。「免許証の更新時に入る部屋と変わらないな」なんて思いながら用意されていた書類に住所や名前を書き込んでいると、他の受講者たちも次々と教室へやってきました。この日は12人が受講しましたが4人がお釣りとボールペンを要求。さらに1人は「お金を持ってきていないのでATMでおろしてくる」と言い、一旦教室を離れました。

その人も教室に戻り、13時35分に講習がスタート。まずは講師(指定自動車教習所の方)の自己紹介、そして3時間の内容が紹介されます。その内容は......。

《前半 90分》 
3択式の小テスト10問 
テキストを見ながら小テスト各問題の解説 

《休憩 10分》 

《後半 90分》 
テキストの自転車事故当事者の体験談のページの朗読 
朗読した事故についての解説 
ヘルメットの有効性を知る映像鑑賞 
講習の理解度を確認する小テスト 
受講した感想文の提出 

テキストは自転車講習用の冊子が配られました。

講習用のテキスト講習用のテキスト

この講習の特徴は、双方向式で行なわれるということ。講師の方が受講者を指名して「小テストの問題、何番を選びましたか?」「このような状況の場合、どのような注意をして走行しなければなりませんか?」など質問してきます。こういったスタイルは高校の授業以来でしたが、受講番号順に指名されるので心の準備は出来ますし、違反者の集まりですから間違えたところで「だからここにきている」と考えれば恥ずかしいことはありません。

前半は講師の方の解説や自分の選んだ番号を答えたり、スクリーンに投影された写真を見て、注意するべきところを話すうちに終了しました。

後半は事故当事者の体験談の朗読。こちらも学生時代の国語の授業のように順番に指名され、体験談の半分ほどを全員で手分けして朗読。後半は講師の方が読み上げます。朗読後は事故現場を再現したイラストをスクリーンで見つつ、受講者に「この状況、どこを注意したら事故は起きなかったと思うか?」といった質問をしつつ進行しました。

そして免許の更新などでもおなじみの映像鑑賞。自転車の違反者講習ということで、内容は自転車用ヘルメットの重要性や正しい装着法を解説するものでした。

続いて今回の講習の内容を確認する小テストと解説。その後、今回講習を受ける要因となった違反はどのようなことから起こったのか、どう心がけたら同じことを起こさずに済むのかといった自己分析のシートへの記入。最後に講習を受けた感想文(感想を求める4つの質問に対する回答を行なうもの。各質問とも1、2行の簡単な回答でOK)を書き講習終了。講習の修了証書をもらい、教室を出ました。

自転車運転者講習修了証書自転車運転者講習修了証書

私は埼玉県にある実家に住み、東京都に仕事場を置いて活動しているので、運転免許証の更新は埼玉県鴻巣市にある運転免許センターや地元の警察署で行なっているのですが、今回講習を受けたのは東京都の鮫洲運転試験場。受講命令も東京都公安委員会から出されていました。なぜ東京都で受講しなければならなかったのか。気になったので試験場の警察の方に聞いてみました。

「3年以内に交通事故、交通違反を累計2回行なうと自転車違反者講習を受けるよう命令が出されます。この命令は2回目の違反を行なった場所の公安委員会が出すという決まりとなっています」

つまり、東京に住んでいる人が1回目は東京で、2回目を沖縄で違反してしまった場合、沖縄県公安委員会から命令が出て、沖縄県の免許センターで受講するよう命令が出るとのこと。ただし、命令が出た後に申請すれば、住んでいる都道府県の免許センターでの受講が可能だそうです。

全体の感想としては、自転車に特化した交通ルールの講習で、道路で自転車が通るべき通行帯の解説など、自動車の運転免許を取得している自分も初めて知るようなルールが多く、ためになる講習でした。自転車は小学生なども利用する乗り物なので、このような講習は自転車に乗る前に受けておくといいなと感じました。

また、自転車は車道の左端を走らなければならないので、車道の左側が左折専用レーンでも直進する場合はそのレーンを走って直進する、自転車は逆走が許される一方通行の道が多いといったことを自動車を運転する方が知っておくと避けられる事故もあると思うので、運転免許証取得の試験や更新の際の講習で、自転車のルールを入れるのもいいのではと思いました。

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  • 渡辺雅史

    渡辺雅史

    わたなべ・まさし

    フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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