日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『URCHIN/アーチン』をレビュー!

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。英国の社会制度の網からこぼれ落ちた若者の孤独と更生!
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『URCHIN/アーチン』

評点:★3.5点(5点満点)© Dream Space Films Ltd/British Broadcasting Corporation/The British Film Institute 2025© Dream Space Films Ltd/British Broadcasting Corporation/The British Film Institute 2025

「真っ当にやっていく」ことの難しさ

「真っ当な人間として暮らす」ということは、一般に思われているより難しい。社会のレールから外れてしまった人間にとってはなおさらのことだ。

主人公マイクは路上生活の果てに、親切な人を暴行して金品を奪い刑務所に送られる。

出所したのち、仮の宿を手に入れ、ホテルの厨房での仕事を得るなど、いわゆる「更生」への道を歩み始めたかに思えるマイクだったが、まるで風邪がぶり返すかのように、どこへ行っても「だらしなさ」が露呈してしまい、生活を立て直すことができない。

何をやっても「その日暮らし」に逆戻りしてしまうことが繰り返される中でマイクは酒に溺れ、ドラッグに手を出し、たまに寄り添ってくれた人々を傷つけ、そのことでより精神状態が悪化し......そこでぐるぐる回り続けるのみだ。

そんなマイクを「クズ」呼ばわりし、その弱さを断罪することは容易いが、下降するばかりのスパイラルにがんじがらめになった経験が少しでもあれば、彼のもどかしさが理解できることと思う。

「真っ当になる」ためには、身の回りのことをひとつひとつこなしていく必要があるが、マイクのような人間にとって、そういうサイクルを再び取り戻すのはきわめて難しいからだ。

STORY:ロンドンの路上で暮らすマイクは、通行人に小銭をせびり、炊き出しに並ぶ日々を送る。ある日、親切にしてくれた男性から金品を奪い、逮捕される。出所後は更生を誓うも、順調な生活はふとした拍子にもろく崩れる......

監督・脚本:ハリス・ディキンソン
出演:フランク・ディレインほか
上映時間:99分

全国公開中

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