
ひろゆき (西村博之)
にしむら・ひろゆき
ひろゆき (西村博之)の記事一覧
元『2ちゃんねる』管理人。著書に『脳科学が教える日本社会で賢く生き残る方法』(中野信子氏との共著、集英社)など
「それは『バランスの取れた食事と規則正しい生活』。どんな老化研究者に聞いても同じ」と語る小林武彦氏
ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。生物学者の小林武彦先生との対談の11回目です。老化を防ぐ薬の開発を待たなくても、誰もが簡単にできる老化対策があるそうです。それは「バランスの取れた食事と規則正しい生活」。でも、それにもいろいろな条件があるようです。
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ひろゆき(以下、ひろ) 老化を防ぐ薬が開発されるのを待たなくても、老化対策はあるということですが、具体的にはなんですか?
小林武彦(以下、小林) それは「バランスの取れた食事と規則正しい生活」です。どんな老化研究者に聞いても、結論はだいたい同じだと思いますよ。
ひろ それ30年以上前から言われてきたことじゃないですか(笑)。科学は進歩してるんですか?
小林 そう思われるかもしれませんが、昔は「なんとなく体にいい」とされていたものが、今はなぜそれがいいのかを分子レベルで説明できるようになりました。
ひろ 最新の研究を突き詰めた結果、「ちゃんと食え、ちゃんと寝ろ」になったと?
小林 そうです。ただ、それだと満足しない人がいる。不摂生しても科学の力で老化せずに長生きしたいと考える人たちがいるんです。
ひろ 生活を変えずに、薬だけで長生きしたいみたいな?
小林 はい。だから私たちも、健康な状態のときに体内で何が起きているかを調べて、それを薬などで再現できないか考えるわけです。
ひろ 例えば、日常的にできる具体的な老化対策に、日焼け止めとかありますよね。
小林 ええ。紫外線は皮膚のDNAを傷つけますからね。顔や手はずっと日に当たっているから老化が早い。一方、背中やお尻は年を取っても比較的きれいです。
ひろ だったら、まったく日に当たらないひきこもりの人が一番いいということになりませんか?
小林 それも極端すぎてダメなんです。紫外線は肌にダメージを与えますが、朝に太陽の光を浴びることは体内時計を整える上で大切です。朝、光が入ると体のリズムがリセットされ、夜の良好な睡眠にもつながる。また、日光は免疫機能を高めるビタミンDの生成にも関係します。
ひろ 肌のためには避けたいけど、体全体では日光が必要だと。
小林 そうです。ここでも必要なのがバランスです。
ひろ 日照時間が短い地域だと、メンタルに影響が出やすいという話もありますよね。
小林 はい。日光は脳や体のリズムにも関係しています。ですから「紫外線=悪い」と単純に考えないほうがいいと思います。
ひろ 皮膚が紫外線で老化するのはわかりますけど、日の当たらない内臓は何が原因で老化するんですか?
小林 その原因として大きいのがストレスと食事です。体の中に何を入れるかは、代謝や炎症にも関わってきます。
ひろ ここでも「バランスのいい」食事ですか。
小林 はい。しかし「すべての人に同じ食事を取ってもらう」のが正解ではありません。人によって老化する場所も速度も違います。筋肉が落ちてきた人ならタンパク質が必要ですし、体重が増えすぎている人ならカロリーの量を調整する必要がある。
ひろ 高齢者の食事っていうと、お茶漬けと漬物みたいなイメージがありますけど、それはどうなんですか?
小林 年を取ったからといって、みんなが消化のいいカロリーの低いものを食べていればいいとは限りません。筋肉が落ちている人は、エネルギーを取らないと、むしろ弱ってしまう。大事なのは「何歳だからこれ」ではなく、今の自分の体を見ることです。
ひろ 「これを食べれば全員長生きする」みたいな万能食材はないということですね。
小林 ないです。以前、元プロテニスプレーヤーの伊達公子さんと対談したときに、「自分の体に聞けば、食べるべきものがわかる」と話していました。
ひろ でも「体に聞く」って、かなり感覚的じゃないですか。
小林 トップアスリートは食べたものとパフォーマンスの関係をずっと考えていますから、「これを食べると体が軽い」「これは翌日に残る」など、自分の体の反応を細かく把握していると思います。普通の人でも、年を取ると「昔は平気だったけど、今はこれを食べると胃が重い」とかありますよね。
ひろ でも「俺の体はラーメンを欲しがってる」と言う人もいそうですけど(笑)。
小林 それは単に食べたいだけじゃないですか?(笑)。「体に聞く」は欲望に従うという意味ではなく、何をどのくらい食べたときに体調がどう変わるかを観察するという意味です。
ひろ でも、お酒を飲んだ後の「シメにラーメンを食べたい」は体の声のような気がしますけど(笑)。
小林 それはとても怪しいです(笑)。そもそも飲酒をしている状態で、体の声を正常に聞けているとは思えません。
ひろ ここまで聞くと、老化対策って、めちゃくちゃ地味ですね。
小林 地味なんですよ。それに、今のところ「これさえやれば、みんな確実に若返る」というものはありません。
ひろ じゃあ、年を取って減ってきたものを外から補うのはどうなんですか? ビタミンだけでなく、今はホルモンとかのサプリもありますよね。
小林 「減ってきたら足せばいい」という発想は昔からあります。ただ、年齢とともに減っていくのには意味がある場合もある。だから、ホルモン補充療法も症状の改善に役立つ一方で、その人の状態によってはリスクもあります。
ひろ 「減ったものを入れれば若返る」というほど簡単じゃないと。
小林 そうです。
ひろ だったら、血液などを調べて、「この人はこれが足りない」と全部わかった上で、必要なものだけ補えばいいんですか?
小林 そこまで個別にわかれば理想的です。
ひろ でも今は、そこまで正確にはわからないってことですよね。
小林 そうです。だから、今の段階では、「これを足せば老化が止まる」とまでは言えません。今言えるのは「規則正しい生活をして、自分の体に合った食事をする」。ものすごく当たり前のところに戻ってきてしまうんです。
ひろ でも、いくらそう言われても、効果がわかりやすく見えないと続かないんですよね。禁煙しても、ちゃんと寝ても、自分がどれくらい健康になったのかわからないじゃないですか。体重なら体重計に乗れば太ったか痩せたかがわかるけど、老化って、頑張ったぶんだけ本当に遅くなっているのかは見えないですから。
小林 今までは、そこが大きな問題でした。健康のために努力しても本当に効いたのかわからない。でも、最近は自分がどれくらい老化しているかを測れる時代になってきたんです。
ひろ 老化そのものを?
小林 はい。戸籍上の年齢とは別に、「あなたの体は今何歳なのか」が見えるようになってきました。
ひろ 実年齢は50歳だけど、体は40歳とか。逆に60歳とか、そういうことですか?
小林 そういうことです。そして、それが数値で見えるようになると、生活を変えた効果も確認できるようになります。
ひろ それは知りたい人が多そうな話ですね。ぜひ次回、教えてください。
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■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA)
元『2ちゃんねる』管理人。著書に『脳科学が教える日本社会で賢く生き残る方法』(中野信子氏との共著、集英社)など
■小林武彦(Takehiko KOBAYASHI)
東京大学定量生命科学研究所教授。生物科学学会連合前代表。著書に『生物はなぜ死ぬのか』『なぜヒトだけが老いるのか』『なぜヒトだけが幸せになれないのか』(すべて講談社現代新書)などがある





