高橋ヨシキ
たかはし・よしき
高橋ヨシキの記事一覧
デザイナー、映画ライター、サタニスト。長編初監督作品『激怒 RAGEAHOLIC』のBlu-ray&DVDが発売中。
YouTubeチャンネル『BLACKHOLE』『高橋ヨシキのクレイジー・カルチャーTV』 Twitter【@InfoYoshiki】 メルマガ『高橋ヨシキのクレイジー・カルチャー・ガイド』
© 2025Zentropa Entertainments4ApS & Zentropa Sweden AB.我々はしばしば忘れがちだが、世の中にはとてもとても繊細な人たちが、それなりの割合で存在する。
まったくもってやりきれないことだが、現代社会は彼らの感覚に対してあきれるほど無頓着だ。
なぜなら端的に言って繊細さはカネにならないし、繊細さは人間社会を前へ押し進めるための歯車たり得ないからだ。
だが「前」とは何だろう?
本作でマッツ・ミケルセン演じる人物は、その繊細さゆえに社会との接点をうまく保つことができない。
一方、彼の弟は暴力的で犯罪をも厭わないタイプで、それゆえ兄とは対照的に見える。
しかしながら「困った兄貴」に手を焼き、「芝居はよせ、本当はすべて分かっているんだろう」と詰め寄る弟もまた、自分の不安を兄に投影しているだけだ。
社会的に「不適合」で「不適格」であることへの不安が、人を実際に「不適合」で「不適格」にしてしまうのだとしたら、一体我々はどうしたらいいのだろうか?
映画の冒頭で語られるヴァイキングの逸話では、片腕をなくした息子のために、首長が部族全員の腕を切り落とすことを決意する。
目に見える形で社会の成員すべての「不適合さ」を揃えることでしか、皆が生きやすい社会は実現できないのだろうか?
STORY:強盗事件の服役を終えたアンカーは、出所後15年ぶりに兄と再会。しかし、大金を預けたはずの兄は隠し場所を忘れた上、自身をジョン・レノンだと思い込んでいた。金を掘り起こそうとするふたりの前に珍客が現れ、事態は混乱していく
監督・脚本:アナス・トマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセンほか
上映時間:116分
全国公開中