【鶏白湯ラーメン】焼鳥屋の鶏白湯ラーメンにはずれなし! の説をまた強く確信した、東林間の酒場で出会った極上の一杯:パリッコ『今週のハマりめし』第257回

取材・文・撮影/パリッコ

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

昼食を食べそびれてしまった午後3時、祝日。まったく土地勘のない、神奈川県は小田急電鉄江ノ島線の、東林間という駅前を、事情によりひとりさまよっていた。9月末だが、台風一過、真夏の暑さが戻ったような日だ。腹が減ったし、喉も乾いた。

東林間駅前東林間駅前
どこかにあるだろうか? この渇望を満たしてくれる、うまいメシと酒(ホッピーがあれば最高)にありつける店は。

「ダメ元」という言葉が脳裏によぎりつつ、しかしこれまでの人生で何度も、こういう場面において良い酒場との出会いをしてきた。希望を捨てることなく一帯を歩いていると......。

「串酒場いっぽ」「串酒場いっぽ」
なんと! チェーンの飲食店があるだけでもありがたいと思っていたのに、そうではない酒場が営業中。信じがたいことに、定休日の木曜以外、毎日昼から夜まで通し営業をしているらしい「串酒場いっぽ」という店。焼鳥、焼きとん、海鮮、野菜などの串焼きの他、各種の天ぷら串なども扱っている店のようだ。

さらに嬉しいのは、ランチメニューの充実ぶり。鶏、豚、海鮮を使った各種丼ものに、定食に、なんとうな重まである。なかでも僕の心を一瞬でつかみ、もはやそれしか選べなくなってしまったのが「鶏白湯らーめん」メニューだ。

僕には酒飲み的持論があり、それは、焼鳥屋、もしくは焼鳥をメインに出している酒場が出している鶏白湯ラーメンにはずれなし、というもの。九分九厘、うまいことは間違いないだろう。

バリエーションは、基本の塩「鶏白湯らーめん」と、醤油、みそ。それから各種トッピング。

ラーメンメニューラーメンメニュー
初めてなので、塩だよな。また、ここは昼から飲める酒場であるゆえ、豊富なおつまみメニューもある。が、僕はラーメンとともに酒を飲む場合、ラーメンにトッピングを加え、その具をつまみに酒を飲むという行為が好きだ。税込1,050円の「鶏白湯らーめん」に200円をプラスした「チャーシュー鶏白湯らーめん」を選ぶことにしよう。もちろん「ホッピーセット」(480円)も合わせて。

「ホッピーセット」「ホッピーセット」
疲れはてた体、乾いたのどに、キンキンのホッピーが沁みすぎる。思わずつまみ(ラーメン)が届く前に1杯目を飲み干してしまい、「中」(230円)をおかわり。すると、来た来た! 待望のラーメン。かたわらには注文時、おろしにんにくとどちらが好みか聞かれてリクエストした、フライドガーリックが添えられている。

「チャーシュー鶏白湯らーめん」「チャーシュー鶏白湯らーめん」
「お待たせしました」と目の前に届いた瞬間からかぐわしい。白湯と言いつつ、濃厚過ぎてスープは黄色に近い。これは......絶対にうまいぞ。

間違いない間違いない
まずはスープをひと口飲む。瞬間、脳と全身にぐわんと衝撃が走る。極限まで濃厚な鶏スープに、ほのかなバターの香り。これは、罪すぎる美味だ。

特濃鶏スープ特濃鶏スープ
チャーシューメンを選んだのも大正解で、鶏と豚、2種の肉がこれでもかとのっている。どちらもほろりと柔らかく、それぞれに味わいが違って、ホッピーがぐいぐいすすむ。

鶏&豚チャーシュー鶏&豚チャーシュー
そして麺。これまた良い。博多とんこつラーメンに近いストレートな細麺で、ぷりぷりぱつぱつの食感。どろりとしたスープによく絡む。すするごとに小麦と濃厚な鶏の香り。黙々と仕事をする、黒Tシャツに黒タオルを頭に巻いたふたりの男性店員さんに、心のなかで人知れず「ありがとうございます」と感謝を伝えた......。

ありがとうございますありがとうございます

水菜、糸唐辛子、刻み玉ねぎという洗練された布陣の野菜類も良い。特にしゃきしゃきとして甘く、ほのかにピリ辛な玉ねぎがめちゃくちゃ合う。

後半はそこへ、思い切ってフライドガーリックを投入。そのさくさく感と香ばしさが、箸を口へ運ぶ手をさらに加速させる。

シンプルにうますぎるラーメンシンプルにうますぎるラーメン
焼鳥屋の鶏白湯ラーメンにはずれなし。その持論がさらに強まったどころではなく、これを食べにまた東林間にやって来たいとすら思わせてくれた、極上の一杯との出会いだった。

そういえば僕の食事中、食材の搬入業者さんがやってきた際、ふたりの店員さんは「ありがとうございます!」「お気をつけて!」と、明るく大きな声をかけられていた。なんていい店なんだ......。またじっくり飲みに来なければ。

【『パリッコ連載 今週のハマりメシ』は毎週金曜日更新!】

  • パリッコ

    パリッコ

    ぱりっこ

    1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家、イラストレーター。
    著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。2022年には、長崎県にある波佐見焼の窯元「中善」のブランド「zen to」から、オリジナルの磁器製酒器「#mixcup」も発売した。
    公式X【@paricco】

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