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元Jリーガーで、現在は秋元康プロデュースの昭和歌謡グループ・SHOW-WAのメンバーとして活躍する青山隼の連載「果てしない延長戦」。現役時代の先輩や戦友をはじめ、各界で活躍する方をゲストに招き、「人生の転機」や「次への挑戦」をテーマに熱く語り合う。
今回のゲストは、以前出演していた『ぽかぽか』(フジテレビ系)で共演し、SHOW-WAとMATSURIのアドバイザーを務めていた芸人・音楽プロデューサーの古坂大魔王さん。前編では、二人の出会いやグループ活動初期の話、悩み相談などを語ってもらった
――お二人の出会いはいつですか?
古坂大魔王(以下、古坂) 出会いは、陸上自衛隊だったかな?
青山 違いますよ(笑)。『ぽかぽか』さんでSHOW-WAのアドバイザーに就任していただいたときです。
古坂 正直ね、アドバイザーといってもなんの尽力もしてなくて、ただ応援をしていただけなんです。秋元康さんがプロジェクトを作って、番組スタッフが一生懸命企画を考えてくれたところにスッと入っただけの話。2年前だっけ?
青山 はい。SHOW-WAが2023年7月に結成して、翌年の1月8日から『ぽかぽか』に出させていただきました。

古坂 『ぽかぽか』出始めた頃の青山くん、ツーステップも踏めないくらいだったよね?
青山 はい、初めての放送で「キミ......、どうした!?」っていじっていただいて(笑)。以前、この連載でハライチの澤部さんと対談したときにおっしゃっていたんですけど、僕らは元Jリーガーや料理研究家など職を経験してきた大人なので「プライドを傷つけないように、まずはどういじるか困った」そうです。
古坂 俺も音楽をずっとやってきたからわかるけど、オーディションで選ばれてきた人が、まさかこんな潜った水面下にいるとは思わなかった(笑)。プロサッカー選手なんてトップアスリートじゃない。そんな運動神経抜群なのにダンスができないってギャップも面白くて、これはいじらざるを得ないですよ。
青山 一応オーディションにダンス審査もあったんですけど(笑)。
古坂 本当に!?(笑)。SHOW-WAだと、向山くんはSOLIDEMOのときから知っていたんですよ。彼以外で最初に名前を覚えたのは青山くん。つまり、"ダメ"だったから。これはディスりじゃなくて、今のAI時代には"ダメ"こそがアイデンティティだと思うんです。歌もダンスも完璧な人ばかり並んだら、武道館には立てなかったかもしれない。だから実は、貢献者だと僕は思っていて。
青山 ......ちょっと泣きそうです。
古坂 それって本人がどうこうできるものじゃなくて、運とタイミング、澤部くんを含め共演者との出会い。『ぽかぽか』のゆるい空気感じゃないと成り立たなかったと思う。不思議なもんですね。
青山 初めての生歌唱はお客さん17人。そこから44人に増えてまたガンッと減って、「現実は厳しいね」ってトークがあったと思います。古坂さんはいつも僕らに「今日来てくれたお客さんの人数、忘れんなよ。こうやって番組に出ていること自体がとてつもなくすごいことなんだから」と声をかけてくださって。
古坂 さっきは水面下なんて言ったけど、僕は"水底下"にいたからね。芸人として地上波の『ボキャブラ天国』とか『爆笑オンエアバトル』にバーッと出て、そこから「音楽8:お笑い2」にしたら一気に仕事がなくなった。芸人が音楽をやるのはダサいって時代もあって、10年くらいは"水底下"にいたんです。そこでお客さん10人集める大切さを身に染みて知った。だから、番組で「あー、今日は20人か」ってなることに違和感があったの。その人数集めるのがどれだけ大変だと思う? しかも顔が映る可能性もある20人って、100人くらいの価値なんですよ。「テレビじゃないとこんなことないんだよ、宝くじに当たったみたいなもんだよ」ってことは言わないといけないなと。それで調子に乗って潰れた人間をいっぱい見てきたから。
青山 古坂さんは、いつも僕らにそういう言葉をくださって。
古坂 青山くん、真面目だからね。言葉って喋った側より、受け取る人がどう捉えるかだと思うんです。例えば、尾崎豊さんの『I LOVE YOU』だって、言葉はシンプルだけどあの声とメロディで歌うから意味があるの。まあね、何が怖いかって、自分で喋ったことをほぼ覚えてないけどね(笑)。
青山 え、覚えてないんですか(笑)。
古坂 言葉なんてたいしたことないからね。うちの事務所の社長は幼稚園からの幼馴染で、小学生でコンビ組んでいた元相方なの。だからプロデュースしているピコ太郎がVIPな扱いを受けると、彼と「こんなことあり得ないよな。だって昔はさ~」って言葉に出して確認するんですよ。そうやって自分を戒(いまし)めることで謙虚でいられるし、謙虚って一番コスパがいいんですよね。
青山 最近「アイドルとは」「もっとアイドルっぽく」と周りから言われることが多くて、自分はアイドルっぽくないんじゃないかと悩んでいるというか......。
古坂 その質問が浮かぶ時点で、フェーズが上がって成功してるってことだよね。「アイドルとは何か」なんて正解は80億あるし、それはマーケティングの話であって深く悩まなくていいの。遂行するだけで勝手にみんながアイドルとして捉えてくれるから、目の前のファンやスタッフをどう喜ばせるかに邁進すればいいんです。
青山 でも、他のメンバーと比べて、僕って本当に人気がないんですよ!(笑)
古坂 こんなにイケメンなのにね。"わーきゃー"言われるだけが人気じゃないから。こうして個人で連載を持っているのも人気だし、知名度はグループでもトップクラスでしょ? 無理に人気を得ようとすると失敗する気がするなぁ。
自分のハッシュタグを考えてみてください。#SHOW-WA、#Jリーガー、#宮城出身......。あとは、きっと愚直さとか不器用さ。ここの部分を磨けばいいんじゃないって思う。
青山 「自分はこのスタイルなので!」みたいな人もいるじゃないですか。反発せずに受け入れられる柔軟性はどうやって身につくものですか?
古坂 敗北の数だよね。負けまくったらプライドなんかぶち折れるから。一旦お客さん0人を経験してカラカラに乾けば、吸収力もすごいでしょ。今いるお客さんってオアシスの源泉だから、本当に大事だよね。雨の中でも外で何時間も待ってくれる存在がどれだけありたいか。
青山 実は、この連載が始まって「古坂さんとお話したい」とお願いしていたのは、確かめたいことがあったんです。僕たちが『ぽかぽか』卒業の日、大雨だったじゃないですか。SHOW-WAとMATSURIがステージで入れ替わったとき、たまたま隣にいた古坂さんが「この景色、絶対忘れんな」と。その言葉がすごく心に残っていて。
古坂 そうなのか......。言ったことは覚えていないけど(笑)、その感情はちゃんとあるよ。ファンの数や世間の熱狂って、いずれは落ちていくもので。熱狂から歴史に質が変わっていけば大丈夫なので、ピークを覚えておいてねっていう。数が減っても恐れずに、新しいものを増やせばいい。落ちた人間の知恵として伝えたかったんだと思う。落ちるってキツイからね。スポーツ選手も解雇とか移籍とかあるでしょ。
青山 僕も移籍するごとにカテゴリーが落ちて、自分も落ちていくような感覚になったことがありました。当時は他責思考だったんですけど、いろいろな経験を経て「もっと自分ができることあったんじゃないか」と気づけて。だから今、SHOW-WAでやるべきことと向き合えているのかなと思います。

古坂 この世界、歌が上手いだけじゃ売れないじゃん。そうなると残るための保険は、人柄や礼儀、あとは可愛らしさ。昔、先輩の渡辺正行さんに「キュートな人間は負けない」と言われたことがあって。「売れてる芸人を見てみろよ。たけしさんもさんまさんも可愛いでしょ?」って。そういう意味では、青山くんの愚直さや礼儀正しさは、可愛げがあるよね。
青山 「礼儀正しい」とは言ってもらえます。幼少期から叔母(篠ひろ子)に面倒を見てもらっていたので、そこはよく教えられていて。「あなたの一番いいところは素直さだから、それだけは忘れずに一生懸命やりなさい」と言われて育ちました。
古坂 俺は素直じゃないから、素直な人が羨ましいのよ。何か言われても「待て、これはポジショントークだから......」とか「全員に同じこと言ってんな?」とか考えて、遠回りになっちゃうの。素直さは適応力だからね。
俺はお笑い目指して上京したのに、今はSDGsとか国連の活動をしたり小児がんの支援をしたり、「クラシック音楽アンバサダー」に選出されたかと思えば、プロデュースしているピコ太郎がシンガポールの国交60周年の祭典に行くし。今日は午前中から子供の未来と冒険のためにと新聞社で取材を受けて、ピコ太郎のメガネのメンテナンスに行ってから今ここで青山くんと喋ってる。わけわかんないでしょ!? でも、これに適応できたから、どうやら収入は増えてるの。
青山 自分が本当にやりたいことはどうするんですか?
古坂 それは勝手にやってる。ピコ太郎の曲なんて、自宅でレコーディングしてマスタリングして去年の1年間で80.8曲出したからね。マネージャーと恋人の思い出ビデオみたいな感じで撮影して編集して、それが公式MVだって勝手に作っちゃった(笑)。結局はさ、人を喜ばせたくない? それが何かは漠然としているけど、「喜ばせるために何ができるか」を考え続けることが大事だと思うよ。

●古坂大魔王(こさかだいまおう)
1973年7月17日生まれ 青森県出身
◯1992年にお笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。現在は芸人、ピコ太郎のプロデューサーも務める。今年はピコ太郎の『PPAP』10周年を迎え、配信限定アルバム『Tottemo Release 80.8』配信中。「第1回クラシック音楽アワード2026」を受賞するなど、ジャンルを超えて幅広く活動中。
公式X【@kosaka_daimaou】
●青山隼(あおやま じゅん)
1988年1月3日生まれ 宮城県出身
◯2006年にプロデビュー。U-20日本代表経験を持ち、Jリーガーとして名古屋グランパス、セレッソ大阪、徳島ヴォルティス、浦和レッズでプレーし、2015年に現役引退。その後は舞台やドラマ等に出演。現在は、秋元康プロデュースの昭和歌謡グループ・SHOW-WAのメンバーとして活動中。ラジオ『SHOW-WA寺田&青山の青春時代を取り戻せ!』(CBCラジオ/毎週日曜22:00~、tbcラジオ/毎週月曜22:00~)レギュラー出演中。1stアルバム『タイムマシンはいらない』発売中!
公式X【@jun_aoyama1988】
公式Instagram【@jun_aoyama_show-wa】




