
山下メロ
やました・めろ
山下メロの記事一覧
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、平成のイメージとしてよく挙げられる携帯電話。ただ通話するだけでなく、ネット接続、カメラ、アプリ、音楽再生、テレビ視聴などさまざまな機能が登場しました。しかし、あまり定着しなかったのがラジオ機能です。
もともとラジオ機能のある端末は数種類存在しましたが、AM放送は機器の特性上雑音が混じる問題がありFM放送のみ対応でした。そんな中、2005年にAM放送対応の端末がNTTドコモから発売されます。それが〝RADIDEN〟の愛称を持つ携帯電話「SO213iWR」。本端末のラジオ機能は、AM対応以外にも特徴があります。
ソニー・エリクソン(現ソニー)製のRADIDENことSO213iWR。AM、FM、アナログテレビ音声に対応し、背面にラジオ用の物理ボタンと液晶を備える。カメラは非搭載
通常のラジオ機能付き端末では、アプリを開きボタンでラジオを操作する必要がありますが、RADIDENは本体背面のラジオ選局用の専用ボタンから操作ができます。ほかにも周波数などを表示する専用液晶と独立した電源スイッチを備え、単体のポータブルラジオのように使用できるのです。
もはや携帯電話の背面にポータブルラジオをくっつけたかのごとき仕様ですが、独立していることで非常時のラジオのみの使用や、ラジオを聴きながらメール作成などの操作ができるため便利です。ラジオ専用のボタンや液晶は、携帯電話の操作に不慣れでも扱いやすく、まさにラジオ好きに最適化された端末でした。
auのソニー・エリクソン製携帯電話W44S。2006年発売。日本で初めて地上デジタル音声放送に対応
ちなみに、何かの機器とラジオを合体させるという製品の歴史は古く、例えばカメラとラジオを合体させた興服産業(現興和)の「ラメラ」は1959年に発売。その後、他社からも同様のカメラが数種類発売されています。
何かと合体させがちな日本製品。携帯電話の多機能化も、日本で独自に進化しました。それをガラパゴス諸島の生物が隔離環境で独自進化したことにたとえて「ガラパゴスケータイ」とやゆされ、そこからガラケーという略称が生まれたのです。RADIDENは、まさに日本らしいガラケーだったと言えるでしょう。